堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
税務相談の停止命令2026|国税庁の公告2件と無資格者に頼むリスク
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:国税庁は令和8年8月31日、税理士でない者に税務相談の停止を命じた事案を公告しました。公告済みは2件です
- 2ポイント2:命令の原因はいずれも、給与所得と損失を損益通算させて所得税の還付を不正に受けさせる内容の相談でした
- 3ポイント3:無資格者の助言に従って申告しても、追徴課税を負うのは依頼した納税者本人です。契約前に税理士証票を確認してください
CONTENTS目次
国税庁は令和8年8月31日、税理士でない者に対して税務相談の停止を命じた事案を新たに公告しました。これは令和5年の税理士法改正で整備された仕組みで、脱税の指南が繰り返されることを未然に防ぐために財務大臣が命令を出せるようにしたものです。公告された2件はいずれも、給与所得者に架空の損失をつくらせて所得税の還付を受けさせる手口でした。「節税に詳しい人がいる」と紹介されて相談した結果、追徴課税を負うのは相談した本人です。本記事では、公告の内容と根拠条文を国税庁の資料で確認しながら、依頼する側が契約前にできる確認の手順を整理します。
税務相談の停止命令とは何か
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令和5年の税理士法改正で整備された緊急措置
税理士法第54条の2は、財務大臣が、税理士または税理士法人でない者(条文では「税理士等でない者」)に対し、税務相談の停止その他必要な措置を命じることができると定めています。国税庁は、この規定が置かれた背景について、近年、SNSの普及等に伴い、税理士等でない者によって不特定多数の者に脱税相談などが行われるリスクが高まっている中で、脱税相談等が行われるよりも前に行政上の対応を行うことを可能とすることが必要であることから、令和5年の法改正において、脱税相談等を未然に防止するための措置として整備されたものだと説明しています。
命令を出せる場面は限定されています。条文は、税理士等でない者が税務相談を行った場合において、更に反復してその税務相談が行われることにより、不正に国税もしくは地方税の賦課もしくは徴収を免れさせ、または不正に国税もしくは地方税の還付を受けさせることによる納税義務の適正な実現に重大な影響を及ぼすことを防止するため緊急に措置をとる必要があると認めるとき、と定めています。単に無資格で相談に応じたというだけでなく、繰り返されることで課税の公平が大きく損なわれる差し迫った状況であることが前提です。
令和8年8月31日現在で公告されている2件
国税庁は、命令を行ったときは公告することとしており、公告の一覧を「税理士等でない者に対する税務相談停止等命令」のページに掲載しています。令和8年8月31日現在で掲載されているのは次の2件です。
| 命令日/公告日 | 命令の内容 | 命令の原因となった行為の概要 |
|---|---|---|
| 命令:令和8年6月25日 公告:令和8年6月26日 | 税務相談の停止 上記税務相談に関する営業広告の削除 | 他の者にSNSを通じて集客することを依頼し、紹介を受けた多数の個人顧客に対し、税理士でないにもかかわらず、顧客の給与所得について、実態のない事業所得の損失と損益通算して所得金額を圧縮した申告書を提出させることで、不正に所得税の還付を受けさせる内容の税務相談を行った |
| 命令:令和8年8月26日 公告:令和8年8月31日 | 税務相談の停止 | 勤務する株式会社等で自身が担当した顧客に対し、不動産所得の経費として根拠のない金額を計上して損失を発生させ、給与所得と損益通算して所得金額を圧縮した申告書を提出させることにより、不正に所得税の還付を受けさせる内容の税務相談を行った |
2件目では「営業広告の削除」が命令の内容に含まれていません。1件目はSNSでの集客を伴っていたため、停止が実効的に行われることを確保する措置として広告の削除まで命じられたと読み取れます。条文が「その税務相談の停止その他当該停止が実効的に行われることを確保するために必要な措置」と定めているとおり、命令の内容は事案に応じて組み立てられます。
そもそも税理士でない者は税理士業務を行えない
命令の制度とは別に、税理士法第52条が、税理士または税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行ってはならないと定めています。国税庁によれば、法第52条の規定に違反した場合は2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられる場合があります(法第59条第1項第4号)。また、法第54条の2の命令に違反した場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられる場合があります(法第60条第4号)。命令は罰則の前段階に置かれた行政上の措置であり、命令が出ていないから適法だという意味ではありません。
中小企業と個人事業主への実務影響
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2件に共通するのは「損益通算」を悪用した組み立て
公告された2件は、手口の細部は違いますが構造は同じです。給与所得者に対して、赤字を出せる所得区分をつくり、その損失を給与所得から差し引かせて所得金額を圧縮し、源泉徴収された所得税の還付を受けさせるというものです。1件目は「実態のない事業所得の損失」、2件目は「不動産所得の経費として根拠のない金額」を計上させています。
なぜこの2つの所得区分が使われるのかは、損益通算のルールを見ると分かります。国税庁は、所得の金額の計算上損失が生じた場合に損益通算の対象となる所得は、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得の4つであると示しています。配当所得、給与所得、一時所得および雑所得の金額の計算上損失が生じることはあっても、その損失の金額を他の各種所得の金額から控除することはできません。つまり、給与所得を圧縮するには不動産所得か事業所得の赤字をつくるのが最短で、そこが狙われたということです。
損益通算そのものは適法な制度です。問題は「実態のない損失」「根拠のない経費」という部分にあります。実際に不動産賃貸業や事業を営んでいて生じた赤字を通算することと、赤字を捏造することはまったく別の話です。副業や不動産投資を始めた方が自分の申告を疑う必要はありませんが、経費の中身を説明できる資料が揃っているかは確認しておいてください。
税理士でなければできない3つの業務
どこからが税理士業務なのかは、税理士法第2条が3つに分けて定めています。国税庁のQ&Aに沿って整理すると次のとおりです。
| 区分 | 根拠条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 税務代理 | 法第2条第1項第1号 | 税務官公署に対する申告等につき、またはその申告等もしくは税務官公署の調査もしくは処分に関し税務官公署に対してする主張もしくは陳述につき、代理し、または代行すること |
| 税務書類の作成 | 法第2条第1項第2号 | 税務官公署に対する申告等に係る申告書等を作成すること。国税庁は「作成する」とは申告書等を自己の判断に基づいて作成することをいい、単なる代書は含まれないとしている |
| 税務相談 | 法第2条第1項第3号 | 申告等や申告書等の作成に関し、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずること。「相談に応ずる」とは具体的な質問に対して答弁し、指示しまたは意見を表明することをいう |
国税庁は「業とする」の意味について、これらを反復継続して行い、または反復継続して行う意思をもって行うことをいい、必ずしも有償であることを要しないとしています。無料だから大丈夫、という理解は成り立ちません。なお法第52条には別段の定めがあり、国税局長の許可を受けた地方公共団体の職員等が無報酬で応じる場合、所属弁護士会を経て国税局長に通知した弁護士等が行う場合、行政書士等がゴルフ場利用税や自動車税など政令で定める租税に関し税務書類の作成を業として行う場合は、例外として認められています。
申告書に署名して提出するのは納税者本人
依頼する側にとって最も重い事実は、無資格者に手伝わせた申告であっても、その申告の責任が納税者本人に残るという点です。国税庁は、国の税金は納税者が自ら税務署へ所得等の申告を行うことにより税額が確定し、この確定した税額を自ら納付することになっており、これを「申告納税制度」というと説明しています。そのうえで、申告をしなければならない方が申告しなかったり、申告期限を過ぎてから申告すると、加算税や延滞税が課される場合があると注意を促しています。
延滞税についても不利に働きます。国税庁は、期限内申告書が提出されていて法定申告期限後1年を経過してから修正申告または更正があったときなどには、一定の期間を延滞税の計算期間に含めない特例があるとしていますが、この特例は「偽りその他不正の行為により国税を免れた場合等を除き」適用されるものです。不正還付を受けていたと認定されれば、この特例は使えません。延滞税の割合は、令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間について、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8パーセント、2か月を経過した日以後が年9.1パーセントです。数年分をさかのぼって是正されれば、負担は本税だけにとどまりません。個人事業主の確定申告のサポートをご依頼いただく場合も、まず過去の申告内容を確認するところから始めています。
当事務所の見解・実務上の注意点
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「還付額に対する成功報酬」は最初に疑うべき合図
公告された2件を読んで実務家として引っかかるのは、いずれも「顧客に申告書を提出させる」形をとっている点です。自分は表に出ず、納税者本人に提出させれば、形式上は本人申告になります。税務代理をしていないという体裁を整えつつ、実質的には税務相談を行っていた構図です。依頼する側から見ると、書類に相手の名前がどこにも出てこないことになります。関与した専門家の氏名が申告書のどこにも現れないのであれば、その時点で契約の形を確認してください。
報酬の決め方も判断材料になります。還付額の何割という成功報酬は、還付を大きくするほど報酬が増える構造で、経費を膨らませる動機が働きます。税理士は税理士法第36条で脱税相談等を禁止され、第37条で信用失墜行為を禁止され、第37条の2で非税理士に対する名義貸しを禁止されています。これらの義務に服する立場で報酬を設計すれば、還付額に連動する形は取りにくくなります。
「勤務先の同僚が使っている」「紹介制で確実に戻る」といった説明は、公告された1件目とまさに同じ集客の形です。SNSを通じて集客を依頼し、紹介を受けた多数の個人顧客に対して相談を行っていたと国税庁は記しています。紹介の連鎖そのものが安全の根拠にはなりません。
確認は税理士証票の提示から始める
税理士かどうかを確かめる手順は難しくありません。税理士法第32条は税理士証票の提示義務を定めており、委嘱にあたって提示を求めるのが最も確実です。日本税理士会連合会は税理士情報検索サイトを公開しており、氏名や所在地から登録の有無を調べられます。所属税理士会と登録番号を尋ねて即答できない相手には、依頼しないという判断で構いません。
もう一つ、当事務所が中小企業のお客様に申し上げているのは、税務調査で誰が矢面に立つのかを契約前に確認しておくことです。税理士業務のひとつである税務代理には、税務官公署の調査に関し税務官公署に対してする主張もしくは陳述につき、代理し、または代行することが含まれます(法第2条第1項第1号)。調査の場で会社に代わって主張できるのは、この立場に立てる者だけです。申告のときだけ安く済ませても、調査の場面で一人になるのであれば、その安さは前借りにすぎません。堺市の税務顧問としてご契約いただく場合は、この点を最初にご説明しています。
すでに無資格者に依頼してしまった心当たりがある場合は、放置が最も不利です。国税庁は加算税や延滞税が課される場合があると明示しており、時間が経つほど延滞税は積み上がります。自主的に修正申告を行うか否かの判断も含め、資料を持って税理士に相談してください。
今すぐやるべきこと
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顧問税理士がいる会社でも、従業員が個人で怪しい申告支援を受けているケースはあります。年末調整だけを会社で行い、副業や不動産の申告は外部の誰かに頼んでいる、という形が典型です。会社としては従業員の個人申告に立ち入れませんが、給与支払報告の内容と大きく食い違う申告が出れば、勤務先に照会が来ることもあります。次の順で確認してください。
- ステップ1:契約中の相手が税理士かどうかを確認する
税理士証票の提示を求め、所属税理士会と登録番号を控えます。日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトでも登録を確認できます。 - ステップ2:報酬の決め方を見直す
還付額や節税額に連動する成功報酬になっていないかを確認します。連動している場合は、根拠資料の保存状況をあわせて点検してください。 - ステップ3:直近3年分の申告書で損益通算の有無を確認する
不動産所得または事業所得の赤字を給与所得から差し引いていないかを見ます。差し引いている場合は、収入と経費の裏づけ資料が揃っているかを確認します。 - ステップ4:経費の根拠資料を並べて説明できるか試す
契約書、請求書、領収書、通帳の入出金を突き合わせ、第三者に説明できる状態かを確かめます。説明できない項目があれば付箋を付けておきます。 - ステップ5:不安が残る年分は税理士に相談する
修正申告が必要かどうかは年分ごとに判断が変わります。国税庁の公告ページで相手方の氏名が掲載されていないかもあわせて確認し、掲載があれば同じ助言を受けた年分をすべて洗い出してください。
- ☑ 税理士証票を実際に見せてもらった
- ☑ 所属税理士会と登録番号を控えている
- ☑ 報酬が還付額に連動していない
- ☑ 直近3年分の申告書の控えが手元にある
- ☑ 経費の根拠資料を年分ごとに保存している
- ☑ 税務調査時の対応者が契約書で明確になっている
チェックの結果、根拠資料を示せない経費が見つかった場合でも、その場で結論を出す必要はありません。修正申告をするか、税務署からの連絡を待つかは、金額と年分、そして意図的だったかどうかで判断が分かれます。自分で判断せず、資料を持って税理士に相談する段階だと考えてください。
よくある質問
- Q. 税理士でない人に確定申告を頼むこと自体が違法なのですか?
- A. 税理士法第52条は、税理士または税理士法人でない者が、法律に別段の定めがある場合を除いて税理士業務を行ってはならないと定めています。禁止されているのは税務代理、税務書類の作成、税務相談を業として行うことです。国税庁は「業とする」について、これらを反復継続して行い、または反復継続して行う意思をもって行うことをいい、必ずしも有償であることを要しないと説明しています。無償であっても反復継続していれば規制の対象になり得ます。
- Q. 税務相談の停止命令と、税理士への懲戒処分は何が違うのですか?
- A. 対象者と根拠条文が異なります。懲戒処分は税理士または税理士法人に対するもので、財務大臣が戒告、業務の停止、業務の禁止などを行います。一方、税理士法第54条の2の命令は、そもそも税理士でない者に対して税務相談の停止などを命じるものです。国税庁は前者を「税理士等に対する懲戒処分等」、後者を「税理士等でない者に対する税務相談停止等命令」として別のページで公告しています。前者は登録番号と事務所所在地が、後者は氏名または名称と住所または所在地が掲載されます。
- Q. 無資格者の指示どおりに申告してしまいました。どうなりますか?
- A. 国税庁は、納税者が自ら所得金額や税額を計算して申告する申告納税制度を採用していると説明しており、申告内容の責任は提出した納税者本人にあります。誤りがあれば本税に加えて加算税や延滞税が課される場合があります。さらに、偽りその他不正の行為により国税を免れた場合は、延滞税の計算期間から一定の期間を除く特例も適用されません。気づいた時点で早めに税理士へ相談してください。
- Q. 相手が本当に税理士かどうかは、どうやって確認すればよいですか?
- A. 税理士法第32条は税理士証票の提示義務を定めています。委嘱にあたって税理士証票の提示を求めるのが最も確実です。日本税理士会連合会は税理士情報検索サイトを公開しており、氏名や事務所から検索できます。所属する税理士会と登録番号を尋ねても答えられない、名刺やホームページに登録番号の記載がない、といった場合は契約前に必ず確認を取ってください。なお、税理士法人にも法人としての登録番号があります。国税庁が公告する懲戒処分等の一覧でも、税理士法人は登録番号とともに掲載されています。
- Q. 命令に違反した場合、どのような罰則がありますか?
- A. 国税庁は、税理士法第54条の2の規定に違反した場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられる場合があると説明しています(法第60条第4号)。また、命令の有無にかかわらず、税理士でない者が税理士業務を行って法第52条に違反した場合は、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられる場合があります(法第59条第1項第4号)。命令は罰則の前段階に置かれた行政上の措置であり、命令が出ていないから適法だという意味ではない点にご注意ください。
参考資料・出典
- 国税庁 税理士等でない者に対する税務相談停止等命令(令和8年8月31日現在の公告一覧、命令日と公告日)
- 国税庁 処分の内容等(詳細)令和8年8月26日命令(不動産所得の経費計上による不正還付の事案)
- 国税庁 処分の内容等(詳細)令和8年6月25日命令(SNS集客と事業所得の損失による不正還付の事案)
- 国税庁 税理士制度のQ&A 6 税理士法違反行為(税理士業務の範囲、法第52条・第54条の2の内容と罰則)
- 国税庁 タックスアンサー No.2250 損益通算(損益通算の対象となる所得の範囲)
- 国税庁 タックスアンサー No.9205 延滞税について(延滞税の割合と計算期間の特例)
- 国税庁 暮らしの税情報(令和8年度版)申告と納税(申告納税制度と加算税・延滞税の説明)
本記事は上記の一次資料の記載に基づいて作成しています。個別の事情によって修正申告の要否や進め方は異なります。心当たりがある場合は、申告書の控えと根拠資料を添えて所轄税務署または税理士にご確認ください。
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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