堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
ひとり親控除2026|寡婦控除との違いと控除額を税理士が解説
2026.07.20
この記事の要点3点
- ポイント1:ひとり親控除は35万円、寡婦控除は27万円の所得控除です。いずれも合計所得金額が500万円以下であることが要件で、年末調整または確定申告で適用します。
- ポイント2:影響を受けるのは、離婚・死別・未婚でひとりで子を育てている方や、扶養親族のいる寡婦の方です。ひとり親控除は令和2年から男性(父子家庭)も対象になりました。
- ポイント3:ひとり親控除の対象となる「生計を一にする子」の所得要件は、改正により総所得金額等58万円以下(給与収入のみなら123万円以下)に引き上げられました。年末調整の申告書で忘れず記入しましょう。
目次
ひとりで子どもを育てている方や、配偶者と死別・離婚した後に扶養親族を抱える方の税負担を軽くする制度が、ひとり親控除と寡婦控除です。どちらも所得から一定額を差し引ける所得控除で、適用すれば所得税と住民税の両方が下がります。ところが、対象者であっても年末調整の書類に記入し忘れて控除を受けられていない、というケースは少なくありません。制度は令和2年に大きく見直され、未婚のひとり親や父子家庭も対象になりました。本記事では、両制度の違いと最新の要件、そして確実に控除を受けるための手順を、堺市の税理士がわかりやすく解説します。
これらの控除は、ひとりで家計と子育てを担う世帯の担税力(税を負担する余力)が相対的に小さいことに配慮して設けられています。制度の趣旨を理解しておくと、「自分は対象になるのか」「なぜこの要件があるのか」を判断しやすくなります。以下では、まず制度の全体像と改正の経緯を確認し、次に具体的な控除額と実務への影響、両制度の比較、そして適用の手順へと順を追って解説していきます。
ひとり親控除・寡婦控除の概要と改正の経緯
ひとり親控除と寡婦控除は、いずれも配偶者と離婚・死別などした人の負担に配慮した所得控除ですが、対象範囲と金額が異なります。まずはそれぞれの定義を押さえましょう。
ひとり親控除とは
ひとり親控除は、現に婚姻をしていない人などのうち、生計を一にする子がいるなど一定の要件を満たす場合に、35万円の所得控除を受けられる制度です。性別を問わず、母子家庭でも父子家庭でも適用されます。次の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 婚姻要件:その年の12月31日時点で、婚姻をしていないこと、または配偶者の生死が明らかでないこと。事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人(いわゆる事実婚の相手)がいる場合は対象外です。
- 子の要件:生計を一にする子がいること。その子の総所得金額等が58万円以下(改正前は48万円以下)で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていないこと。
- 所得要件:本人の合計所得金額が500万円以下(給与収入のみならおおむね年収678万円以下)であること。
寡婦控除とは
寡婦控除は、ひとり親に該当しない女性で、一定の要件を満たす場合に27万円の所得控除を受けられる制度です。ひとり親控除と違い、対象は女性に限られます。具体的には、合計所得金額500万円以下で事実婚の相手がおらず、次のいずれかに当てはまる場合が対象です。
- 夫と離婚した後、婚姻をしておらず、扶養親族がいる人
- 夫と死別した後、婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない人(この場合は扶養親族の有無を問わない)
令和2年の改正で何が変わったか
令和2年分の所得税から、従来の寡婦(寡夫)控除の仕組みが大きく見直されました。主な変更点は次のとおりです。
改正のポイント
(1)婚姻歴の有無にかかわらず、未婚のひとり親も対象に加えられました。
(2)男性のひとり親(父子家庭)も、ひとり親控除として同じ35万円の控除を受けられるようになりました(従来の寡夫控除は廃止・統合)。
(3)本人の合計所得金額500万円以下という所得制限が設けられました。
(4)住民票の続柄に「未届の夫」「未届の妻」などの記載がある事実婚の場合は、対象から除外されます。
(1)婚姻歴の有無にかかわらず、未婚のひとり親も対象に加えられました。
(2)男性のひとり親(父子家庭)も、ひとり親控除として同じ35万円の控除を受けられるようになりました(従来の寡夫控除は廃止・統合)。
(3)本人の合計所得金額500万円以下という所得制限が設けられました。
(4)住民票の続柄に「未届の夫」「未届の妻」などの記載がある事実婚の場合は、対象から除外されます。
具体的な該当・非該当のケース
要件は文章だけでは判断しにくいため、代表的なケースで確認してみましょう。
- 未婚で子を育てる母(合計所得400万円):婚姻歴がなくても、生計を一にする子がいて所得500万円以下なら、ひとり親控除(35万円)の対象です。
- 離婚後に未再婚の父(子と同居、所得450万円):父子家庭でもひとり親控除の対象です。令和2年の改正で男性も対象になりました。
- 夫と死別した女性(扶養親族なし、所得300万円):子や扶養親族がいなくても、死別の場合は寡婦控除(27万円)の対象になります。
- 離婚後に未再婚の女性(扶養親族なし、所得350万円):離婚の場合は扶養親族がいないと寡婦控除の対象になりません。
- 子を育てているが同居の交際相手を「未届の夫」として届け出ている女性:事実婚と扱われるため、ひとり親控除・寡婦控除いずれも対象外です。
対象者への実務影響と控除額
ひとり親控除・寡婦控除は、適用の有無で手取りに直接差が出ます。控除額と税負担の関係を具体的に見ていきましょう。
所得税・住民税への影響
所得控除は、税額そのものを直接差し引く「税額控除」とは異なり、税率を掛ける前の所得(課税標準)を減らす仕組みです。そのため、実際の軽減額は「控除額×適用される税率」で決まり、効果は人によって変わります。たとえば所得税率10%・住民税率10%の方がひとり親控除(所得税35万円・住民税30万円)を受けた場合、所得税で3万5千円、住民税で3万円、合計6万5千円ほど税額が下がる計算になります。寡婦控除でも所得税27万円・住民税26万円の控除があり、同様に負担が軽くなります。所得が高く税率が上がるほど、控除による軽減額も大きくなります。ひとり親世帯にとっては、毎年数万円の差が家計に与える影響は小さくありません。控除を1年適用し忘れるだけで、この金額をそのまま損してしまうことになります。年末調整や確定申告の全体設計に不安がある方は、当事務所の料金プランもあわせてご確認ください。
| 控除の種類 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|
| ひとり親控除 | 35万円 | 30万円 |
| 寡婦控除 | 27万円 | 26万円 |
住民税の非課税判定でも有利になる
ひとり親・寡婦に該当する方は、住民税の非課税限度額の判定でも優遇されます。合計所得金額が135万円以下(給与収入のみならおおむね年収204万4千円未満)であれば、住民税が非課税となる取扱いがあります。パートや自営で所得が比較的少ない方にとっては、この非課税判定の効果も見逃せません。所得税・住民税の全体像を踏まえた申告については、個人事業主・フリーランスの確定申告サポートもご活用ください。
他の制度との違いに注意する
ひとり親控除・寡婦控除は所得税・住民税を計算するうえでの「所得控除」であり、児童扶養手当や各種の給付金とは制度が別です。児童扶養手当は自治体が支給する手当で、所得制限や支給要件も税法上のひとり親控除とは異なります。「ひとり親控除の対象だから児童扶養手当も必ずもらえる」「手当を受けているから控除も自動で適用される」といった思い込みは禁物です。それぞれ別々に要件を確認し、手当は自治体の窓口、税の控除は年末調整または確定申告と、手続きの窓口も分けて進める必要があります。なお、住民税が非課税になると、保育料や高額療養費の自己負担限度額など、他の制度の負担にも影響することがあります。控除は「税金が安くなる」だけでなく、こうした周辺制度の負担軽減にもつながるため、対象になる方は確実に適用しておくことが大切です。逆に、控除の申告漏れがあると、本来受けられたはずの非課税判定や負担軽減まで受けられなくなるおそれがあります。
ひとり親控除と寡婦控除の比較表
両制度は似ていますが、対象となる性別や婚姻歴、子の要件などが異なります。混同しやすいポイントを表で整理します。
| 項目 | ひとり親控除 | 寡婦控除 |
|---|---|---|
| 控除額(所得税) | 35万円 | 27万円 |
| 対象の性別 | 男女とも対象 | 女性のみ |
| 婚姻歴 | 未婚・離婚・死別いずれも可 | 離婚・死別(未婚は対象外) |
| 子・扶養親族の要件 | 生計を一にする子が必須(総所得金額等58万円以下) | 離婚は扶養親族が必要/死別は扶養親族の要件なし |
| 合計所得金額 | 500万円以下 | 500万円以下 |
両方に当てはまるときはどちらか一方だけ
ひとり親控除と寡婦控除は重複して受けることはできません。両方の要件を満たす場合は、控除額の大きいひとり親控除が優先して適用されます。
ひとり親控除と寡婦控除は重複して受けることはできません。両方の要件を満たす場合は、控除額の大きいひとり親控除が優先して適用されます。
実務で特に間違いやすいのが「未婚かどうか」と「扶養親族の有無」の2点です。未婚のまま子を育てている場合は、寡婦控除ではなくひとり親控除の対象になります(改正前の寡婦控除は婚姻歴が前提でした)。また、離婚による寡婦控除は扶養親族が必要ですが、死別による寡婦控除は扶養親族がいなくても対象になる、という違いも押さえておきましょう。判定に迷ったら、この表の「婚姻歴」「子・扶養親族の要件」の行を上から順に確認すると整理しやすくなります。
当事務所の見解・実務上の注意点
控除の適用漏れや誤りを防ぐために、実務で特に注意したい点を3つお伝えします。
注意点1:年末調整の申告書への記入忘れが最も多い
ひとり親・寡婦に該当していても、勤務先に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の該当欄にチェックを入れなければ、年末調整で控除は反映されません。会社は個々の家庭事情を把握していないため、本人からの申告がないと適用できないのです。記入を忘れて年末調整で反映されなかった場合でも、確定申告(または勤務先での再年末調整)で控除を受けることができます。
「ひとり親であることを勤務先に知られたくない」という理由で申告をためらう方もいます。その場合は、年末調整では申告せず、自分で確定申告をして控除を受ける方法があります。確定申告なら勤務先を通さずに手続きできるため、会社に事情を伝えずに控除を適用できます。ただし、住民税の通知を通じて間接的に把握される可能性は残るため、プライバシーを重視する場合は確定申告での手続きとあわせて、住民税の徴収方法(普通徴収・特別徴収)についても検討しておくとよいでしょう。
注意点2:「事実婚」の判定に注意する
ひとり親控除・寡婦控除は、事実上婚姻関係と同様の事情にある人がいると対象外になります。具体的には、住民票の続柄欄に「未届の夫」「未届の妻」といった記載がある場合が該当します。交際相手と同居していても、この記載がなければただちに対象外とはなりませんが、判断に迷う場合は個別の事情を確認することをおすすめします。
注意点3:子の所得要件の改正を見落とさない
ひとり親控除の「生計を一にする子」の所得要件は、改正により総所得金額等58万円以下(改正前は48万円以下)に引き上げられました。子がアルバイトをしている家庭では、この基準の変化により対象になるかどうかが変わることがあります。給与収入のみであれば年収123万円以下が目安です。過去に「子の収入が多くて対象外」と判断していた方も、改正後の基準で再確認する価値があります。判定に用いるのはその年の1月から12月までの子の所得であり、年の途中で就職・退職した場合は年間の合計で見る点にも注意しましょう。
注意点4:過去にさかのぼって還付を受けられる場合がある
ひとり親控除・寡婦控除は、要件を満たしていたのに適用し忘れていた年があっても、あとから取り戻せる可能性があります。会社員などで年末調整をしていた場合は「還付申告」により、すでに確定申告をしていた場合は「更正の請求」により、原則として法定申告期限から5年以内であればさかのぼって控除を適用し、納めすぎた税金の還付を受けられます。たとえば数年前に離婚して以来ずっと控除を申告していなかったという方は、対象年について手続きすることで、まとまった還付につながることもあります。過去の源泉徴収票や確定申告書の控えを確認し、適用漏れがないか点検してみましょう。
注意点5:毎年、状況の変化を確認する
ひとり親控除・寡婦控除は、いったん対象になれば自動的に続くものではなく、その年の12月31日時点の状況で毎年判定します。再婚した年は対象外になりますし、逆にその年に離婚・死別した場合は新たに対象になります。また、子が成長して就職し、生計を一にしなくなったり所得要件を超えたりすると、ひとり親控除の子の要件を満たさなくなることもあります。本人の所得が増えて合計所得金額500万円を超えた年も対象から外れます。年末調整や確定申告の時期には、その年の家族構成と所得の状況を毎年あらためて確認する習慣をつけましょう。判断に迷うときは、勤務先の担当者や税理士に早めに相談すると、記入漏れや誤りを防げます。
今すぐやるべきこと(適用手順チェックリスト)
控除を確実に受けるために、次の順で確認・手続きを進めましょう。
- ステップ1:自分がどちらの控除に該当するか確認する
婚姻歴・性別・子や扶養親族の有無から、ひとり親控除か寡婦控除かを判定します。両方満たす場合は、控除額の大きいひとり親控除が優先して適用されます。 - ステップ2:所得要件を確認する
本人の合計所得金額が500万円以下か、ひとり親の場合は子の総所得金額等が58万円以下(給与収入のみなら年収123万円以下)かをチェックします。 - ステップ3:年末調整で申告する
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」のひとり親・寡婦の欄に記入し、勤務先へ提出します。 - ステップ4:確定申告の場合は該当欄に記入する
確定申告書の第二表にある「本人に関する事項」でひとり親または寡婦にチェックし、第一表の所得控除の欄に控除額を反映させます。書面申告のほか、e-Taxやスマホ申告でも該当項目を選択するだけで自動計算されます。 - ステップ5:過去分の適用漏れを確認する
過去に適用漏れがあれば、更正の請求や還付申告により最大5年分さかのぼって控除を受けられる場合があります。
よくある質問
- Q. ひとり親控除と寡婦控除は両方受けられますか。
- A. 両方を同時に受けることはできません。両方の要件を満たす場合は、控除額の大きいひとり親控除(35万円)が優先して適用されます。
- Q. 父子家庭の父親でも控除を受けられますか。
- A. ひとり親控除は令和2年分から男女を問わず対象となったため、父子家庭の父親も要件を満たせば35万円の控除を受けられます。一方、寡婦控除は女性のみが対象です。
- Q. 交際相手と同居している場合はどうなりますか。
- A. 事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいる場合は対象外です。住民票の続柄に「未届の夫」「未届の妻」などの記載があると、事実婚として控除を受けられません。
- Q. 子どもがアルバイトで収入がある場合も対象ですか。
- A. 生計を一にする子の総所得金額等が58万円以下(給与収入のみなら年収123万円以下)であれば、ひとり親控除の子の要件を満たします。この基準は改正前の48万円から引き上げられているため、以前は対象外だった家庭が新たに対象になるケースもあります。なお、子が他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっている場合は要件を満たしません。
- Q. 年末調整で申告し忘れた場合はどうすればよいですか。
- A. 確定申告で控除を受けられます。すでに確定申告を終えている場合でも、更正の請求により原則5年以内であればさかのぼって適用でき、納めすぎた税金の還付を受けられる場合があります。
参考資料・出典
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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