堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
死亡保険金の非課税2026|500万円×法定相続人の数と放棄・養子の注意点
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は相続税の課税対象となり、相続人が受け取った分は500万円×法定相続人の数まで非課税です。
- 2ポイント2:相続を放棄した人や相続人以外の人が受け取った死亡保険金には非課税の適用がありません。一方で法定相続人の数は放棄がなかったものとして数えます。
- 3ポイント3:被保険者・保険料の負担者・受取人の組合せで所得税・相続税・贈与税のどれになるかが変わります。保険証券を集めて契約形態を確認しましょう。
CONTENTS目次
生命保険の死亡保険金は、遺族の生活資金や相続税の納税資金として大きな役割を果たします。相続税には死亡保険金の非課税限度額という仕組みがありますが、誰が受け取るか、誰が保険料を負担していたかによって、使えるかどうかが変わります。
本記事では、国税庁のタックスアンサーと相続税法基本通達をもとに、非課税限度額の計算、相続放棄や養子がいる場合の扱い、契約形態による課税関係の違いを整理します。
制度の概要:死亡保険金の非課税限度額の仕組み
相続税の課税対象になる死亡保険金
国税庁のタックスアンサーNo.4114によると、被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金(偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われるものに限られます。)で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続等により取得したとみなされて、相続税の課税対象となります。被相続人の本来の相続財産ではなくても、相続税では相続等により取得したとみなされる点が出発点です。
相続税法基本通達3-6は、相続又は遺贈により取得したものとみなされる保険金には、一時金により支払を受けるもののほか、年金の方法により支払を受けるものも含まれるとしています。また3-8は、保険金とともに受け取る剰余金、割戻金、前納保険料の額も含むものとしています。保険会社の支払明細に保険金以外の金額が並んでいる場合も、まとめて確認が必要です。非課税限度額との比較も、これらを含めた金額で行います。
非課税限度額の計算式
死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)である場合、すべての相続人が受け取った保険金の合計額が次の非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。
500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
各相続人に課税される金額は、その相続人が受け取った生命保険金の金額から、非課税限度額にその相続人が受け取った生命保険金の金額÷すべての相続人が受け取った生命保険金の合計額を掛けた金額を差し引いて計算します。相続税法基本通達12-8の注書きは、各相続人が取得した保険金の合計額の総額が500万円に相続人の数を乗じて算出した金額以下の場合には、各相続人の取得した保険金の合計額に相当する金額がその者の非課税金額になるとしています。申告書では、国税庁が分かりやすく便利としている相続税の申告書第9表「生命保険金などの明細書」を使って計算します。No.4114が根拠法令等として挙げているのは、相続税法第3条、第12条、第15条です。
法定相続人の数の数え方
計算に使う法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数です。法定相続人の中に養子がいる場合、数に含める養子は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。この人数は、相続税の基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)や死亡退職金の非課税限度額の計算にも使われます。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 対象となる保険金 | 被相続人が保険料を負担していた死亡保険金(年金で受け取るもの、剰余金・前納保険料等を含む) | No.4114、相基通3-6・3-8 |
| 非課税限度額 | 500万円 × 法定相続人の数 | No.4114 |
| 非課税の対象者 | 受取人が相続人である場合(放棄した人・相続権を失った人を除く) | No.4114、相基通12-7 |
| 法定相続人の数 | 放棄がなかったものとした数。養子は実子ありで1人、なしで2人まで | No.4114、No.4170 |
中小企業への実務影響:受取人と契約形態で変わる課税
契約形態で税目が変わる
国税庁のタックスアンサーNo.1750は、被保険者、保険料の負担者および保険金受取人が誰であるかにより、死亡保険金が所得税、相続税、贈与税のいずれかの課税の対象になるとしています。非課税限度額が使えるのは、このうち相続税の対象になる場合だけです。
| 被保険者 | 保険料の負担者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
|---|---|---|---|
| A | B | B | 所得税 |
| A | A | B | 相続税 |
| A | B | C | 贈与税 |
中小企業の経営者が自分を被保険者として保険料を負担し、配偶者や子を受取人にしている契約は、相続税の対象になる形です。一方、配偶者が自分で保険料を払い、経営者を被保険者として自分が受け取る契約は所得税の対象になり、一時金で受け取ると一時所得になります。一時所得の金額は、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料を差し引き、さらに特別控除額50万円を差し引いた金額で、課税の対象になるのはその2分の1です。
被保険者、保険料の負担者、受取人がすべて異なる場合は贈与税の対象です。タックスアンサーNo.4417も、保険料を負担していない人が被保険者の死亡により生命保険金を受け取った場合には、保険料を負担した人からその生命保険金の贈与があったものとされるとしています。
保険料の負担者が複数いる場合
相続税の対象になるのは、保険料の全部または一部を被相続人が負担していた保険金です。相続税法基本通達3-16は、相続又は遺贈により取得したものとみなされる保険金は保険料の負担者の死亡により支払われるものに限られ、その死亡した者及びその受取人以外の者が保険料を負担していたものについては、保険金受取人が保険料を負担した者から贈与により取得したものとみなされるとしています。途中で保険料の支払者が変わった契約は、負担した人ごとに課税関係を分けて考える必要があります。
また3-13は、被相続人が負担した保険料は保険契約に基づき払い込まれた保険料の合計額によるとし、保険料の一部につき払い込みの免除があった場合、その免除に係る部分の保険料は払い込まれた保険料に含まれないとしています。振替貸付けによる払込みや未払込保険料があった場合は、その部分の保険料は保険契約者が払い込んだものとされます。
相続人以外が受取人の場合
No.4114は、相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はないとしています。No.1750によると、受取人が被保険者の相続人であるときは相続により取得したものとみなされ、相続人以外の者が受取人であるときは遺贈により取得したものとみなされます。子が健在な場合の孫は相続人ではないため、孫を受取人にした保険金には非課税限度額が使えません。
さらにNo.4152は、財産を取得した人が被相続人の配偶者、父母、子供以外の者である場合、相続税額にその20パーセント相当額を加算するとしています。被相続人の養子である孫についても、子供が被相続人の死亡以前に死亡していない場合は加算が必要です。受取人の指定ひとつで、非課税の有無と税額の加算の両方が変わります。
保険金以外の給付金や契約者貸付金
相続税法基本通達3-7は、みなし相続財産となる保険金を死亡保険金に限り、被保険者の傷害や疾病などで死亡を伴わないものを保険事故として支払われる保険金や給付金は、被保険者の死亡後に支払われたものであっても含まれないとしています。その注書きでは、被相続人の本来の相続財産になるとしています。死亡後に振り込まれた入院給付金などは、非課税限度額の対象ではなく、遺産分割の対象となる財産として扱います。
また3-9は、被相続人が保険契約者である場合に契約者貸付金等の額が保険金から控除されるときは、受取人は控除後の金額に相当する保険金を取得したものとし、その貸付金に相当する債務はなかったものとするとしています。
当事務所の見解:非課税を使えないケースと見落としやすい点
相続放棄をしても保険金は受け取れるが非課税は使えない
相続税法基本通達3-3は、相続を放棄した者がみなし相続財産を取得した場合、その財産は遺贈により取得したものとみなされるとしています。受取人に指定されていれば放棄後も保険金は受け取れますが、12-7により非課税金額の規定の適用はありません。負債が多く放棄を検討する場面では、保険金の受取りと相続税の負担をあわせて試算する必要があります。
ここでいう放棄は、家庭裁判所に申述して相続の放棄をした場合に限られます。3-1は、正式に放棄の手続をとらないで事実上相続により財産を取得しなかったにとどまる者はこれに含まれないとしています。遺産分割で財産を受け取らなかっただけの相続人は、保険金の非課税を使えます。
養子は人数の制限と非課税の適用を分けて考える
法定相続人の数に含める養子の数には制限がありますが、12-8の注書きは、保険金を取得した被相続人の養子(相続を放棄した者を除く。)については、全員保険金の非課税金額の適用があるとしています。人数の制限は非課税限度額の大きさに影響し、適用を受けられる人の範囲は別の問題です。なおNo.4170は、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は含められないとしています。
受取人が保険契約上の受取人と異なる人になっている場合、相続税法基本通達3-11・3-12により、原則は約款上の受取人で判定し、やむを得ない事情など相当な理由があるときに限り現実に取得した人を受取人とします。名義と実態のずれは早めに解消しておきましょう。
申告期限までに納税資金の偏りを確認する
国税庁のタックスアンサーNo.4205によると、相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行い、納税も申告期限までに行います。申告書の提出先は、被相続人の死亡の時における住所が日本国内にある場合は、被相続人の住所地を所轄する税務署です。死亡保険金は受取人に指定された人に支払われるため、保険金を受け取った人と、相続税の負担が大きい人が一致しないことがあります。遺産分割の話し合いの前に、各人の税額と手元資金の見込みを並べておくと、期限直前の資金不足を防げます。
当事務所では、相続税の申告の要否の判定とあわせて、保険契約の一覧から非課税限度額と各人の課税額を試算しています。受取人の見直しや納税資金の確認が必要な場合は、相続税申告のサポートもご活用ください。
今すぐやるべきこと:保険契約の棚卸しと申告準備
死亡保険金の非課税は、契約内容と相続人の確認がそろって初めて正しく計算できます。相続が発生した場合も、生前に備える場合も、次の5つの手順で確認を進めてください。
- ステップ1:保険証券を集めて一覧にする
被相続人や家族が加入している保険の証券や契約内容のお知らせを集め、被保険者、保険料の負担者、保険金受取人、受取方法(一時金か年金か)を一覧にします。保険料を実際に誰が払っていたかは口座の引落し記録で確認します。途中で支払者が変わった契約や、払込みの免除を受けた契約は、その時期もあわせて書き出します。 - ステップ2:契約ごとに税目を判定する
国税庁のタックスアンサーNo.1750の表に当てはめ、所得税・相続税・贈与税のどれの対象かを判定します。非課税限度額を使えるのは相続税の対象になる契約だけです。所得税の対象になる契約は受取人の確定申告、贈与税の対象になる契約は受取人の贈与税の申告の要否をそれぞれ確認します。 - ステップ3:法定相続人の数を確定する
戸籍で相続人を確認し、放棄がなかったものとした人数を数えます。養子がいる場合は、実子の有無に応じて数に含める養子の数を確認します。家庭裁判所に相続の放棄を申述した人がいる場合は、その人を人数から除かないよう注意します。 - ステップ4:受取人が相続人かどうかを確認する
受取人が相続人か、相続を放棄していないかを確認します。孫など相続人以外の受取人がいる場合は、非課税の適用がないことと、相続税額の2割加算の対象になるかを確認します。そのうえで、各相続人の受取額に応じて非課税限度額を按分し、課税される金額を計算します。 - ステップ5:申告の要否と期限を確認する
保険金のほか剰余金や前納保険料、死亡後に支払われた入院給付金などの扱いを整理し、基礎控除額と比べて申告の要否を判定します。申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。保険会社への請求書類の提出や支払明細の受取りに要する期間も見込んで、早めに資料をそろえます。
よくある質問:死亡保険金の非課税
- Q. 相続を放棄しても、受取人に指定されていれば死亡保険金は受け取れますか?
- A. 受け取れます。相続税法基本通達3-3は、相続を放棄した者がみなし相続財産を取得した場合、その財産は遺贈により取得したものとみなされるとしています。ただし12-7により、相続を放棄した者が取得した保険金には非課税金額の規定の適用がありません。受け取った保険金の全額が相続税の課税価格の計算に含まれる点に注意してください。
- Q. 非課税限度額を計算するときの法定相続人の数に、相続を放棄した人は含まれますか?
- A. 含まれます。国税庁のタックスアンサーNo.4114は、法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいうとしています。放棄した本人は非課税の適用を受けられませんが、人数としては数えるため、ほかの相続人が受け取った保険金の非課税限度額は小さくなりません。
- Q. 孫を受取人にした生命保険の死亡保険金にも非課税は使えますか?
- A. 子が健在で孫が相続人でない場合は使えません。No.4114は、相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はないとしています。またNo.4152によると、財産を取得した人が被相続人の配偶者、父母、子供以外の者である場合は、相続税額にその20パーセント相当額を加算します。受取人の指定を見直すかどうかは、家族構成とあわせて検討してください。
- Q. 自分で保険料を払っていた夫の死亡保険金を受け取りました。相続税の対象ですか?
- A. 保険料の負担者と保険金受取人が同じ人の場合は、相続税ではなく所得税の対象です。国税庁のタックスアンサーNo.1750によると、一時金で受け取ると一時所得になり、受け取った保険金の総額から払い込んだ保険料と特別控除額50万円を差し引いた金額の2分の1が課税の対象です。確定申告が必要になる場合があります。
- Q. 死亡保険金を年金形式で受け取る場合も非課税限度額の対象になりますか?
- A. 相続税法基本通達3-6は、相続又は遺贈により取得したものとみなされる保険金には、年金の方法により支払を受けるものも含まれるとしています。No.1750によると、年金で受領する場合はその年金を受け取る権利に対して相続税が課税され、毎年受け取る年金に係る所得税は、非課税部分と課税部分に振り分けた上で計算します。
- Q. 被保険者の死亡後に振り込まれた入院給付金も非課税限度額の対象ですか?
- A. 対象ではありません。相続税法基本通達3-7は、死亡を伴わない傷害や疾病などを保険事故として支払われる保険金や給付金は、被保険者の死亡後に支払われたものであっても、みなし相続財産となる保険金に含まれないとし、その注書きで被相続人の本来の相続財産になるとしています。遺産分割の対象として扱います。
- Q. 死亡退職金の非課税と死亡保険金の非課税は別々に使えますか?
- A. 国税庁のタックスアンサーNo.4108は、相続税がかからない財産として、相続によって取得したとみなされる生命保険金等のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分と、退職手当金等のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分を、それぞれ別の項目として挙げています。会社から死亡退職金が支給される場合は、両方を確認してください。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサーNo.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1750 死亡保険金を受け取ったとき(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.4108 相続税がかからない財産(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.4152 相続税の計算(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.4170 相続人の中に養子がいるとき(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.4205 相続税の申告と納税(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.4417 贈与税の対象になる生命保険金(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 相続税法基本通達 第3条関係(3-1〜3-12)
- 国税庁 相続税法基本通達 第12条関係(12-7・12-8 保険金関係)
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
この記事に関するご相談は道濟会計事務所へ(初回相談無料)
相続税の申告・生前対策は、堺市の道濟会計事務所にご相談ください。報酬は総遺産価額の0.6%が目安です。 堺東駅徒歩1分・オンライン対応で全国からご相談いただけます。