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予定納税の通知書の記載誤り2026|配当控除の確認方法を税理士が解説

予定納税額の通知書の記載誤り(配当控除・住宅耐震改修特別控除の抹消)と確認方法を解説する道濟会計事務所のアイキャッチ
この記事の要点3点

  • ポイント1:国税庁は令和8年6月15日に郵送した「令和8年分 予定納税額の通知書」の一部で、配当控除・住宅耐震改修特別控除の記載を誤って「*」で抹消していたと公表しました。
  • ポイント2:影響を受けるのは、令和7年分の確定申告でこれらの控除を適用した予定納税の対象者です。ただし納付すべき金額そのものに誤りはありません。
  • ポイント3:自分の通知書が正しいかは令和7年分の確定申告書控えと照合すれば確認でき、金額を減らしたい人は7月15日までの減額申請も併せて検討します。

令和8年6月中旬、「予定納税額の通知書」を受け取った方の一部で、通知書の控除項目の印字に誤りがあったことを国税庁が公表しました。配当所得のある方や住宅の耐震改修を行った方など、税額控除を適用している方に関係する内容です。「金額が間違っているのでは」と不安になった方もいるかもしれませんが、結論から言えば納める金額に誤りはありません。本記事では、税理士の視点から今回の記載誤りの正確な中身と、自分の通知書を確認する方法、あわせて検討したい7月の減額申請までを実務に沿って整理します。

予定納税額の通知書の記載誤りとは(概要)

国税庁は令和8年6月15日、予定納税の対象となる納税者に対して「令和8年分 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」を郵送しました。この通知書は、令和7年分の確定申告の内容などをもとに計算した「予定納税基準額」と、その3分の1ずつを第1期・第2期に納付すべき金額を知らせるものです。

今回問題となったのは、通知書の「予定納税基準額の計算の基礎」欄の印字です。この欄では、令和7年分の確定申告で配当控除などの各種税額控除を適用している場合に、該当する控除項目を通知し、該当しない項目は「*」(アスタリスク)で抹消して表示する仕組みになっています。ところが郵送した通知書の一部で、本来は該当している「配当控除」または「住宅耐震改修特別控除」までもが「*」で抹消されていたことが判明しました。具体的には、一般用の通知書では⑪の区分欄、変動所得のある方用の通知書では⑰の区分欄が該当します。

通知書の「予定納税基準額の計算の基礎」欄は、前年分の所得税額から各種の税額控除を差し引いて予定納税基準額を求める過程を示すもので、適用のある控除だけを残し、適用のない控除は「*」で消す仕様になっています。今回は、この「適用のない控除を消す」処理の対象範囲を誤り、本来残すべき配当控除・住宅耐震改修特別控除まで一緒に消してしまったものと考えられます。あくまで表示上の抽出処理の誤りであって、控除の適用そのものが取り消されたわけでも、税額の計算がやり直されたわけでもありません。

ここが重要
今回の誤りは「該当する控除項目が表示されていない」という印字上の問題であり、国税庁は金額など他の表示内容に誤りはないと明言しています。つまり、通知された予定納税額そのものは正しく、追加で納めたり返してもらったりする必要が生じるものではありません。

そもそも予定納税とは、その年の所得税をあらかじめ分割して前払いする制度です。前年分の所得金額や税額をもとに計算した「予定納税基準額」が15万円以上になる方が対象で、基準額の3分の1ずつを年2回に分けて納付します。今回の通知書は、この予定納税の対象者に対して6月に送付されたものであり、記載誤りもその対象者の一部に生じたものです。控除項目の印字が消えていたとしても、前払いする税額の計算根拠そのものが変わるわけではない、という点をまず押さえておきましょう。

ここで、今回抹消されてしまった2つの控除について簡単に確認しておきます。配当控除は、株式の配当などの配当所得を総合課税で確定申告した場合に、二重課税を調整するために所得税額から一定割合を差し引く税額控除です。住宅耐震改修特別控除は、一定の区域内にある住宅について現行の耐震基準に適合させる改修工事を行った場合に、その費用の一部を所得税額から控除できる制度です。いずれも「所得控除」ではなく税額から直接差し引く「税額控除」であり、予定納税基準額の計算にも織り込まれています。通知書の控除項目欄は、これらのうち自分がどれを適用しているかを一覧で示すためのものですが、今回はその表示部分だけに印字上の不具合が生じたわけです。

誰に影響するのか・実務上の影響

影響を受けるのは、令和7年分の確定申告で「配当控除」または「住宅耐震改修特別控除」を適用し、かつ令和8年分の予定納税の対象となっている方のうち、通知書でこれらの控除項目が「*」で抹消されていた方です。上場株式の配当を総合課税で申告して配当控除を受けた方や、自宅の耐震改修工事を行って住宅耐震改修特別控除を受けた方が典型例です。予定納税の対象になるのは前述のとおり予定納税基準額が15万円以上の方なので、一定以上の所得がある個人事業主や不動産オーナー、給与以外の所得が大きい方などが中心になります。

実務上の影響を正しく理解するうえで大切なのは、次の3点を切り分けて考えることです。

第一に、納付額への影響はありません。国税庁が金額に誤りはないと明言しているとおり、第1期・第2期に納める予定納税額は通知書に記載された金額のままで正しく、今回の記載誤りを理由に金額を訂正する必要はありません。第1期分の納付期間は7月1日から7月31日まで、第2期分は11月1日から11月30日までで、これも変わりません。予定納税額は、前年分の申告納税額などをもとに算出した予定納税基準額の3分の1という形で決まっており、その計算過程は控除項目の印字とは切り離されています。したがって、控除項目の表示が消えていても、前払いすべき金額の正しさは損なわれません。

第二に、確定申告での精算にも影響しません。予定納税額は、令和8年分の確定申告(令和9年に提出)で最終的な税額から差し引いて精算します。国税庁は通知書のなかでも「令和8年分の確定申告の際には、今回通知した予定納税額の合計欄の金額を忘れずに申告してください」と案内しており、この合計欄の金額に誤りはないため、精算も通常どおり行えます。

第三に、控除の適用状況を確認するきっかけとして活用できます。通知書の控除項目は本来、自分がどの税額控除を受けているかを示す情報です。印字が消えていたことで不安を感じた方は、これを機に令和7年分の申告内容を見直し、控除の適用漏れや誤りがないかを点検するとよいでしょう。特に配当所得を総合課税で申告している方は、配当控除の適用有無で税負担が大きく変わることがあり、翌年以降の申告方針を考えるうえでも自分の控除状況を正確に把握しておく意味があります。

また、予定納税は「前払い」であるという性質上、資金繰りへの影響も無視できません。第1期分は7月末、第2期分は11月末と、事業の繁忙期や賞与支給の時期と重なることも多く、まとまった納税資金の準備が必要です。今回の記載誤りを機に通知書を改めて見直し、年間の納税スケジュールを早めに把握しておくことは、資金計画の面でも有益です。次の表に、混同しやすい「金額」と「控除項目の表示」の位置づけを整理しました。

確認項目今回の記載誤りの有無対応の要否
予定納税額(第1期・第2期の金額)誤りなし通知書どおりに納付すればよい
予定納税額の合計欄誤りなし確定申告でそのまま使用
控除項目の印字(⑪欄・⑰欄)一部で配当控除等が誤って抹消申告書控えと照合して確認

なお、業績の悪化などで今年の所得が前年より大きく下がる見込みの方は、記載誤りとは別に「減額申請」で予定納税額そのものを減らせる可能性があります。資金繰りに直結する重要な手続きのため、個人事業主・フリーランスの所得税と確定申告のサポートを専門にしている税理士に早めに相談すると安心です。

当事務所の見解・実務上の注意点

今回のような公的機関の通知書の記載誤りは、内容を正しく理解すれば過度に不安を感じる必要はありません。一方で、通知書の「見方」を知らないまま放置してしまうと、本来確認すべきポイントを見落とすおそれもあります。当事務所の実務経験を踏まえ、3つの注意点を挙げます。

注意点1:まず「金額」と「控除項目の表示」を分けて読む

通知書を受け取ってまず確認すべきは、第1期・第2期に納める金額です。ここは誤りがないため、記載された金額をそのまま納付します。控除項目の印字(⑪欄・⑰欄)は、あくまで計算の内訳を示す参考情報であり、印字が消えていても納税額は変わりません。「金額は正しい/表示だけが一部消えている」という構造を理解しておくことが、落ち着いた対応の第一歩です。公的機関からの通知書は、一部の表示に不具合があるとどうしても全体を疑いたくなりますが、国税庁が誤りの範囲を「配当控除・住宅耐震改修特別控除の抹消」と具体的に特定し、金額に誤りがないと明言している点を冷静に受け止めることが大切です。

注意点2:申告書控えとの照合を習慣にする

自分の通知書が今回の記載誤りに該当するかは、令和7年分の確定申告書の控えを見れば確認できます。第二表や税額控除の欄で配当控除・住宅耐震改修特別控除を適用しているのに、通知書でそれらが「*」で消えていれば、今回のケースに当たります。確定申告書の控えは、こうした照合や金融機関への提出などで必要になる場面が多いため、毎年きちんと保管しておくことをおすすめします。

注意点3:不安な点は自己判断せず問い合わせる

控除項目の表示に疑問が残る場合は、令和7年分の確定申告書で申告した控除項目を確認するか、所轄の税務署を担当する業務センター、または通知書の封筒に記載の連絡先へ問い合わせます。国税庁は、電話の際に音声ガイダンスが流れたら「2」番を選択して管理運営部門へ問い合わせるよう案内しています。判断に迷う場合は、顧問税理士に通知書と申告書控えを見せて相談すれば、状況を正確に整理できます。

当事務所では、予定納税の通知書を受け取った段階で、金額の妥当性だけでなく、その年の業績見通しと照らして減額申請を行うべきかどうかまで一緒に検討することをおすすめしています。特に前年に一時的な高収益があった方や、今年の売上が落ち込む見込みの方は、前払いの負担が資金繰りを圧迫しやすいためです。通知書の記載誤りという今回の話題をきっかけに、自社・自身の納税計画を点検しておくと、後々の資金不足やあわてた対応を防ぐことができます。

今すぐやるべきこと(チェックリスト)

予定納税額の通知書が届いた方は、次の手順で確認と対応を進めましょう。特に減額申請を検討する方は、第1期分の期限が7月15日と近いため急ぐ必要があります。

  1. ステップ1:通知書の金額を確認する
    第1期分・第2期分の金額と合計欄を確認します。金額に誤りはないため、記載された金額が納付・申告の基礎になります。
  2. ステップ2:控除項目の印字を申告書控えと照合する
    令和7年分の確定申告書の控えを用意し、配当控除・住宅耐震改修特別控除を適用しているのに通知書で「*」抹消されていないかを確認します。
  3. ステップ3:不明点は業務センター等へ問い合わせる
    表示に疑問があれば、業務センターまたは封筒記載の連絡先へ。電話では音声ガイダンスで「2」番を選び管理運営部門へ問い合わせます。
  4. ステップ4:所得が下がる見込みなら減額申請を検討する
    廃業・休業・業況不振などで今年の申告納税見積額が予定納税基準額を下回る見込みなら、第1期・第2期分は7月15日まで、第2期分のみは11月15日までに減額申請書を提出します。
  5. ステップ5:第1期分を期限内に納付する
    減額申請をしない場合、または承認前でも、第1期分は7月31日までに納付します。納期限を過ぎると延滞税がかかる点に注意します。
手続き期間・期限(令和8年分)
予定納税 第1期分の納付7月1日〜7月31日
減額申請(第1期・第2期分)7月1日〜7月15日
予定納税 第2期分の納付11月1日〜11月30日
減額申請(第2期分のみ)11月1日〜11月15日

減額申請をするかどうかは、その年の所得見込みを踏まえた判断が必要です。見積りが甘いと後から不足分を納めることになり、逆に前払いのままにしておくと確定申告で還付されるまで資金が固定されてしまいます。事業の状況に応じた納税計画は継続的な相談が有効な分野のため、中小企業・個人事業主の税務顧問を活用して、予定納税や減額申請の判断を毎年見直す体制を整えておくと安心です。

納付・申請の期限に注意
期限が土曜・日曜・祝日にあたる場合は翌開庁日に繰り下がります。減額申請は申告納税見積額の根拠資料(損益計算書など)の添付が必要です。個別の判断は必ず最新の国税庁情報や税理士の確認に基づいて行ってください。

よくある質問

Q. 予定納税額の通知書の金額が間違っているのですか?
A. いいえ。今回の記載誤りは、配当控除・住宅耐震改修特別控除という控除項目の印字が一部で誤って「*」抹消されていたというものです。国税庁は金額など他の表示内容に誤りはないと明言しており、通知書に記載された予定納税額はそのまま正しい金額です。
Q. 自分の通知書が記載誤りに該当するか、どう確認すればよいですか?
A. 令和7年分の確定申告書の控えを確認してください。配当控除や住宅耐震改修特別控除を適用しているのに、通知書の⑪欄(変動所得のある方は⑰欄)で「*」抹消されていれば該当します。不明な場合は業務センターや封筒記載の連絡先に問い合わせられます。
Q. 記載誤りがあった場合、何か手続きは必要ですか?
A. 金額に誤りはないため、記載誤りを理由に訂正や再申告などの手続きをする必要はありません。通知書の金額どおりに納付し、令和8年分の確定申告で予定納税額の合計を申告すれば通常どおり精算されます。
Q. 予定納税額を減らすことはできますか?
A. 廃業・休業・業況不振などで、その年の申告納税見積額が予定納税基準額より少なくなる見込みの場合は、減額申請ができます。第1期・第2期分は7月15日まで、第2期分のみは11月15日までに、根拠資料を添えて減額申請書を提出します。
Q. 第1期分の納付期限はいつですか?
A. 令和8年分の第1期分の納付期間は7月1日から7月31日までです。第2期分は11月1日から11月30日までです。納期限が土日祝日にあたる場合は翌開庁日に繰り下がります。納期限を過ぎると延滞税がかかるため、期限内の納付を心がけてください。
Q. 減額申請にはどんな書類が必要ですか?
A. 「予定納税額の減額申請書」に加えて、申告納税見積額の根拠となる資料の添付が必要です。事業所得であれば、その年の見込みを示す損益計算書などが該当します。廃業・休業・業況不振のほか、災害・盗難・多額の医療費の発生なども減額が認められる場合があります。判断に迷うときは税理士に相談してください。
Q. 通知書を紛失した場合や、確定申告書の控えが手元にない場合はどうすればよいですか?
A. 控除項目や予定納税額の確認は、所轄の税務署を担当する業務センターや、通知書の封筒に記載の連絡先へ問い合わせて行えます。過去の申告内容は、e-Taxを利用している方であればマイページから確認できる場合もあります。まずは落ち着いて問い合わせ先に連絡し、本人確認のうえで案内を受けましょう。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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