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YouTube収入の消費税2026|不課税と課税の分かれ目を解説

YouTube収入の消費税における不課税と課税の分かれ目を解説する記事のアイキャッチ画像
この記事の要点3点

  • ポイント1:インターネット広告の配信・掲載は「電気通信利用役務の提供」に当たり、消費税の内外判定は役務の提供を受ける者(契約の相手方)の所在地で決まります(消費税法第4条第3項第3号)。
  • ポイント2:相手が国外法人なら国外取引で不課税、国内法人なら国内取引で課税10%です。同じ動画広告収入でも、国内の事務所や代理店を経由すると結論が逆になります。
  • ポイント3:不課税売上は課税売上高に含まれないため、免税点である1,000万円の判定に入りません。一方で国内案件は課税売上に入るため、収入の内訳を分けて管理しないと納税義務の判定を誤ります。

動画配信やブログ運営による広告収入について、「消費税はかからないと聞いたが本当か」「売上が1,000万円を超えたら消費税を納めるのか」という質問をよくいただきます。結論から言えば、判定の分かれ目は金額ではなく契約の相手方が国内法人か国外法人かです。ここを取り違えると、納める必要のない消費税を申告してしまったり、逆に課税事業者になっているのに気づかず無申告になったりします。

この記事では、YouTubeなどのプラットフォームから受け取る広告収入を題材に、消費税の内外判定の考え方と、国内案件が混ざったときの実務上の管理方法を、国税庁の公表資料をもとに整理します。

制度・改正の概要

制度の概要:電気通信利用役務の提供にあたる広告収入の内外判定が国境をまたぐ取引で決まることを表すイラスト

まず、なぜ広告収入の消費税が「相手の所在地」で決まるのかという法律上の枠組みを確認します。ここが分かれば、プラットフォームが変わっても自分で判定できるようになります。

インターネット広告は「電気通信利用役務の提供」

消費税法には「電気通信利用役務の提供」という区分があります。これは電気通信回線(インターネット等)を介して行われる著作物の提供その他の役務の提供を指します。国税庁のタックスアンサーNo.6118では、電子書籍・音楽・広告の配信などがこの区分の例として挙げられています。つまり、自分のチャンネルやサイトに広告を掲載して対価を受け取る行為は、この電気通信利用役務の提供に該当します。

この区分が設けられたのは2015年10月1日の改正によるものです。それ以前は役務の提供者の所在地で内外判定を行っていたため、国外の事業者が日本の消費者に電子書籍や音楽を配信しても日本の消費税が課されず、国内事業者との間で競争条件の不公平が生じていました。この不均衡を是正するために、判定基準が組み替えられたという経緯があります。

内外判定は「役務の提供を受ける者」の所在地で行う

電気通信利用役務の提供については、消費税法第4条第3項第3号により、役務の提供を受ける者の住所若しくは居所、または本店若しくは主たる事務所の所在地が国内にあるかどうかで内外判定を行います。国税庁も、国内の事業者・消費者に対して行われるものは、国内・国外いずれから行われるものも国内取引として消費税が課税されると説明しています。

この基準は逆向きにも働きます。日本の配信者が国外法人に対して広告掲載という役務を提供する場合、役務の提供を受ける者は国外にあるため、その取引は国外取引となり、日本の消費税の課税対象外(不課税)になります。

ここで押さえておきたいのは、これが「輸出免税」ではなく「不課税(課税対象外)」だという点です。輸出免税は国内取引を前提に税率をゼロとする扱いですが、不課税はそもそも課税の対象にならないという扱いです。後述するとおり、課税売上高への算入の有無に差が出るため、この違いは実務に直結します。

事業者向け電気通信利用役務とリバースチャージ方式

電気通信利用役務の提供のうち、役務の性質または取引条件等から、その役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものを「事業者向け電気通信利用役務の提供」といいます。国外事業者から事業者向けの役務提供を受けた国内事業者は、自らが納税義務者となって申告・納付を行います。これがリバースチャージ方式で、対象となる取引は「特定課税仕入れ」と呼ばれます。

この仕組みは、国外の広告プラットフォームに広告費を支払う側の論点です。広告収入を受け取る側である配信者にとっては、直接の申告義務が生じる話ではありませんが、同じ広告取引でも支払側と受取側で扱いが異なることを理解しておくと、混乱を避けられます。

契約先事業体は変わることがある

判定が相手方の所在地で決まる以上、実務では「誰と契約しているか」の確認が出発点になります。Googleのアドセンスについては、日本に居住する利用者の契約先事業体はシンガポールに拠点を置く Google Asia Pacific Pte. Ltd. とされており、これを前提に国外取引として不課税に扱うのが実務上の一般的な整理です。

ただし、契約先事業体は固定ではありません。広告を出稿する側のGoogle広告では、2019年4月に日本の広告主に関する契約が国内法人へ譲渡され、それまで国外事業者との取引だったものが国内の課税仕入れに変わりました。同じ企業グループのサービスでも、契約主体の変更によって消費税の扱いが変わった実例です。したがって、規約や支払明細で現在の契約先事業体を確認する習慣が必要です。

個人事業者・中小企業への実務影響

実務影響:YouTube収入の消費税区分と課税売上高の管理が必要になることを表すイラスト

ここからは、判定結果が申告実務にどう跳ね返るかを整理します。影響がもっとも大きいのは、納税義務の判定と収入の管理方法です。

不課税売上は1,000万円の判定に入らない

消費税の納税義務は、原則として基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判定されます。ここで重要なのは、不課税である国外取引は課税売上高に含まれないということです。

したがって、収入のすべてが国外プラットフォームからの広告収入であれば、金額が年間2,000万円あっても3,000万円あっても、課税売上高はゼロのままです。この場合、免税事業者の状態が続き、消費税の申告義務は生じません。「売上が1,000万円を超えたから消費税を納めなければ」と早合点して不要な申告をしてしまうのは、典型的な誤りです。

国内案件が混ざると結論が変わる

実務で問題になるのは、収入が一種類ではないケースです。多くの配信者・運営者は、次のように複数の収入源を持っています。

  • ☑ 国外プラットフォームからの広告収入(相手が国外法人なら不課税)
  • ☑ 国内企業とのタイアップ・企業案件(相手が国内法人なら課税)
  • ☑ 国内の事務所・MCN・代理店を経由した広告収入(相手が国内法人なら課税)
  • ☑ グッズ・電子コンテンツの国内販売(課税)
  • ☑ 視聴者からの投げ銭・メンバーシップ(プラットフォームの契約主体により判定)

この中で課税に該当するものだけを合計し、それが1,000万円を超えるかどうかで納税義務を判定します。とくに注意したいのが3番目です。同じ広告収入でも、国内の事務所や代理店と契約して支払を受ける形になっていれば、相手方は国内法人ですから国内取引として課税されます。プラットフォームから直接受け取っていたときは不課税だったものが、事務所に所属した途端に課税売上に変わる、ということが起こり得ます。冒頭で「金額ではなく相手方で決まる」と述べたのは、この意味です。

インボイスの交付義務も相手方で変わる

不課税取引については、適格請求書(インボイス)の交付義務は生じません。国外プラットフォームからの広告収入しかない場合、取引先からインボイスを求められる場面は通常ありません。

一方で国内企業との取引がある場合は話が別です。相手が課税事業者であれば、仕入税額控除のためにインボイスの交付を求めてくることがあります。免税事業者のままでは適格請求書を交付できないため、取引条件の交渉で不利になる場面が生じます。登録するかどうかは、国内案件の比重と取引先の要請を踏まえた経営判断です。個人事業主の税務サポートでも、この判断は収入構成の実態を見ながら個別に検討しています。

課税事業者になった場合の仕入税額控除

国内案件が増えて課税事業者になった場合、機材やソフト、外注費といった課税仕入れの取扱いが論点になります。ここで見落とされやすいのが、国外取引のために要した課税仕入れの扱いです。

消費税法基本通達11-2-13では、国外において行う資産の譲渡等のための課税仕入れ等について、個別対応方式を適用する場合には「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」として取り扱うこととされています。つまり、不課税の国外向け広告収入を得るために使った撮影機材や編集ソフトの消費税も、個別対応方式のもとでは課税売上対応として控除の対象になり得るということです。「不課税の売上に対応する仕入れだから控除できない」と決めつけるのは誤りです。もっとも、実際に還付が生じるかどうかは課税売上割合や他の取引の状況に左右されます。また免税事業者が控除を受けるには課税事業者選択届出書の提出が必要で、選択後は原則として2年間継続して課税事業者となる拘束があります。届出の前に、2年分の見通しを立てて有利不利を試算しておくべきです。

課税・不課税の判定パターン比較表

典型的な収入パターンごとの判定を整理します。

収入の形役務の提供を受ける者消費税の扱い課税売上高への算入
国外プラットフォームから直接受け取る広告収入国外法人国外取引(不課税)含めない
国内の事務所・代理店を経由した広告収入国内法人国内取引(課税10%)含める
国内企業との広告・タイアップ案件国内法人国内取引(課税10%)含める
国内向けのグッズ・電子コンテンツ販売国内の購入者国内取引(課税10%)含める
判定はあくまで契約の実態によります。表は典型的な整理であり、実際には契約書・利用規約・支払明細で「誰が支払者であり、誰が役務の提供を受ける者か」を確認する必要があります。国内の事務所を通していても、契約上はプラットフォームと直接の関係が維持され、事務所が単なる代理受領者にとどまる形態もあり得ます。形式的な入金経路だけで判断しないでください。

当事務所の見解・実務上の注意点

当事務所の見解:契約の相手方が国内法人か国外法人かを確認する実務上の注意点を表すイラスト

ここからは、実務家として押さえておきたい判断のポイントを述べます。

「不課税だから何もしなくてよい」ではない

消費税が不課税であっても、所得税・住民税の申告は当然必要です。広告収入は事業所得または雑所得として課税対象になりますから、消費税の話と所得税の話を混同しないことが大切です。「消費税がかからない」という情報だけを受け取って、確定申告そのものが不要だと誤解するケースを見かけますが、これはまったく別の問題です。

また、不課税であることを説明できる資料は残しておくべきです。契約先事業体が記載された規約の写しや、支払元が国外法人であることを示す支払明細を保存しておけば、後日の税務調査で内外判定の根拠を示せます。判定が正しくても、根拠資料がなければ説明に時間がかかります。

収入区分は「発生時点」で分けて記録する

もっとも実務的な助言は、会計処理の入口で収入を区分しておくことです。決算期末になってから1年分の入金を遡って分類する作業は、手間がかかるうえに漏れが生じます。会計ソフト上で「国外広告収入(不課税)」「国内広告収入(課税)」「物販(課税)」といった補助科目や税区分を設定し、入金のたびに振り分けていく運用にしておけば、課税売上高の集計は自動的に完成します。

この運用は、免税事業者のうちから始めておく価値があります。課税売上高が1,000万円を超えたかどうかは基準期間、つまり2年前の実績で判定されるため、区分を始めた時点から2年後の納税義務が見えるようになります。逆に区分していなければ、気づいたときには課税事業者になっていたという事態が起こります。

契約形態を変えるときは消費税も検討材料に入れる

事務所への所属やマネジメント契約の締結は、通常は収益機会や業務負担の観点から検討されます。しかし前述のとおり、契約形態が変わると同じ広告収入が不課税から課税に変わることがあります。課税売上高が増えれば、2年後に課税事業者となって消費税の納税義務が生じる可能性があります。

これは契約をやめるべきという話ではありません。手取りに与える影響を事前に織り込んでおくべきだという話です。契約条件の交渉段階で消費税の扱いを確認しておけば、報酬額の設定に反映できます。堺市の税務顧問としてご相談を受ける際も、契約形態の変更は税負担の変化とあわせて検討することをおすすめしています。判断材料が揃っていれば、契約後に想定外の負担が生じる事態は避けられます。

今すぐやるべきこと

今すぐやるべきこと:収入区分の整理とインボイス登録の判断を進める手順を表すイラスト

広告収入がある個人事業者・法人が、いま確認しておくべき手順を整理します。

  1. ステップ1:契約先事業体を確認する
    利用しているプラットフォームの規約または支払明細で、契約の相手方がどの法人かを確認します。国外法人であれば国外取引、国内法人であれば国内取引です。画面のスクリーンショットや規約の写しを保存し、確認した日付を記録しておいてください。契約先事業体は変更される可能性があるため、年1回は再確認する運用が安全です。
  2. ステップ2:収入源を洗い出して課税・不課税に区分する
    直近1年分の入金を、支払元ごとに一覧化します。国外プラットフォーム、国内代理店、国内企業案件、物販などに分け、それぞれの相手方の所在地を確認して課税・不課税を判定します。判断に迷う取引は、契約書で「誰が役務の提供を受ける者か」を確認します。
  3. ステップ3:課税売上高だけを集計して1,000万円と比較する
    区分した結果のうち課税に該当するものだけを合計し、基準期間(個人事業者は前々年)の課税売上高が1,000万円を超えているかを確認します。超えていれば課税事業者となり、消費税の申告義務があります。不課税分を含めて判定しないよう注意してください。
  4. ステップ4:会計ソフトの税区分を設定する
    今後の入金を発生時点で区分できるよう、会計ソフトに補助科目と税区分を設定します。国外向けは不課税(対象外)、国内向けは課税売上として登録します。この設定を済ませておけば、翌期以降の判定作業はほぼ不要になります。
  5. ステップ5:インボイス登録の必要性を判断する
    国内企業との取引がある場合は、取引先からインボイスの交付を求められる可能性を確認します。登録すれば免税事業者であっても課税事業者となり納税義務が生じるため、国内案件の比重と取引条件を踏まえて判断します。判断が難しい場合は税理士に相談してください。

よくある質問

Q. 動画広告の収入が年1,500万円ありますが、消費税の申告は必要ですか?
A. その収入が国外法人との取引であれば、国外取引として不課税となり課税売上高には含まれません。したがって、他に課税売上がなければ課税売上高はゼロで、消費税の納税義務は生じません。判定は金額ではなく契約の相手方の所在地で決まります。ただし国内企業とのタイアップや物販など課税売上が別にある場合は、その合計額で1,000万円を超えるかを判定する必要があります。なお消費税が不課税であっても、所得税・住民税の申告は別途必要です。両者を混同しないようご注意ください。
Q. 事務所に所属したら、消費税の扱いは変わりますか?
A. 変わる可能性があります。契約が国内の事務所との間で結ばれ、事務所から報酬を受け取る形になれば、役務の提供を受ける者は国内法人ですから国内取引として課税10%になります。これまで不課税だった収入が課税売上に変わるため、課税売上高が増え、2年後に課税事業者となる可能性があります。契約形態を変更する前に、契約書で支払者と役務の提供を受ける者を確認してください。ただし事務所が単なる代理受領者にとどまり、契約上はプラットフォームとの直接関係が維持される形態もあるため、入金経路だけでは判断できません。
Q. 不課税と輸出免税は何が違うのですか?
A. 輸出免税は国内取引であることを前提に、輸出取引等に該当するため税率をゼロとする扱いです。これに対し不課税は、内外判定の結果そもそも国内取引ではなく、消費税の課税対象にならないという扱いです。実務上の差は課税売上高の集計に現れます。輸出免税売上は課税売上高に含まれますが、不課税売上は含まれません。したがって同じ金額の国外向け収入でも、どちらに当たるかで納税義務の判定結果が変わることがあります。電気通信利用役務の提供は内外判定そのものが受け手基準となるため、相手が国外なら不課税として扱われます。
Q. 不課税の収入のために買った機材の消費税は控除できないのですか?
A. 控除できる場合があります。消費税法基本通達11-2-13では、国外において行う資産の譲渡等のための課税仕入れについて、個別対応方式を適用する場合には「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」として取り扱うこととされています。したがって課税事業者であれば、国外向け収入のための機材購入等も課税売上対応として控除の対象になり得ます。実際に還付が生じるかは課税売上割合や他の取引の状況によるため、個別の試算が必要です。
Q. 契約先が国外法人かどうかは、どこで確認すればよいですか?
A. プラットフォームの利用規約や、アカウント画面に表示される契約先事業体の記載、および支払明細の支払元名義で確認します。Googleのアドセンスの場合、日本に居住する利用者の契約先事業体はシンガポールに拠点を置く法人とされています。ただし契約先事業体は変更されることがあり、Google広告では2019年4月に国内法人へ契約が譲渡された実例があります。年1回は再確認し、確認時点の記録を残しておくことをおすすめします。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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