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ふるさと納税2026|ポイント付与禁止後の選び方とワンストップ特例の実務
この記事の要点3点
- 2025年(令和7年)10月1日から、寄附者にポイントを付与する仲介サイトを通じたふるさと納税の募集が総務省のルールで禁止されました。
- 影響を受けるのは仲介サイトのポイント還元のみで、寄附金控除の仕組み(自己負担2,000円・控除上限)そのものは変わりません。
- ポイント目当ての選び方から、返礼品の魅力や使い勝手で選ぶ本来の形へ。控除を受けるにはワンストップ特例(翌年1月10日必着)か確定申告が必要です。
2025年10月から、ふるさと納税のルールが大きく変わりました。寄附者にポイントを付与する仲介サイトを通じた募集が禁止され、これまで当たり前だった「ポイント還元を狙った寄附」ができなくなっています。とはいえ、ふるさと納税そのものが使えなくなったわけではありません。自己負担2,000円で返礼品を受け取り、寄附金控除を受けられる仕組みは従来どおりです。本記事では、ポイント付与禁止の内容と背景、寄附者への実務影響、控除を確実に受けるためのワンストップ特例と確定申告の使い分けを、総務省・国税庁の公表情報に基づいて税理士が整理します。
ポイント付与禁止の概要とふるさと納税の基本
総務省が定めるふるさと納税の指定基準(募集の適正な実施に係る基準)の見直しにより、2025年(令和7年)10月1日から、寄附者に対してポイント等を付与する仲介サイトを通じて自治体が寄附を募集することが禁止されました。これにより、仲介サイトが独自に行ってきた「寄附額の数%分のポイント還元」といった上乗せ施策は、ふるさと納税の寄附については行えなくなりました。
背景には、ポイント還元をめぐる仲介サイト間の競争が過熱し、本来は地方を応援するという制度の趣旨から離れて「どのサイトがお得か」という還元率競争に偏っていたことがあります。総務省はこうした状況を是正し、寄附がより多く自治体に届くようにする狙いから、ポイント付与による募集を制限しました。なお、禁止の対象はあくまで仲介サイトを通じた寄附への上乗せポイントであり、クレジットカードの通常決済で付くポイントのような、一般の商取引の決済に伴って提供されるものは引き続き対象外とされています。
ふるさと納税については、近年たびたびルールの厳格化が行われてきました。返礼品の調達費用を寄附額の3割以下に抑える「3割ルール」、送料や事務費を含めた経費全体を5割以下とする「5割ルール」、さらに返礼品を地場産品に限定する基準などが順次導入され、過度な返礼品競争に歯止めがかけられてきた経緯があります。今回のポイント付与の禁止も、こうした適正化の流れの延長線上にある見直しと位置づけられます。制度の趣旨に沿った運用へと軌道修正が続いている、と理解しておくとよいでしょう。
ふるさと納税の基本はこれまでどおり
誤解されやすいのですが、今回の見直しで変わったのは仲介サイトのポイント還元だけで、ふるさと納税の控除の仕組みそのものは変わっていません。ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附をすると、寄附額のうち2,000円を超える部分が所得税と翌年度の住民税から原則として全額控除される制度です。自己負担となる2,000円は寄附1回ごとではなく、1年間(1月〜12月)の寄附金総額に対して必要となるものです。
ふるさと納税の基本
・自己負担は年間2,000円(寄附の回数にかかわらず合計で2,000円)
・2,000円を超える部分が所得税・翌年度住民税から原則全額控除(上限あり)
・返礼品の調達費用は寄附額の3割以下とするルールが維持されている
・自己負担は年間2,000円(寄附の回数にかかわらず合計で2,000円)
・2,000円を超える部分が所得税・翌年度住民税から原則全額控除(上限あり)
・返礼品の調達費用は寄附額の3割以下とするルールが維持されている
返礼品についても、調達費用は寄附額の3割以下、送料などを含む経費全体は5割以下とする総務省の基準が引き続き適用されており、この点も今回の見直しでは変わっていません。ポイント還元がなくなった分、寄附者は返礼品の内容や自治体の使い道といった、制度本来の価値で寄附先を選ぶことになります。
寄附者への実務影響と控除の受け方
今回の変更で、ふるさと納税の「お得さ」の感覚は変わります。これまではポイント還元を含めた実質的な還元率で寄附先やサイトを選ぶ人が多くいましたが、今後は返礼品そのものの魅力や、寄附手続きのしやすさ、寄附金の使い道で選ぶのが基本になります。一方で、控除の上限額や手続きは従来と同じですので、仕組みを正しく理解しておけば損をすることはありません。
控除上限は年収と家族構成で決まる
ふるさと納税で全額控除(自己負担2,000円のみ)となる寄附額には上限があり、その人の年収や家族構成、他の控除の状況によって変わります。控除は次の3つで構成されます。所得税からの控除は「(寄附額-2,000円)×所得税率」、住民税の基本分は「(寄附額-2,000円)×10%」、そして住民税の特例分が残りを担います。この特例分には「住民税所得割額の2割」という上限が設けられており、これが実質的な寄附上限を決める要素になります。上限を超えて寄附した部分は自己負担になるため、年末にまとめて寄附する場合はとくに上限の確認が重要です。
控除を受けるにはワンストップ特例か確定申告
寄附をしただけでは控除は受けられません。控除を受けるには、ワンストップ特例制度を使うか、確定申告をする必要があります。どちらを選ぶべきかは、その人の状況によって決まります。
| 項目 | ワンストップ特例 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 利用できる人 | 確定申告が不要な給与所得者等 | 誰でも利用可 |
| 寄附先の数 | 1年間で5団体以内 | 制限なし |
| 手続き | 各自治体へ申告特例申請書を提出 | 確定申告書に寄附金控除を記載 |
| 期限 | 寄附の翌年1月10日必着 | 原則として翌年3月15日 |
| 控除のされ方 | 全額が翌年度の住民税から控除 | 所得税の還付+翌年度住民税の控除 |
ワンストップ特例は、確定申告をする必要のない給与所得者等で、かつ寄附先が1年間で5団体以内の場合に使えます。寄附した各自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出すれば、確定申告をしなくても控除を受けられます。申請書は寄附をした翌年の1月10日必着で各自治体に届く必要があり、これを過ぎると確定申告が必要になります。ワンストップ特例では所得税からの控除は行われず、その分も含めて全額が翌年度の住民税から控除される点が確定申告との違いです。
一方、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)などで確定申告をする人、寄附先が6団体以上になった人、個人事業主や不動産所得のある人などは、確定申告でふるさと納税の寄附金控除を申告します。確定申告ではマイナポータル連携を利用すると、寄附金受領証明書等のデータが自動で入力でき、入力の手間と転記ミスを減らせます。
控除が反映されるタイミングに注意
控除がいつ反映されるかも、ワンストップ特例と確定申告で異なります。確定申告の場合、所得税分は申告後におおむね1〜2か月で還付され、住民税分は寄附した翌年度(6月以降)の住民税が軽減される形で反映されます。一方、ワンストップ特例では所得税からの還付はなく、寄附した翌年度の住民税からまとめて控除されます。いずれの場合も、寄附した年にすぐ現金が戻ってくるわけではなく、翌年度の住民税の通知書で控除額を確認するのが基本です。給与所得者の方は、翌年6月ごろに勤務先から配られる住民税の決定通知書で、寄附額からおおむね2,000円を差し引いた金額が控除されているかをチェックするとよいでしょう。
上限額の具体的なイメージ
控除上限の目安は、年収や家族構成によって大きく変わります。たとえば、給与収入が同じでも、扶養している家族がいるかどうか、配偶者の収入の有無などで上限は前後します。住宅ローン控除や医療費控除など、住民税所得割を減らす他の控除が多い年は、ふるさと納税の上限も下がる傾向にあります。年の途中で収入が大きく変動した場合は、当初の見込みより上限が下がっていることもあるため、年末に改めて見直すことが大切です。正確な上限は最終的な所得と控除が確定して初めて決まりますので、シミュレーションはあくまで目安として、余裕をもった寄附額に抑えておくと安心です。
注意:ワンストップ特例を申請した人でも、後から医療費控除などのために確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります。この場合、確定申告でふるさと納税分もあわせて申告し直す必要があります。申告漏れにより控除を受けられないことのないよう注意しましょう。
当事務所の見解・実務上の注意点
「お得さ」から「応援」への原点回帰
ポイント付与の禁止は、短期的には寄附者にとっての実質的な還元率の低下を意味します。しかし、ふるさと納税はもともと地方を応援し、その返礼として地域の特産品を受け取る制度です。ポイント競争がなくなったことで、返礼品の質や自治体の取り組みで選ぶという本来の姿に近づくとも言えるでしょう。寄附先を選ぶ際は、還元率の数字だけでなく、応援したい地域や寄附金の使い道に目を向けてみるとよいでしょう。とはいえ、自己負担2,000円で各地の特産品を受け取れるという基本的なメリットは何も変わっていません。仕組みを正しく理解し、上限の範囲内で計画的に活用すれば、引き続き家計にとって有効な制度であることに変わりはありません。
会社員こそ年末の段取りが大切
給与所得者の多くはワンストップ特例を使えますが、寄附先が5団体を超えた瞬間にこの特例は使えなくなります。複数のサイトで少額ずつ寄附していると、知らないうちに6団体以上になっていることがあります。寄附先の数は年間を通じて管理し、5団体以内に収めるか、6団体以上になるなら最初から確定申告を前提に進めるのが安全です。また、申告特例申請書の提出を忘れると控除が受けられないため、寄附のたびに申請書を出す習慣をつけておくことをおすすめします。最近は自治体や仲介サイトのオンライン申請に対応するケースも増えていますが、対応状況は自治体によって異なるため、紙の申請書を郵送する場合は1月10日必着の期限から逆算して投函することが大切です。
経営者・個人事業主は確定申告で一括管理
会社経営者で役員報酬以外に確定申告が必要な方や、個人事業主の方は、そもそもワンストップ特例の対象外となるケースが多いため、確定申告でふるさと納税を申告します。事業の確定申告とあわせて寄附金控除を記載すればよいので、寄附先の数を気にする必要はありません。所得が変動しやすい事業者の方は、その年の所得が固まってくる年末に上限額を見直してから寄附すると、上限超過による自己負担の増加を防げます。役員報酬が高めの経営者の方は控除上限も大きくなりやすい一方、業績や決算賞与の状況で課税所得が大きく動くため、概算で多めに寄附してしまうと上限超過分が自己負担になりかねません。決算の着地が見えてから寄附額を最終調整するのが堅実です。
地場産品を扱う事業者にとっての影響
返礼品を提供する地域の事業者にとっては、ポイント還元競争の終了は必ずしも悪い話ではありません。これまでは寄附者がポイント還元率でサイトや寄附先を選ぶ傾向が強く、返礼品そのものの魅力が埋もれがちでした。ポイントという横並びの要素がなくなったことで、商品の質やストーリー、リピートしたくなる体験で選ばれる余地が広がります。地域の特産品を扱う中小事業者は、返礼品の見せ方や同梱物による情報発信を工夫することで、安定した寄附の獲得につなげられる可能性があります。制度変更は、自社の強みを改めて磨く好機とも言えるでしょう。
今すぐやるべきこと
ポイント還元がなくなった今こそ、控除の仕組みを正しく押さえて、無駄なく寄附することが大切です。手続きの順番を間違えると控除を受けられないこともあるため、以下のステップで進めましょう。なお、年末は寄附も申請も駆け込みで混み合うため、余裕をもって早めに動くことが失敗を防ぐ最大のコツです。
- ステップ1:自分の控除上限額を確認する
年収と家族構成、他の控除の状況から、その年の控除上限額の目安を確認します。各仲介サイトのシミュレーションや、正確には源泉徴収票・所得の見込みをもとに試算します。 - ステップ2:寄附先の数を管理する
ワンストップ特例を使うなら、寄附先は1年間で5団体以内に収めます。6団体以上になりそうなら、最初から確定申告を前提にします。 - ステップ3:ワンストップ特例の申請書を期限内に提出する
寄附した各自治体へ「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を、寄附の翌年1月10日必着で提出します。年末の寄附は提出期限が迫るため早めに手続きします。 - ステップ4:確定申告する人はマイナポータル連携を活用する
医療費控除などで確定申告をする人は、ふるさと納税分もあわせて申告します。マイナポータル連携で寄附金受領証明書データを自動入力すると効率的です。 - ステップ5:受領証明書を保管する
寄附後に届く寄附金受領証明書は、確定申告や問い合わせの際に必要です。電子データも含めて1年分をまとめて保管しておきます。
- ☑ その年の控除上限額の目安を確認した
- ☑ 寄附先が5団体以内か、確定申告が必要かを判断した
- ☑ ワンストップ特例の申請書を翌年1月10日必着で提出する段取りをした
- ☑ 寄附金受領証明書を保管している
よくある質問
- Q. ポイント付与の禁止はいつから始まりましたか?
- A. 2025年(令和7年)10月1日からです。総務省のふるさと納税の指定基準の見直しにより、寄附者にポイントを付与する仲介サイトを通じた自治体の募集が禁止されました。クレジットカードの通常決済で付くポイントなど、一般の商取引の決済に伴うものは対象外です。
- Q. ふるさと納税自体ができなくなったのですか?
- A. いいえ。できなくなったのは仲介サイトによるポイント還元だけで、ふるさと納税の制度や寄附金控除の仕組みは従来どおりです。自己負担2,000円で返礼品を受け取り、上限の範囲内で寄附額が所得税・住民税から控除される点は変わりません。
- Q. ワンストップ特例と確定申告はどちらを使えばよいですか?
- A. 確定申告が不要な給与所得者等で寄附先が5団体以内ならワンストップ特例が手軽です。医療費控除などで確定申告をする人、寄附先が6団体以上の人、個人事業主などは確定申告でまとめて申告します。両者で控除の総額はほぼ変わりません。
- Q. ワンストップ特例の申請期限はいつですか?
- A. 寄附をした翌年の1月10日必着です。寄附した各自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」が期限までに届く必要があります。間に合わなかった場合や寄附先が6団体以上になった場合は、確定申告で控除を受けることになります。
- Q. 控除の上限額はどのように決まりますか?
- A. 年収や家族構成、他の控除の状況によって変わります。住民税の特例分は「住民税所得割額の2割」が上限とされており、これが実質的な寄附上限を左右します。上限を超えた寄附は自己負担になるため、寄附前にシミュレーションで目安を確認しましょう。
- Q. ワンストップ特例を申請した後に確定申告をしても大丈夫ですか?
- A. 確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります。後から医療費控除などで確定申告をする場合は、ふるさと納税の寄附金控除も確定申告であわせて申告し直す必要があります。申告漏れにならないよう注意してください。
参考資料・出典
本記事は道濟会計事務所が監修しました。