堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
高齢者医療費の窓口負担2026|社会保障改革の工程表を税理士が解説
この記事の要点3点
- ポイント1:2026年7月21日に閣議決定された「骨太の方針2026」で、70歳以上の医療費窓口負担の見直しに向けた改革工程表を2026年度末までに策定する方針が明記されました(負担割合そのものはまだ決まっていません)。
- ポイント2:あわせて現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げを目指す方針と、第3号被保険者制度の見直しも盛り込まれ、社会保険料を労使折半で負担する中小企業に中期的な影響が及びます。
- ポイント3:いま企業が行うべきは「3割負担が決まった」といった誤情報に惑わされず、社会保険料コストの試算とパート従業員の働き方の確認を進め、年末に向けた工程表の内容を注視することです。
「高齢者の医療費が3割負担になるらしい」「現役世代の保険料が下がるって本当?」——2026年7月21日に閣議決定された「骨太の方針2026」をきっかけに、こうした声が経営者や従業員の間で広がっています。しかし報道の見出しだけを見て早合点すると、事実を取り違えかねません。この記事では、今回決まったことと、これから決まることを切り分けたうえで、社会保険料を労使折半で負担する中小企業にどのような影響が及ぶのかを、税理士の視点で整理します。制度の全体像だけでなく、経営者がいま何を確認し、何を準備しておくべきかまで具体的にお伝えします。誤情報に振り回されず、落ち着いて備えるための第一歩にしてください。
社会保障改革と高齢者医療費窓口負担の見直し概要
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政府は2026年7月21日、経済財政運営の指針である「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針2026)」を閣議決定しました。高市政権として初めての骨太の方針であり、その社会保障分野には、自民党と日本維新の会が2025年10月の連立合意にもとづき協議してきた社会保障制度改革13項目の骨子が反映されています。ここで押さえておきたいのは、今回の骨太の方針で「決定」されたのは改革を進める方針と検討のスケジュールであり、個々の負担割合そのものが確定したわけではないという点です。
高齢者医療費の窓口負担は「工程表の策定」が決まった段階
骨太の方針2026では、70歳以上の医療費窓口負担割合について「年齢によらない真に公平な応能負担」を実現する観点から見直すとされ、2026年度末までに改革の工程表を策定する方針が明記されました。工程表のなかで検討される主な論点は次のとおりです。
- 原則3割負担である現役世代との公平性の観点からの負担割合の見直し
- 70歳以上の外来受診の自己負担を抑える「外来特例」のあり方
- 負担割合の区切りとなる所得基準の見直し
- 2割・3割負担の対象年齢の引き上げ
誤解しやすいポイント
「高齢者の医療費が一律3割になる」と決まったわけではありません。閣議決定されたのは見直しを検討し、2026年度末までに工程表をつくるという方針です。具体的な負担割合・所得基準・対象年齢は、年末の2027年度予算編成の過程などを通じてこれから議論されます。実際、財政制度等審議会は2026年4月に「原則3割へ」の工程表策定を提言していますが、実現には国会での法改正が必要であり、現時点では確定していません。
「高齢者の医療費が一律3割になる」と決まったわけではありません。閣議決定されたのは見直しを検討し、2026年度末までに工程表をつくるという方針です。具体的な負担割合・所得基準・対象年齢は、年末の2027年度予算編成の過程などを通じてこれから議論されます。実際、財政制度等審議会は2026年4月に「原則3割へ」の工程表策定を提言していますが、実現には国会での法改正が必要であり、現時点では確定していません。
現役世代の保険料は「上昇を止め、引き下げを目指す」方針
骨太の方針2026では、医療や介護を中心とした社会保障制度改革を着実に進めることで、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げを目指すと明記されました。これは高齢者医療費の見直しと表裏一体の考え方です。高齢化にともなって現役世代が支える負担が年々重くなってきたことを背景に、「支え手」である現役世代の保険料を抑えることが今回の改革の大きな狙いとされています。あわせて社会保障改革については、2026年度中に改革項目を具体化し、工程を明確化したうえで順次実施するとされました。
第3号被保険者制度の見直しとマイナンバーの活用
今回の骨子には、会社員などに扶養される配偶者(年収130万円未満)が保険料の自己負担なく将来の基礎年金を受給できる「第3号被保険者制度」の見直しも盛り込まれました。パートタイムで働く配偶者の働き方や、いわゆる「年収の壁」の議論と密接に関わるテーマです。さらに、マイナンバー制度を活用して所得・資産情報を把握する基盤を早急に整備し、負担のあり方に反映する方針も示されています。いずれも「見直しの方向性」が示された段階であり、具体的な制度設計はこれからです。
改革が議論される背景
こうした改革が急がれる背景には、少子高齢化による社会保障費の増大があります。医療・介護・年金の給付は高齢化とともに増え続ける一方、それを支える現役世代は減少しています。その結果、現役世代1人あたりが負担する保険料は年々重くなり、手取りを圧迫してきました。自民党と日本維新の会は2025年10月の連立合意で13項目の社会保障改革に取り組むことを掲げ、そのなかで「年齢ではなく負担能力に応じて公平に支え合う」という考え方を打ち出しています。今回の高齢者医療費の窓口負担の見直しや現役世代の保険料抑制は、この「応能負担」への転換を具体化する一環と位置づけられています。中小企業の経営者にとっては、従業員の生活と会社の負担の双方に関わる、長期的な視点で追うべきテーマといえます。
中小企業への実務影響と保険料負担
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「高齢者の医療費」と聞くと、自社には関係が薄いと感じる経営者もいるかもしれません。しかし社会保障改革は、社会保険料を労使折半で負担する事業者にとって、人件費の中期的な見通しに直結するテーマです。ここでは中小企業の実務に引き寄せて、影響しうるポイントを整理します。
社会保険料は会社が半分を負担している
健康保険料・厚生年金保険料は、従業員と会社が原則として折半で負担します。つまり従業員の給与から天引きされる保険料と同額を、会社も負担しているということです。たとえば月給30万円の従業員1人あたり、会社が負担する社会保険料はおおむね月4万円台後半にのぼり、従業員数が増えるほど法定福利費は経営の重い固定費になります。今回の改革が目指す「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げる」という方向は、実現すれば従業員だけでなく会社の保険料負担の抑制にもつながります。人件費に占める法定福利費の割合が年々高まるなかで、経営者にとって注視すべき前向きな論点といえます。ただし、これはあくまで「目指す」方針であり、実際の料率がすぐに下がると確定したわけではない点には注意が必要です。高齢者医療を支える仕組みとしては、健康保険料に上乗せして徴収される「後期高齢者支援金」もあり、高齢者側の負担のあり方は現役世代・企業の負担とも連動しています。
第3号被保険者制度の見直しはパート従業員の働き方に影響
第3号被保険者制度の見直しは、配偶者をパートで扶養に入れている家庭の働き方に関わります。すでに進んでいる社会保険の適用拡大(いわゆる106万円の壁の撤廃や企業規模要件の段階的廃止)とあわせて考えると、これまで扶養の範囲内で働いていたパート従業員が、今後は自ら社会保険に加入するケースが増える可能性があります。パート比率の高い小売・飲食・サービス業などでは、従業員の就業調整や、会社側の社会保険料負担の増加につながることも想定されるため、早めにシフトや賃金設計を見直す視点が求められます。社会保険や給与計算の複雑化に備え、堺市で相談先を探すなら、労務まで見据えた堺市の税務顧問の活用も選択肢になります。
高齢の従業員・役員を雇用している場合
近年は70歳を超えても働く方が増えています。高齢者医療費の窓口負担が見直されれば、在職する高齢従業員や高齢の役員本人の医療費負担が変わる可能性があります。給与や退職後の生活設計にも関わるため、経営者・役員自身のライフプランの観点からも情報を追っておく価値があります。特に自社で長く働いてくれているベテラン従業員がいる場合、制度変更が本人の生活に与える影響を経営者として理解しておくことは、安心して働き続けてもらう環境づくりにもつながります。ただし繰り返しになりますが、負担割合の具体的な変更は決まっていません。
いま企業がとるべきスタンス
今回の骨太の方針は「方針と検討スケジュール」を示したものです。慌てて制度対応をする段階ではありませんが、社会保険料は人件費の大きな部分を占めます。決定事項と検討事項を切り分けて理解し、自社の保険料コストの見通しを立てておくことが、現時点でできる最も実践的な備えです。
今回の骨太の方針は「方針と検討スケジュール」を示したものです。慌てて制度対応をする段階ではありませんが、社会保険料は人件費の大きな部分を占めます。決定事項と検討事項を切り分けて理解し、自社の保険料コストの見通しを立てておくことが、現時点でできる最も実践的な備えです。
決まったこと・これから決まることの比較
報道では見出しが強調されがちですが、実務では「何が確定し、何が未定か」を正しく区別することが欠かせません。今回の骨太の方針2026の内容を整理すると次のようになります。
| 項目 | 今回決まったこと | これから決まること |
|---|---|---|
| 高齢者の窓口負担 | 見直しに向けて2026年度末までに工程表を策定する方針 | 具体的な負担割合・所得基準・対象年齢・外来特例のあり方 |
| 現役世代の保険料 | 上昇を止め、引き下げを目指す方針 | 実際の料率の水準・引き下げ幅・実施時期 |
| 第3号被保険者制度 | 見直しを行う方針 | 見直しの具体的な内容・時期 |
| 所得・資産の把握 | マイナンバーを活用した把握基盤の整備方針 | 制度への具体的な反映方法 |
参考までに、現在の75歳以上(後期高齢者医療制度)の窓口負担は次の3区分です。今後の議論の出発点として押さえておきましょう。
| 負担割合 | 主な対象 |
|---|---|
| 1割 | 一般所得者(下記2割・3割に該当しない方) |
| 2割 | 一定以上の所得がある方(2022年10月導入、対象は約370万人)。世帯に課税所得28万円以上の被保険者がいて、年金収入等が単身200万円以上・複数320万円以上などの基準を満たす場合 |
| 3割 | 現役並み所得者(課税所得145万円以上などの基準に該当する方) |
当事務所の見解・実務上の注意点
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「3割負担が決まった」という誤情報に注意
今回の報道を受けて、「高齢者の医療費が一律3割になる」という断定的な情報が独り歩きしています。しかし前述のとおり、閣議決定されたのは工程表を策定するという方針にすぎません。従業員や取引先から質問を受けた際に、経営者が誤った理解のまま説明してしまうと、不要な不安を広げることになりかねません。まずは「決定事項と検討事項を分けて理解する」ことが、専門家として最もお伝えしたい点です。
方向性は現役世代・企業にとって前向きだが、財源は不透明
現役世代の保険料の上昇を止め、引き下げを目指すという方向性そのものは、保険料を折半で負担する中小企業にとって歓迎すべきものです。一方で、その財源をどこに求めるのか(高齢者の負担増か、公費か、給付の効率化か)はこれからの議論です。過度に楽観も悲観もせず、年末の工程表の内容を見極めてから具体的な対応を検討するのが現実的です。私たちが日々の顧問業務で経営者にお伝えしているのも、「制度の見出しに一喜一憂するのではなく、自社の数字に落とし込んで考える」という姿勢です。料率が仮に0.1ポイント動いただけでも、従業員数の多い会社では年間の負担が大きく変わります。だからこそ、確定していない段階から自社の保険料コストを把握しておくことに意味があります。
「年収の壁」対策とあわせて中期的に人件費を設計する
第3号被保険者制度の見直しや社会保険の適用拡大は、パート従業員の就業調整・賃金設計と切り離せません。目先の制度対応に追われるのではなく、数年先を見据えて「社会保険料を含めた人件費が今後どう推移するか」をシミュレーションしておくことをおすすめします。給与計算や社会保険の手続きが煩雑になりがちな場面では、記帳・給与計算の代行を活用して本業に集中する体制を整えるのも有効です。
今すぐやるべきこと
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制度が動くのはこれからですが、情報の受け止め方と社内の準備は今から整えられます。次の手順で落ち着いて備えましょう。
- ステップ1:決定事項と検討事項を切り分けて把握する
「工程表の策定が決まった」段階であることを社内で共有し、断定的な誤情報に流されないようにします。一次情報は内閣府・厚生労働省の公表資料で確認しましょう。 - ステップ2:自社の社会保険料コストを試算する
現在の従業員数・給与水準をもとに、会社負担分の社会保険料を年額で把握します。料率が変動した場合の影響を試算しておくと、資金計画に反映しやすくなります。 - ステップ3:パート従業員の働き方と適用拡大を確認する
扶養の範囲で働くパート従業員について、社会保険の適用拡大や第3号見直しの影響を受けやすい層を洗い出し、シフトや賃金の設計を点検します。 - ステップ4:高齢の従業員・役員の状況を確認する
70歳以上の従業員や役員がいる場合、本人の医療費負担が将来変わりうることを念頭に、ライフプランや退職金設計と合わせて情報を追います。 - ステップ5:年末の工程表公表に向けて専門家に相談する
2026年度末に向けて工程表の内容が具体化します。自社への影響が読みにくい場合は、早めに顧問税理士や社会保険労務士に相談し、対応の選択肢を整理しておきましょう。
よくある質問
- Q. 高齢者の医療費はもう3割負担に決まったのですか?
- A. いいえ、決まっていません。骨太の方針2026で決定されたのは、70歳以上の窓口負担の見直しに向けて2026年度末までに改革工程表を策定するという方針です。具体的な負担割合や所得基準、対象年齢は、これからの議論と法改正を経て決まります。
- Q. 現役世代の保険料は本当に下がるのですか?
- A. 骨太の方針2026には「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げを目指す」と明記されていますが、これは目標を示したものです。実際の料率や引き下げ幅、時期は今後の制度設計と財源の議論によります。確定した引き下げが約束されたわけではありません。
- Q. 第3号被保険者制度の見直しは会社にどう影響しますか?
- A. 配偶者を扶養に入れて働くパート従業員の働き方に影響する可能性があります。社会保険の適用拡大と相まって、扶養の範囲を超えて自ら社会保険に加入する従業員が増えれば、会社の保険料負担やシフト設計に影響します。ただし見直しの具体的な内容はまだ示されていません。
- Q. いま会社として何か手続きをする必要はありますか?
- A. 現時点で新たな手続きは必要ありません。制度が動くのはこれからです。まずは決定事項と検討事項を正しく理解し、自社の社会保険料コストの把握とパート従業員の働き方の確認を進めておくことが、実践的な備えになります。
- Q. 工程表はいつ公表されるのですか?
- A. 骨太の方針2026では2026年度末までに改革工程表を策定するとされています。年末の2027年度予算編成の過程などを通じて具体化が進む見込みです。内容が明らかになり次第、自社への影響を確認することをおすすめします。
- Q. 「106万円の壁」や「130万円の壁」とは関係がありますか?
- A. 関係があります。第3号被保険者制度の見直しは、扶養の範囲で働く配偶者の社会保険加入に関わるテーマで、いわゆる「年収の壁」の議論と地続きです。すでに進む社会保険の適用拡大とあわせて、パート従業員の働き方と会社の保険料負担に中期的な影響が及ぶ可能性があります。
- Q. 経営者や役員自身の医療費負担も変わりますか?
- A. 将来的には変わる可能性があります。今回検討される70歳以上の窓口負担や所得基準の見直しは、高齢の経営者・役員本人にも関わります。ただし具体的な負担割合や対象年齢は未定です。ご自身のライフプランや退職金設計とあわせて、確定情報が出た段階で見直すとよいでしょう。
参考資料・出典
- 内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針2026)」(2026年7月21日閣議決定)
- 厚生労働省「医療保険制度」
- 政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」
- 厚生労働省「第3号被保険者制度」
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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