堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
法人の寄附金の損金不算入2026|限度額の計算を税理士が解説
この記事の要点3点
- ポイント1:法人の寄附金は「国・地方公共団体等」「特定公益増進法人等」「一般」の3区分に分かれ、区分ごとに損金にできる上限(損金算入限度額)が決まっています。全額を経費にできるとは限りません。
- ポイント2:中小企業(普通法人)が最も使う一般の寄附金の損金算入限度額は、原則として〔資本金基準+所得基準〕×4分の1で計算します。限度額を超えた部分は損金不算入となり、法人税の負担が増えます。
- ポイント3:決算期末に慌てないよう、寄附の相手先が「特別枠」を使える法人か、現実に支出したのはいつかを、支出前に確認しておくことがすぐやるべきことです。
「取引先の被災地支援に寄附をした」「地元の団体に協賛金を出した」——こうした支出は、法人の善意であると同時に、法人税では扱いに注意が必要な費用です。寄附金は原則として全額が経費(損金)になるわけではなく、区分に応じた上限までしか損金にできません。上限の考え方を知らないまま決算を迎えると、思わぬ税負担が生じることがあります。とくに資本金の小さい中小企業ほど限度額は小さくなりがちで、「良かれと思った寄附の一部が経費にならなかった」という事態も起こります。本記事では、法人の寄附金の損金不算入の仕組みと限度額の計算方法を、中小企業の実務目線で税理士が整理します。
制度・改正の概要
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法人税では、法人が支出した寄附金の全額を無条件に損金(税務上の経費)とすることは認められていません。寄附金は事業との直接的な対価性がなく、無制限に損金算入を認めると課税の公平が損なわれるためです。そこで法人税法第37条は、寄附金を性質ごとに区分し、区分ごとに損金にできる上限(損金算入限度額)を定めています。上限を超えた部分は「損金不算入」となり、所得に上乗せされて課税されます。
税務上の「寄附金」とは何か
法人税法上の寄附金は、日常語の「寄附」よりも広い概念です。法人が行った金銭その他の資産の贈与や経済的な利益の無償の供与のうち、事業に直接関係のないものは、名目が「協賛金」「賛助金」「見舞金」「拠出金」であっても税務上は寄附金として扱われます。反対に、広告宣伝や接待など事業遂行のために支出したものは、寄附金ではなく広告宣伝費や交際費などに区分されます。つまり、勘定科目の名前ではなく支出の実態で判定するのが原則です。また、資産を時価より低い価額で譲渡したり、無利息で貸し付けたりした場合の「実質的な値引き分」も、経済的利益の供与として寄附金と認定されることがあります。
寄附金は3つに区分される
実務上、法人の寄附金は次の3つに区分して考えます。どの区分に当たるかで損金にできる金額が大きく変わるため、まず相手先を確認することが出発点です。
| 区分 | 主な相手先 | 損金算入の取扱い |
|---|---|---|
| ①国等への寄附金・指定寄附金 | 国、地方公共団体、財務大臣が指定した寄附金(例:赤い羽根共同募金、公立学校の施設整備等) | 支出額の全額が損金算入 |
| ②特定公益増進法人等への寄附金 | 公益社団・財団法人、学校法人、社会福祉法人、独立行政法人、日本赤十字社、認定NPO法人など | 一般とは別枠の特別損金算入限度額まで損金算入(超過分は③へ) |
| ③一般の寄附金 | 上記以外(町内会、業界団体、政治団体、一般社団法人など) | 一般の寄附金の損金算入限度額まで損金算入 |
①の国・地方公共団体への寄附金と、財務大臣が個別に指定した「指定寄附金」は、公益性が特に高いため全額が損金になります。②の特定公益増進法人等への寄附金は、③の一般枠とは別に設けられた「特別損金算入限度額」まで損金にできる優遇があり、その枠を超えた部分は③の一般枠で改めて判定します。③の一般の寄附金は、多くの中小企業が日常的に行う協賛金や町内会費的な支出などが該当します。
資本金基準の見直し(令和4年度改正)
限度額計算の「資本金基準」は、かつての「資本金等の額」から、令和4年4月1日以後に開始する事業年度より「期末の資本金の額および資本準備金の額の合計額」に見直されています。自己株式の取得などで資本金等の額がマイナスの法人でも限度額が過少にならないよう調整されたもので、現在の申告書(別表十四(二))はこの基準で計算します。
限度額計算の「資本金基準」は、かつての「資本金等の額」から、令和4年4月1日以後に開始する事業年度より「期末の資本金の額および資本準備金の額の合計額」に見直されています。自己株式の取得などで資本金等の額がマイナスの法人でも限度額が過少にならないよう調整されたもので、現在の申告書(別表十四(二))はこの基準で計算します。
中小企業への実務影響
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中小企業(普通法人)が実際に計算する場面で最も重要なのが、一般の寄附金の損金算入限度額と、特定公益増進法人等への特別損金算入限度額です。いずれも「資本金基準」と「所得基準」を足して一定割合を掛ける形で求めます。
一般の寄附金の損金算入限度額
一般の寄附金の損金算入限度額(普通法人)=
〔(期末の資本金の額+資本準備金の額の合計額)× 当期の月数 ÷ 12 × 2.5 ÷ 1,000 + 所得の金額 × 2.5 ÷ 100〕× 4分の1
〔(期末の資本金の額+資本準備金の額の合計額)× 当期の月数 ÷ 12 × 2.5 ÷ 1,000 + 所得の金額 × 2.5 ÷ 100〕× 4分の1
ここでの「所得の金額」は、寄附金を損金算入する前の所得金額を用います。つまり資本金の規模が大きいほど、また利益が出ているほど限度額は増えます。逆に、資本金が小さく赤字に近い中小企業では限度額はごくわずかにしかならず、少額の寄附でも一部が損金不算入になる点に注意が必要です。
特定公益増進法人等への特別損金算入限度額
特別損金算入限度額(普通法人)=
〔(期末の資本金の額+資本準備金の額の合計額)× 当期の月数 ÷ 12 × 3.75 ÷ 1,000 + 所得の金額 × 6.25 ÷ 100〕× 2分の1
〔(期末の資本金の額+資本準備金の額の合計額)× 当期の月数 ÷ 12 × 3.75 ÷ 1,000 + 所得の金額 × 6.25 ÷ 100〕× 2分の1
特定公益増進法人(公益社団・財団法人、学校法人、社会福祉法人など)や認定NPO法人への寄附は、一般枠より大きい特別枠が使えます。特別枠を超えた部分は捨てられるわけではなく、一般の寄附金の限度額の範囲内で再度損金算入の判定を行います。母校の学校法人や地域の社会福祉法人などへ寄附する場合は、この特別枠を意識すると損金にできる金額が増えます。なお、一般社団法人・一般財団法人(非営利型を含む)や労働者協同組合は特定公益増進法人には含まれないため、これらへの寄附は一般の寄附金として扱われます。相手先が「公益」社団・財団法人か「一般」社団・財団法人かで枠が大きく変わる点は、見落としやすいので注意しましょう。
計算例(特定公益増進法人への寄附)
先ほどと同じく3月決算(12か月)・資本金の額+資本準備金の額1,000万円・寄附金控除前の所得500万円の普通法人が、学校法人(特定公益増進法人)へ寄附した場合の特別損金算入限度額は次のとおりです。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 資本金基準 | 1,000万円 × 12/12 × 3.75/1,000 | 37,500円 |
| 所得基準 | 500万円 × 6.25/100 | 312,500円 |
| 合計 × 1/2 | (37,500+312,500) × 1/2 | 175,000円 |
同じ会社・同じ所得でも、一般の寄附金の限度額37,500円に対し、特定公益増進法人への特別枠は175,000円と約4.7倍になります。加えて、特別枠を超えた分は一般枠でさらに判定できるため、寄附先の選び方によって損金にできる金額は大きく変わります。
申告書は別表十四(二)で計算する
寄附金の損金不算入額は、法人税申告書の別表十四(二)「寄附金の損金算入に関する明細書」で計算します。ここに区分ごとの支出額と限度額を記載し、限度超過額を別表四で加算します。会計帳簿では寄附金勘定で費用計上していても、税務ではこの別表を通じて損金不算入額を所得に戻す(加算する)流れになります。決算時に区分の集計が曖昧だと別表の作成でつまずくため、期中から区分を意識した記帳が重要です。
計算例(資本金1,000万円・所得500万円のケース)
3月決算(12か月)、資本金の額+資本準備金の額が1,000万円、寄附金控除前の所得が500万円の普通法人が、一般の寄附金を支出した場合の限度額は次のとおりです。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 資本金基準 | 1,000万円 × 12/12 × 2.5/1,000 | 25,000円 |
| 所得基準 | 500万円 × 2.5/100 | 125,000円 |
| 合計 × 1/4 | (25,000+125,000) × 1/4 | 37,500円 |
この場合、一般の寄附金として損金にできるのは37,500円までです。仮に10万円の協賛金(一般の寄附金)を支出していれば、差額の62,500円は損金不算入となり、その分だけ課税所得が増えます。少額に見えても限度額は意外に小さいことがわかります。日々の会計処理でどの支出が寄附金に当たるかを正しく区分しておくことが、決算での思わぬ加算を防ぎます。こうした記帳・経理代行のサポートを活用し、勘定科目の段階で寄附金を切り分けておくと安心です。
グループ法人間の寄附は全額損金不算入
完全支配関係(100%グループ)にある内国法人間の寄附金は、支出側で全額が損金不算入となり、受け取った側では全額が益金不算入となります。親子会社間・兄弟会社間の資金援助を「寄附金」として処理すると一切損金にならないため、グループ内取引は特に慎重な判定が必要です。
完全支配関係(100%グループ)にある内国法人間の寄附金は、支出側で全額が損金不算入となり、受け取った側では全額が益金不算入となります。親子会社間・兄弟会社間の資金援助を「寄附金」として処理すると一切損金にならないため、グループ内取引は特に慎重な判定が必要です。
当事務所の見解・実務上の注意点
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寄附金は「払えば経費」という誤解が最も多い費目のひとつです。当事務所が中小企業の決算で特に注意しているポイントを3点に絞って解説します。
1. 「いつ支出したか」で判定する
寄附金は、実際に金銭等を支出した事業年度の寄附金として扱います。未払計上や手形の振出しだけでは寄附金にならず、現実に支払った日が属する事業年度で判定します。期末間際に「寄附を約束したが振込は翌期」というケースでは、当期の損金にはなりません。節税目的で期末に寄附を検討する場合は、決算日までに現実の支出を完了させる必要があります。
2. 交際費・広告宣伝費との区分
相手先や目的によっては、寄附金ではなく交際費や広告宣伝費に該当する場合があります。たとえば、自社の広告宣伝を目的とした協賛で社名が大きく表示されるようなケースは広告宣伝費、取引先との関係維持が主目的なら交際費と整理されることがあります。区分を誤ると、寄附金の限度額計算だけでなく交際費の損金不算入(800万円の定額控除限度額など)にも影響するため、支出の実態に即した判定が欠かせません。判断に迷う支出は、堺市の税務顧問に事前相談することをおすすめします。
3. 証拠書類と受領証の保管
特定公益増進法人等への寄附で特別枠を使うには、その法人が発行する寄附金の受領証や、特定公益増進法人であることを証する書類(証明書の写し等)を保存しておく必要があります。申告書別表十四(二)への記載と併せて、区分を裏づける書類を整えておくことが、税務調査での説明を容易にします。とくに「協賛金」「賛助金」といった名目の支出は、税務調査で寄附金該当性を問われやすい項目です。何のために、誰に対して支出したのかがわかる稟議書・請求書・受領証をセットで残しておきましょう。
4. 節税だけを目的にしない
寄附は本来、社会貢献や地域とのつながりを目的とする支出です。損金算入限度額が小さい中小企業では、寄附による法人税の軽減効果は限定的であり、「税金が減るから寄附する」という発想は実態に合いません。むしろ、寄附の目的や効果を明確にし、限度額の範囲で無理なく行うことが健全です。寄附額が限度額を大きく超える場合は、複数年に分けて支出する、あるいは全額損金になる指定寄附金・特定公益増進法人への寄附を優先するといった工夫で、損金不算入額を抑えられます。
消費税の取扱い
金銭による寄附は対価性のない取引のため、消費税は不課税です。したがって課税仕入れにも該当せず、仕入税額控除の対象にはなりません。寄附金を課税仕入れとして処理してしまう誤りが散見されるため、消費税の集計時にも区分を確認しましょう。
金銭による寄附は対価性のない取引のため、消費税は不課税です。したがって課税仕入れにも該当せず、仕入税額控除の対象にはなりません。寄附金を課税仕入れとして処理してしまう誤りが散見されるため、消費税の集計時にも区分を確認しましょう。
今すぐやるべきこと
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寄附を検討している、あるいは今期すでに寄附をした中小企業が、決算前に確認すべき手順を整理します。
- ステップ1:相手先の区分を確認する
寄附先が「国・地方公共団体・指定寄附金」「特定公益増進法人・認定NPO法人等」「それ以外(一般)」のどれに当たるかを確認します。相手先の受領証やホームページで法人格を確かめましょう。 - ステップ2:受領証・証明書を入手する
特別枠を使う場合は、寄附先から受領証と特定公益増進法人等であることを証する書類を受け取り、保管します。 - ステップ3:支出のタイミングを決算日までに合わせる
当期の損金にしたい寄附は、決算日までに現実の支払いを完了させます。未払・手形では当期損金になりません。 - ステップ4:限度額を試算する
資本金の額+資本準備金の額と、寄附金控除前の所得金額を使って、一般枠・特別枠の限度額を試算し、超過が出ないかを確認します。 - ステップ5:グループ内寄附がないか点検する
100%グループ内の法人への資金援助が寄附金に当たらないか(全額損金不算入になるため)を確認します。
これらの確認は、寄附を実行する前に行うことが肝心です。決算後に「限度額を超えていた」と気づいても、支出時期や寄附先は変えられません。特に年度末に近い時期の寄附は、区分・金額・支出日の3点を支出前にチェックし、必要に応じて顧問税理士に限度額の試算を依頼しておくと、想定外の税負担を避けられます。
よくある質問
- Q. 町内会や業界団体への協賛金は全額経費になりますか?
- A. いいえ。町内会や一般の業界団体などへの協賛金は「一般の寄附金」に該当することが多く、一般の寄附金の損金算入限度額までしか損金になりません。限度額を超えた部分は損金不算入となります。ただし、社名広告など事業関連性が明確な場合は広告宣伝費として扱える余地があります。
- Q. 赤い羽根共同募金への寄附はどう扱いますか?
- A. 共同募金会(中央共同募金会等)への寄附のうち、財務大臣が指定した「指定寄附金」に該当するものは全額が損金算入できます。受領証で指定寄附金である旨を確認して処理してください。
- Q. 認定NPO法人への寄附は特別枠が使えますか?
- A. はい。認定NPO法人および特例認定NPO法人への寄附金は、特定公益増進法人への寄附金と同様に、一般枠とは別の特別損金算入限度額の対象になります。認定を受けていない一般のNPO法人への寄附は一般の寄附金になる点に注意してください。
- Q. 現物(商品や資産)を寄附した場合はどう計算しますか?
- A. 現物寄附は、原則としてその資産の時価を寄附金の額として区分ごとの限度額計算に含めます。帳簿価額と時価に差がある場合は譲渡損益の認識も必要になるため、金額が大きいときは事前に確認しましょう。
- Q. 政治団体への寄附(政治献金)は損金になりますか?
- A. 法人の政治団体への寄附は「一般の寄附金」として扱われ、一般の寄附金の損金算入限度額の範囲内でのみ損金になります。個人の寄附金控除(税額控除)とは制度が異なる点に注意が必要です。
- Q. 取引先が被災したため無利息で貸し付けました。寄附金になりますか?
- A. 通常であれば、無利息貸付けの利息相当額は経済的利益の供与として寄附金と認定される可能性があります。ただし、被災した取引先の復旧支援を目的とし、相当の期間内に限って行う無利息・低利の融資などは、災害見舞金等として寄附金に該当しないものとして扱われる場合があります。個別の事情により判断が分かれるため、実行前に確認することをおすすめします。
- Q. 損金算入限度額を超えた寄附金は、翌期以降に繰り越せますか?
- A. いいえ。損金算入限度額を超えて損金不算入となった寄附金は、翌期以降に繰り越して損金にすることはできません。その事業年度限りで切り捨てられます。だからこそ、支出前に限度額を試算し、超過が見込まれる場合は支出時期の分散などを検討する意味があります。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.5281「寄附金の範囲と損金不算入額の計算」
- 国税庁 タックスアンサー No.5283「特定公益増進法人に対する寄附金」
- 国税庁「寄附金を支出したとき」(法人税法第37条に基づく取扱い)
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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