堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
印紙税2026|電子契約なら非課税・9月30日の手形廃止と過怠税3倍
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:印紙税がかかるのは印紙税法別表第一に掲げられた「文書」の作成であり、電子メールなどで送る電磁的記録は文書に含まれないため課税されません(国税庁 質疑応答事例)。
- 2ポイント2:中小企業庁と公正取引委員会は令和8年9月2日、多くの金融機関が令和8年9月30日を手形・小切手の最終振出期限に設定していると公表しました。第3号文書の印紙が要らなくなる代わりに、受取書と契約書の管理が残ります。
- 3ポイント3:印紙の貼り忘れは本来の税額の3倍(自主的な申出なら1.1倍)の過怠税で、しかも全額が損金・必要経費になりません。9月中に契約書と領収書の棚卸しをしてください。
CONTENTS目次
契約書や領収書に収入印紙を貼る作業は、多くの中小企業で「昔からそうしているから」続いている事務です。しかし令和8年は、その前提が二つの方向から動きます。ひとつは決済手段です。中小企業庁と公正取引委員会は令和8年9月2日、電子交換所における手形・小切手の交換が令和9年3月31日に廃止されることを踏まえ、多くの金融機関が令和8年9月30日を手形・小切手の最終振出期限に設定していると公表しました。もうひとつは契約書の電子化です。本記事では、印紙税が何に課される税なのかを国税庁の資料で確認したうえで、自社の印紙代がどう変わるのかを整理します。
印紙税の課税対象と税額表の全体像
![]()
課税されるのは「文書の作成」であり、取引そのものではない
印紙税は、契約や取引に対して課される税ではありません。国税庁の質疑応答事例は「印紙税の課税対象となるのは、課税物件表の物件名欄に掲げられている文書」であると述べています。印紙税法別表第一に第1号から第20号まで列挙された文書を作成したときに、作成者に納税義務が生じます。課税文書の形で作れば課税され、作らなければ課税されません。
納付は、作成した課税文書に所定の額面の収入印紙を貼り付け、印章または署名で消印して行います。消印までが納付の手続です。
中小企業でよく出てくる号と税額
20種類のうち中小企業の事務で登場するのは次の号です。金額は1通につきの額で、国税庁タックスアンサーNo.7140およびNo.7141によります。
| 号 | 文書の種類 | 非課税となる下限 | 代表的な税額 |
|---|---|---|---|
| 第1号 | 不動産の譲渡、土地の賃借権の設定、消費貸借(金銭消費貸借契約書など) | 契約金額1万円未満 | 1万円以上10万円以下は200円、100万円超500万円以下は2千円 |
| 第2号 | 請負に関する契約書(工事請負契約書、工事注文請書、広告契約書など) | 契約金額1万円未満 | 1万円以上100万円以下は200円、500万円超1千万円以下は1万円 |
| 第3号 | 約束手形または為替手形 | 手形金額10万円未満 | 10万円以上100万円以下は200円、300万円超500万円以下は1千円 |
| 第7号 | 継続的取引の基本となる契約書(売買取引基本契約書、特約店契約書、業務委託契約書など) | なし | 金額にかかわらず4千円 |
| 第17号 | 売上代金に係る金銭または有価証券の受取書(領収書、レシートなど) | 受取金額5万円未満 | 5万円以上100万円以下は200円、100万円超200万円以下は400円 |
第7号文書は金額に関係なく4千円です。国税庁タックスアンサーNo.7104によれば、営業者間で売買・運送・請負などの複数取引を継続的に行うために、目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法または再販売価格のうち1以上の事項を定める契約書が該当します。ただし契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めのないものは除かれます。金額の記載がないから200円だろう、という判断は誤りです。
消費税額等を区分記載すると記載金額が下がる
見落とされやすいのが、消費税額等の書き方で税額が変わる点です。国税庁タックスアンサーNo.7124によれば、消費税の課税事業者が課税文書を作成する場合に、消費税および地方消費税の金額が区分記載されているとき、または税込価格および税抜価格が記載されていることにより課されるべき消費税額等が明らかとなる場合には、その消費税額等は印紙税の記載金額に含めません。この取扱いが使えるのは第1号文書、第2号文書、第17号文書に限られます。
国税庁が挙げている具体例で見ると差は明白です。広告の請負契約書に「請負金額1,100万円うち消費税額等100万円」と記載した場合、記載金額は1,000万円の第2号文書となり印紙税額は10,000円です。同じ内容でも「消費税額等10パーセントを含む。」や「請負金額1,100万円(税込)」と書くと、消費税額等が必ずしも明らかとはいえないため記載金額は1,100万円となり、印紙税額は20,000円です。書き方だけで税額が倍になります。
領収書でも同じです。「商品販売代金48,000円、消費税額等4,800円、合計52,800円」と記載すれば記載金額は48,000円となり、5万円未満なので非課税文書ですが、合計52,800円とだけ書けば200円の印紙が必要です。なお免税事業者は、その取引に課されるべき消費税および地方消費税がありませんから、区分記載しても記載金額に含めます。
中小企業への実務影響と電子契約の扱い
![]()
手形の最終振出期限で第3号文書が実務から消える
中小企業庁と公正取引委員会が令和8年9月2日に公表した要請文は、電子交換所における手形・小切手の交換が令和9年3月31日に廃止されることを踏まえ、多くの金融機関において手形・小切手の最終振出期限を令和8年9月30日として設定していることを踏まえ、各事業者においては委託事業者と受託事業者の間で協議し、電子的決済サービスへの移行等の対応を進めることを求めています。
約束手形は第3号文書ですから、振り出さなくなればその分の印紙は不要になります。手形金額500万円超1千万円以下なら1通2千円、5千万円超1億円以下なら1通2万円です。月に何通も振り出していた会社では、年間で見て無視できない金額が消えます。
ただし印紙代が浮くことは、移行の理由にはなりません。同じ要請文は、電子記録債権や一括決済方式等の現金以外の支払手段についても、物品等の受領から起算して60日以内に定められる代金の支払期日までに当該代金の満額に相当する金銭を受領することができない場合は、その使用が禁止されていると述べています。支払手段を切り替えるときは、印紙税ではなくサイトの長さが判断の中心になります。
電磁的記録は「文書」に含まれないため課税されない
電子契約の印紙税の扱いは、国税庁が明確に示しています。質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」は、書面で注文請書を作成することに代えて、受注する旨や請負内容等の取引情報を記録した電磁的記録に電子署名を付したものを取引先に電子メールで送信した場合について、「印紙税の課税対象となるのは、課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれません。したがって、おたずねの電磁的記録に印紙税は課税されません」と回答しています。関係法令通達として印紙税法第2条が挙げられており、この質疑事例は令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成されています。
同じ論点について、福岡国税局は平成20年10月24日付で文書回答事例を公表しています。請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について、福岡国税局審理官が「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」と回答したものです。ただし同回答は、回答内容が福岡国税局としての見解であり事前照会者の申告内容等を拘束するものではない旨を申し添えています。
紙の場面も整理されています。国税庁タックスアンサーNo.7120は、ファックスや電子メール等により送信する場合も正本等は送付元に保存され、送付先に交付されておらず、送付先で出力された文書は写しと同様であり、課税対象とはならないとしています。根拠として挙げられているのは「印基通19」(印紙税法基本通達19)です。
領収書は「営業に関しない」かどうかで分かれる
受取書は、受け取る金銭が売上代金に係るものかそれ以外かで税額が異なります。売上代金とは、資産を譲渡しもしくは使用させることまたは役務を提供することによる対価をいい、手付けを含みます。借入金、担保としての保証金、保険金や損害賠償金などは売上代金に該当せず、5万円未満が非課税、5万円以上は一律200円です。
さらに、営業に関しない受取書は非課税です。国税庁タックスアンサーNo.7125によれば、営業とは一般に営利を目的として同種の行為を反復継続して行うこととされ、株式会社などの営利法人の行為は営業になりますが、公益社団法人・公益財団法人などの公益法人の行為はすべて営業になりません。個人の場合は「商人」としての行為は営業になり、事業を離れた私的日常生活に関するものは営業になりません。また、店舗などの設備がない農業、林業または漁業を行っている者が自分の生産物を販売する行為や、医師、歯科医師、弁護士、公認会計士などの行為は、一般に営業に当たらないとされており、これらの行為に関して作成される受取書は営業に関しない受取書として取り扱われます。
同じ金額の領収書でも印紙の要否が変わる分岐点です。自社の受取書がどちらに当たるかは、法人か個人か、その行為が事業に属するかで決まります。
当事務所の見解・実務上の注意点
![]()
電子化の判断を印紙代から始めない
電子契約の相談をお受けすると、最初に出てくるのはほぼ必ず「印紙代がいくら浮くか」です。試算そのものは有益ですが、判断の出発点にすると危うい面があります。印紙税が課されない理由は、電磁的記録が印紙税法上の文書に当たらないという一点だけです。裏を返せば、電子でやり取りしたあとに紙の契約書を別途作成して押印すれば、その紙は課税文書として通常どおり課税されます。電子化したつもりで紙も残す運用は、印紙代が浮かないばかりか、どちらが正本かという契約実務上の問題も生みます。
過怠税は3倍で、しかも損金にならない
貼り忘れの代償は小さくありません。国税庁タックスアンサーNo.7131によれば、納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、すなわち当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されます。貼り付けた印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されます。
救済措置と、その限界。課税文書の作成者が所轄税務署長に対し印紙税不納付事実申出書を提出した場合で、その申出が印紙税についての調査があったことにより過怠税の決定があるべきことを予知してされたものでないときは、納付すべき印紙税の額の1.1倍に軽減されます。つまり自主的に申し出れば負担は大きく下がります。ただし、いずれの場合も過怠税はその全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されません(国税庁は根拠法令等として「印法20、法法55④一、所法45①三」=印紙税法第20条・法人税法第55条第4項第1号・所得税法第45条第1項第3号を挙げています)。
軽減措置には期限がある
建設業や不動産業のお客様に必ずお伝えしているのが、軽減措置の期限です。国税庁タックスアンサーNo.7108によれば、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される、契約金額10万円を超える不動産の譲渡に関する契約書と、契約金額100万円を超える建設工事の請負に関する契約書について、印紙税の税額が軽減されています。たとえば契約金額1,000万円超5,000万円以下の建設工事請負契約書は、本則の2万円が1万円になります。期限は令和9年3月31日に設定されており、延長されるかどうかは今後の税制改正で決まります。長期の工事契約を結ぶ際は、契約書の作成日がこの期間内かどうかを確認してください。堺市の税務顧問としては、契約書の様式を見直すタイミングで消費税額等の区分記載と併せて点検することをおすすめしています。
今すぐやるべきこと
![]()
最終振出期限を目前に控えた今が、印紙税の事務を整理する好機です。次の順番で進めてください。
- ステップ1:手形の残高と今後の振出予定を確認する
取引金融機関に、自社の当座取引で手形・小切手の最終振出期限がいつに設定されているかを確認します。中小企業庁と公正取引委員会の要請文は、多くの金融機関が令和8年9月30日を最終振出期限に設定しているとしていますが、実際の期限は金融機関ごとに案内されます。振出済みの手形の満期日も一覧にしておきます。 - ステップ2:受け取る側の資金繰りへの影響を先に見る
手形をやめて振込に切り替えると、支払う側は印紙代と事務が減りますが、受け取る側は割引による資金化ができなくなる場合があります。要請文も、サイトの短縮に取り組む事業者の資金繰りへの影響に配慮する必要があると述べています。取引先との協議を先に行ってください。 - ステップ3:契約書のひな型で消費税額等の書き方を統一する
第1号文書、第2号文書、第17号文書については、「うち消費税額等○○円」または税込価格と税抜価格の併記に統一します。「税込」「消費税等を含む」という書き方をやめるだけで、記載金額が下がり税額が下がる契約書があります。 - ステップ4:基本契約書が第7号文書に当たらないか点検する
継続的な取引の条件を定めた文書は、金額の記載がなくても4千円です。契約期間が3か月以内で更新の定めがないものは除かれるため、実態に合うなら期間の定め方を見直す余地があります。 - ステップ5:貼り忘れが見つかったら申出書の提出を検討する
過去分の契約書や領収書を点検し、貼り忘れが見つかった場合は、調査を受ける前に所轄税務署長へ印紙税不納付事実申出書を提出することを検討します。予知してされたものでない申出であれば、過怠税は1.1倍にとどまります。
電子契約の導入を検討される場合は、印紙税だけでなく電子帳簿保存法上の電子取引データの保存方法まで含めて設計する必要があります。クラウド会計・DX支援では、契約から会計処理までのデータの流れを一緒に整理しています。
よくある質問
- Q. 契約書を紙で1通だけ作り、相手方にはその写しを渡す場合、写しにも印紙は必要ですか?
- A. 単に複写機でコピーしただけで、署名も押印も「正本と相違ない」旨の証明もないものは、単なる写しにすぎず課税対象になりません。ただし、契約当事者の双方または文書の所持者以外の一方の署名もしくは押印があるものや、正本などと相違ないことの証明があるものは、契約の成立を証明する目的で作成されたことが文書上明らかなので課税対象になります。国税庁タックスアンサーNo.7120が示す判定基準で、根拠として挙げられているのは「印基通19」(印紙税法基本通達19)です。なお、一つの契約について2通以上の文書が作成された場合であっても、その全部の文書がそれぞれ契約の成立を証明する目的で作成されたものであれば、すべて課税対象になります。
- Q. 手形をやめて振込に切り替えると、印紙税の負担はどう変わりますか?
- A. 第3号文書である約束手形の印紙は不要になります。手形金額500万円超1千万円以下なら1通2千円、5千万円超1億円以下なら1通2万円ですから、振出通数が多い会社ほど差が出ます。一方で、振込を受けた側が領収書を作成すれば第17号文書として課税される可能性が残ります。実務では、振込は通帳や取引明細で入金が確認できるため領収書を発行しない運用が一般的で、その場合は課税文書そのものが作られません。発行を求められたときだけ、記載金額と消費税額等の区分記載を確認してください。
- Q. 収入印紙を貼り忘れたことに後から気づきました。どうすればよいですか?
- A. 所轄税務署長に印紙税不納付事実申出書を提出してください。その申出が、印紙税についての調査があったことにより過怠税の決定があるべきことを予知してされたものでないときは、過怠税が本来の印紙税額の1.1倍に軽減されます。何もしないまま調査で把握されると、納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、すなわち3倍です。なお、いずれの場合も過怠税は、その全額が法人税の損金にも所得税の必要経費にも算入されませんので、実質的な負担は税額よりさらに重くなります。
- Q. 貼った印紙に消印を忘れた場合はどうなりますか?
- A. 貼り付けた印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されます。印紙税の納付は、課税文書に所定の額面の収入印紙を貼り付け、印章または署名で消印することによって行うものとされているため、貼るだけでは納付が完了していないという整理です。社判でも担当者の私印でも、また署名でも差し支えありませんので、貼付と消印を必ずひとつの作業として運用してください。
- Q. 電子契約に切り替えれば、契約書の保存も不要になりますか?
- A. いいえ。印紙税が課されないことと、保存義務がなくなることは別の話です。取引に関して受領し、または交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項を電磁的方式により授受した場合は、電子帳簿保存法上の電子取引に該当し、所得税および法人税に係る保存義務者はその電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないこととされています。印紙代を減らす目的で電子化するときは、同時にデータの保存方法も設計してください。
参考資料・出典
- 国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」
- 福岡国税局 文書回答事例「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について」(平成20年10月24日)
- 国税庁 タックスアンサーNo.7140「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
- 国税庁 タックスアンサーNo.7141「印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」
- 国税庁 タックスアンサーNo.7105「金銭又は有価証券の受取書、領収書」
- 国税庁 タックスアンサーNo.7102「請負に関する契約書」
- 国税庁 タックスアンサーNo.7104「継続的取引の基本となる契約書」
- 国税庁 タックスアンサーNo.7120「契約書の写し、副本、謄本等」
- 国税庁 タックスアンサーNo.7124「消費税等の額が区分記載された契約書等の記載金額」
- 国税庁 タックスアンサーNo.7125「営業に関しない受取書」
- 国税庁 タックスアンサーNo.7131「印紙税を納めなかったとき」
- 国税庁 タックスアンサーNo.7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
- 国税庁「印紙税の手引(令和8年6月)」
- 中小企業庁・公正取引委員会「約束手形の利用廃止を踏まえたサプライチェーン全体での支払の適正化について事業者団体等に要請を行いました」(令和8年9月2日)
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
この記事に関するご相談は道濟会計事務所へ(初回相談無料)
税務・経営に関するご相談は、堺市の道濟会計事務所にお任せください。 堺東駅徒歩1分・オンライン対応で全国からご相談いただけます。