堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
個人住民税の特別徴収2026|6月開始・税額通知書と給与天引きの実務
この記事の要点3点
- ポイント1:令和8年度(2026年度)の個人住民税の特別徴収は、2026年6月支給の給与から翌年5月まで、毎月12回に分けて天引きします。税額の根拠となる通知書は5月31日までに事業所へ届きます。
- ポイント2:影響を受けるのは従業員に給与を支払うすべての事業主(特別徴収義務者)。徴収した住民税は、原則として翌月10日までに各市区町村へ納入します。
- ポイント3:6月の給与計算前に通知書の税額を反映し、退職者の一括徴収や納期の特例の確認を済ませることが、ミスなく進めるカギです。
毎年6月は、給与計算の担当者にとって個人住民税の「特別徴収」が切り替わる時期です。5月末までに市区町村から特別徴収税額決定通知書が届き、6月支給の給与から新年度(令和8年度)の天引き額に切り替えます。金額が変わるうえ、退職者の取扱いや納期の特例、近年標準化が進む通知書の電子化など、確認すべき点が重なります。本記事では、住民税の特別徴収の基本から、6月にやるべき実務、つまずきやすい論点までを、公的機関の情報にもとづいて中小企業の目線で整理します。
住民税の特別徴収2026の制度概要
個人住民税(市区町村民税・道府県民税)の納め方には、「特別徴収」と「普通徴収」の2つがあります。給与所得者については、原則として事業主が給与から天引きして納める特別徴収によることとされています。
特別徴収とは何か
特別徴収とは、事業主(給与支払者)が「特別徴収義務者」として、従業員(納税義務者)に代わって毎月の給与から住民税を天引きし、各市区町村へまとめて納入する仕組みです。所得税の源泉徴収と似ていますが、住民税は前年の所得をもとに市区町村が税額を計算して通知してくる点が大きく異なります。事業主が自分で税額を計算する必要はなく、通知された金額をそのまま給与から差し引きます。
地方税法上、給与の支払者は原則としてすべて特別徴収義務者とされており、パートやアルバイトを含め従業員の住民税は特別徴収によるのが原則です。普通徴収(従業員本人が納付書で年4回納める方法)が認められるのは、退職者や乙欄適用者など限られた場合に限られます。市区町村は事業主を特別徴収義務者として指定する立場にあり、事業主の側で「手間がかかるから普通徴収にしたい」と任意に選べるものではない点に注意が必要です。
住民税は前年の所得に対してかかる
住民税の大きな特徴は、その年に納める税額が「前年(1月から12月まで)の所得」をもとに計算される点です。所得税が当年の所得に対してその年のうちに源泉徴収されるのとは、課税の時期がずれます。たとえば令和8年度(2026年度)に特別徴収する住民税は、令和7年(2025年)の所得に対するものです。このタイムラグがあるため、前年に所得が高かった従業員が当年に収入が下がっても、住民税の負担は前年ベースのまま続きます。退職して収入がなくなった人にとっては負担が重く感じられることもあり、従業員から問い合わせを受けたときに説明できるようにしておくと、無用なトラブルを防げます。
特別徴収と普通徴収の違い
| 項目 | 特別徴収 | 普通徴収 |
|---|---|---|
| 納める人 | 事業主が給与から天引きして納入 | 本人が納付書で納付 |
| 納付回数 | 毎月(年12回) | 年4回(6月・8月・10月・翌1月が一般的) |
| 対象 | 給与所得者(原則) | 事業所得者や退職者など |
| 納入期限 | 徴収した翌月10日 | 各納期限(市区町村が指定) |
令和8年度のスケジュール
令和8年度の特別徴収は、おおむね次の流れで進みます。1月末までに事業主が前年(令和7年)分の給与支払報告書を各市区町村へ提出し、それをもとに市区町村が税額を計算します。そして毎年5月31日までに、従業員が居住する市区町村から事業所あてに「特別徴収税額決定通知書」(特別徴収義務者用・納税義務者用)が送付されます。事業主は、6月支給の給与から翌年5月支給の給与まで、12回に分けて毎月天引きし、それぞれ徴収した翌月10日までに市区町村へ納入します。納税義務者用の通知書は、従業員一人ひとりに配付します。
ポイント:森林環境税も住民税と一緒に徴収
令和6年度(2024年度)から、国税である森林環境税(年額1,000円)が、個人住民税の均等割とあわせて市区町村によって賦課・徴収されています。特別徴収の場合も、住民税に森林環境税を含めた金額が通知され、給与から一括して天引きします。通知書の金額には森林環境税が含まれている点を理解しておきましょう。
令和6年度(2024年度)から、国税である森林環境税(年額1,000円)が、個人住民税の均等割とあわせて市区町村によって賦課・徴収されています。特別徴収の場合も、住民税に森林環境税を含めた金額が通知され、給与から一括して天引きします。通知書の金額には森林環境税が含まれている点を理解しておきましょう。
中小企業への実務影響と6月の手順
特別徴収は、税額を事業主が計算しない分、源泉所得税より負担は軽い手続きです。とはいえ、毎年6月の切替えや従業員の入退社に伴う処理を誤ると、納入額の過不足や延滞につながります。とくに6月は、新年度の税額への切替えと夏季賞与の計算が重なりやすく、事務が立て込む時期でもあります。あらかじめ手順を整理し、通知書が届いたらすみやかに対応できるよう準備しておくと安心です。
通知書の見方と給与計算への反映
5月末に届く特別徴収税額決定通知書(特別徴収義務者用)には、従業員ごとの年税額と、6月から翌年5月までの各月の徴収税額が記載されています。多くの場合、年税額を12で割り、端数を最初の月(6月)にまとめる形で月割りされています。たとえば年税額が12万1,000円であれば、6月が1万1,000円、7月以降が1万円というように、6月だけ端数分が上乗せされるのが一般的です。給与計算ソフトには、この通知書どおりの月別税額を従業員ごとに登録します。自分で12分割し直す必要はなく、通知書の各月の金額をそのまま使うのが正確です。年の途中で入社した従業員がいる場合は、その人の住所地の市区町村から通知が届いているかも確認しましょう。
ポイント:納入書は通知書に同封されている
納入に使う「納入書(納付書)」は、通常、特別徴収税額決定通知書とあわせて市区町村から送られてきます。毎月の納入額があらかじめ印字されたものや、金額を記入して使うものなど、市区町村によって様式が異なります。電子データで通知を受け取る場合や、eLTAXの電子納税を利用する場合は、紙の納入書を使わずに納付することもできます。納入書を紛失したときは、各市区町村へ再発行を依頼します。
納入に使う「納入書(納付書)」は、通常、特別徴収税額決定通知書とあわせて市区町村から送られてきます。毎月の納入額があらかじめ印字されたものや、金額を記入して使うものなど、市区町村によって様式が異なります。電子データで通知を受け取る場合や、eLTAXの電子納税を利用する場合は、紙の納入書を使わずに納付することもできます。納入書を紛失したときは、各市区町村へ再発行を依頼します。
従業員が入社・退社したときの取扱い
年の途中で従業員が退職した場合の住民税の扱いは、退職時期によって異なります。翌年1月1日から4月30日までに退職した場合は、本人の申出がなくても、5月31日までに支払う給与または退職手当等から、残りの住民税を一括徴収します(一括徴収すべき額が退職手当等の額を超える場合などを除く)。一方、6月1日から12月31日までに退職した場合は、原則として残額を普通徴収(本人納付)に切り替えますが、本人の申出があれば最後の給与等から一括徴収することもできます。新たに入社した従業員について普通徴収から特別徴収へ切り替えたいときは、市区町村へ「特別徴収への切替申請書」を提出します。
納期の特例(年2回納入)
従業員が常時10人未満の事業所は、市区町村へ申請して承認を受けると、毎月の納入を年2回にまとめる「納期の特例」を利用できます。具体的には、6月分から11月分を12月10日までに、12月分から翌年5月分を6月10日までに納入します。毎月の納付事務を年2回に減らせるため、小規模な事業所では事務負担の軽減につながります。ただし、従業員から天引きする時期は毎月のままで変わらず、まとめて納入できるのはあくまで会社から市区町村への納入のタイミングである点に注意してください。
重要:納入を忘れると延滞金・督促の対象に
徴収した住民税を翌月10日までに納入しないと、延滞金が課されたり督促状が送られたりすることがあります。とくに従業員から天引きした税金は会社が一時的に預かっているお金であり、納入漏れは資金の私的流用とみなされかねません。納期の特例を使う場合も、年2回の納期限(12月10日・6月10日)を必ずカレンダーに登録しておきましょう。
徴収した住民税を翌月10日までに納入しないと、延滞金が課されたり督促状が送られたりすることがあります。とくに従業員から天引きした税金は会社が一時的に預かっているお金であり、納入漏れは資金の私的流用とみなされかねません。納期の特例を使う場合も、年2回の納期限(12月10日・6月10日)を必ずカレンダーに登録しておきましょう。
通知書の電子化への対応
近年は特別徴収税額通知の電子化が進んでいます。令和6年度(2024年度)から、給与支払報告書をeLTAX(地方税ポータルシステム)で提出する際に、特別徴収税額通知(特別徴収義務者用・納税義務者用)を電子データ(正本)で受け取ることを選択できるようになりました。電子データを選ぶと、紙の通知書を待たずに早く受け取れ、従業員へも電子的に配付できます。納税義務者用の電子データには、改ざんの有無を確認できる仕組みも用意されています。従業員数が多い事業所ほど、配付や保管の手間を減らせるメリットがあります。
年の途中で税額が変わることもある
特別徴収の税額は、原則として5月末の通知で1年分が確定しますが、年の途中で変更されることもあります。従業員が確定申告で医療費控除や寄附金控除を申告した場合や、市区町村が税額を更正した場合には、「特別徴収税額の変更通知書」が事業所へ届きます。この通知が届いたら、指定された月から新しい税額に差し替えて天引きします。変更通知を見落として古い税額のまま天引きを続けると、年間の徴収額が通知と合わなくなり、後から精算が必要になります。届いた都度すみやかに給与計算へ反映することが大切です。
当事務所の見解・実務上の注意点
特別徴収は仕組み自体は単純ですが、毎年の切替えや退職処理でご相談をいただくことが少なくありません。当事務所の実務経験から、押さえておきたいポイントを挙げます。
「6月だけ金額が違う」のは正常
6月の給与で天引きする住民税が7月以降と異なる金額になっていて、計算ミスではないかと不安になる方がいます。これは年税額を12で割った際の端数を6月にまとめているためで、通知書どおりの正常な処理です。給与計算ソフトに各月の金額を正しく登録していれば問題ありません。逆に、毎月同額になっている場合は端数処理が反映されていない可能性があるため、通知書と照合してください。
退職者の「一括徴収漏れ」に注意
もっとも事故が起きやすいのが、年明け(1月から4月)に退職する従業員の一括徴収です。この時期の退職では、本人の希望にかかわらず残りの住民税を最後の給与等から一括徴収するのが原則です。これを失念して普通徴収に切り替えてしまうと、市区町村への手続きと従業員への説明が二度手間になります。退職の申出があった段階で、退職月を確認し、一括徴収の対象かどうかを判断する運用を社内で決めておくと安心です。
住所地ごとに納入先が分かれる
住民税は従業員の1月1日時点の住所地の市区町村へ納めます。そのため、従業員の居住地が複数の市区町村にまたがる会社では、納入先も複数に分かれます。通知書も市区町村ごとに届くため、納入書の管理や納期の特例の申請も市区町村単位で行う必要があります。従業員が引っ越しても、その年度の納入先は原則として変わらない点も、混乱しやすいところです。
今すぐやるべきこと(チェックリスト)
6月の給与計算をスムーズに進め、納入漏れや徴収ミスを防ぐために、次の手順で順番に準備を進めましょう。
- ステップ1:通知書の到着を確認する
5月末までに、各市区町村から特別徴収税額決定通知書(特別徴収義務者用・納税義務者用)が届いているかを確認します。電子データを選択している場合は、eLTAXのお知らせメールとダウンロードの有無を確認します。 - ステップ2:従業員ごとの月別税額を登録する
通知書に記載された6月から翌年5月までの各月の税額を、給与計算ソフトに従業員ごとに登録します。6月だけ端数分が多くなっていないかを確認します。 - ステップ3:納税義務者用の通知書を配付する
従業員一人ひとりに、納税義務者用の通知書(または電子データ)を配付します。記載内容は個人情報のため、取扱いに注意します。 - ステップ4:退職予定者・入社者の取扱いを確認する
退職予定者がいれば、退職月に応じて一括徴収か普通徴収かを判断します。新規入社者で特別徴収へ切り替える人がいれば、市区町村へ切替申請書を提出します。 - ステップ5:納入スケジュールを登録する
毎月納付の場合は翌月10日、納期の特例を使う場合は12月10日・6月10日を納付スケジュールとして登録し、納入漏れを防ぎます。
よくある質問
- Q. 住民税の特別徴収はいつから天引きを始めますか?
- A. 令和8年度(2026年度)分は、2026年6月支給の給与から翌年5月支給の給与まで、毎月12回に分けて天引きします。税額の根拠となる特別徴収税額決定通知書は、5月31日までに各市区町村から事業所へ届きます。徴収した住民税は、原則として徴収した月の翌月10日までに市区町村へ納入します。
- Q. 6月だけ天引き額が多いのはなぜですか?
- A. 年税額を12か月で割った際に生じる端数を、最初の月である6月にまとめているためです。たとえば年税額が12万1,000円なら、6月が1万1,000円、7月以降が1万円となるのが一般的です。通知書に各月の金額が記載されているので、その金額どおりに天引きすれば正しく処理できます。
- Q. 従業員が退職した場合、住民税はどうなりますか?
- A. 退職する時期によって異なります。翌年1月1日から4月30日までに退職する場合は、本人の申出がなくても、残りの住民税を5月31日までに支払う給与や退職手当等から一括徴収するのが原則です。6月1日から12月31日までの退職は、原則として残額を普通徴収へ切り替えますが、本人の申出があれば一括徴収もできます。
- Q. 納期の特例とは何ですか?
- A. 従業員が常時10人未満の事業所が、市区町村の承認を受けて、毎月の納入を年2回にまとめられる制度です。6月分から11月分を12月10日までに、12月分から翌年5月分を6月10日までに納入します。従業員から天引きする時期は毎月のままで、会社から市区町村への納入の回数だけが年2回になります。
- Q. 通知書の電子化は対応した方がよいですか?
- A. 令和6年度から、給与支払報告書をeLTAXで提出する際に、特別徴収税額通知を電子データで受け取ることを選択できます。電子データは紙より早く受け取れ、従業員への配付や保管の手間も減らせます。従業員数が多い事業所ほどメリットが大きいため、次回の給与支払報告書の提出時に電子受取を検討するとよいでしょう。
- Q. 新入社員の1年目は住民税が天引きされないのですか?
- A. 住民税は前年の所得をもとに課税されるため、前年に所得がなかった新卒1年目の従業員は、入社初年度は特別徴収する住民税が発生しないのが一般的です。2年目の6月から、前年(入社1年目)の所得に対する住民税の特別徴収が始まります。新卒採用が多い会社では、2年目の6月に天引きが始まる点を給与計算で見落とさないよう注意しましょう。
- Q. 従業員の希望で普通徴収に切り替えられますか?
- A. 給与所得者は特別徴収が原則で、従業員や会社の希望だけで普通徴収を選ぶことはできません。退職して給与の支払いがなくなる場合や、他の事業所ですでに特別徴収されている場合、給与が少なく税額を引ききれない場合など、市区町村が定める限られた事由に該当するときに限り普通徴収が認められます。判断に迷う場合は、従業員が居住する市区町村に確認してください。
参考資料・出典
本記事は道濟会計事務所が監修しました。