堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
課税事業者選択届出書2026|12月末期限と2年縛り・2割特例の注意点
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:消費税課税事業者選択届出書は、原則として提出した日の属する課税期間の翌課税期間から効力が生じます。個人事業者が令和9年分から課税事業者を選ぶなら、令和8年中の提出が必要です。
- 2ポイント2:一度提出すると、消費税課税事業者選択不適用届出書を出さない限り効力が続き、課税事業者となった日から2年間は免税事業者に戻れません。調整対象固定資産を取得すると原則3年間に延びます。
- 3ポイント3:還付目的や取引先対応で提出する前に、インボイス登録の経過措置で足りないか、2割特例・3割特例の適用に影響しないかを確認し、年末までに複数年の税額を試算しましょう。
CONTENTS目次
消費税の免税事業者は、売上に消費税がかからない一方で、仕入れや設備投資で支払った消費税の還付も受けられません。そこで、免税事業者が自ら課税事業者になることを選ぶ手続が、消費税課税事業者選択届出書の提出です。この届出書は提出期限が課税期間の開始前に設定されているうえ、いったん出すと簡単には免税事業者に戻れません。個人事業者が翌年分から適用を受けるかどうかは、年末までに決める必要があります。本記事では国税庁の資料をもとに、届出書の効力と制限、2割特例・3割特例との関係、年末までの手順を整理します。
課税事業者選択届出書の制度概要:提出期限と効力
消費税の納税義務は、その課税期間の基準期間における課税売上高で判定します。国税庁のタックスアンサーNo.6501は、基準期間を個人事業者の場合はその年の前々年、事業年度が1年である法人の場合はその事業年度の前々事業年度と説明し、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であれば、原則として納税義務が免除されるとしています。これが事業者免税点制度です。
この免税の状態を自分の選択でやめる手続が、消費税課税事業者選択届出書の提出です。国税庁の手続案内(D1-4)は、手続の概要を「免税事業者が課税事業者になることを選択する場合の手続です。」と説明しています。
課税事業者選択届出書の提出期限と効力が生じる時期
提出時期は、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までです。適用を受けようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中に提出すれば足ります。No.6501も、この届出書を提出した場合には、原則として、提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間から納税義務が免除されなくなると説明しています。
| 区分 | 提出時期 | 効力が生じる課税期間 |
|---|---|---|
| 原則 | 適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで | 提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後 |
| 事業を開始した課税期間 | その課税期間中 | 提出した日の属する課税期間から |
注意したいのは期限の数え方です。No.6501は、当課税期間の末日が土曜日、日曜日および国民の祝日等にあたる場合でも、翌課税期間から課税事業者を選択したい場合には当課税期間中に提出する必要があり、翌日等の平日に提出期限は延長されないと明記しています。個人事業者の課税期間は暦年ですから、翌年分から選ぶなら、その年の12月31日が期限の日になります。
選択した後の効力と2年間の制限
届出書の効力は自動的には切れません。国税庁のQ&Aは、この届出書を提出した場合には、消費税課税事業者選択不適用届出書を提出しない限り効力は存続し、基準期間の課税売上高が1,000万円以下となった課税期間についても免税事業者とはならないと回答しています。
やめるための不適用届出書にも制限があります。事業を廃止した場合を除き、原則として、課税事業者となった日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ提出できません。そのため、課税事業者となった日から2年間は免税事業者となることはできません。
調整対象固定資産を取得すると制限が延びる
選択届出書を提出した事業者が、課税事業者となった日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間中に調整対象固定資産の課税仕入れ等を行い、その課税期間の確定申告を一般課税で行った場合には、その仕入れ等を行った課税期間の初日から原則として3年間は免税事業者に戻れず、簡易課税制度選択届出書の提出にも制限がかかります。調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、一の取引単位の価額(税抜き)が100万円以上のものをいいます。
選択届出書を提出した事業者が、課税事業者となった日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間中に調整対象固定資産の課税仕入れ等を行い、その課税期間の確定申告を一般課税で行った場合には、その仕入れ等を行った課税期間の初日から原則として3年間は免税事業者に戻れず、簡易課税制度選択届出書の提出にも制限がかかります。調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、一の取引単位の価額(税抜き)が100万円以上のものをいいます。
中小企業への実務影響:還付・インボイス登録・2割特例
中小企業や個人事業者がこの届出書を検討する場面は、大きく分けて、消費税の還付を受けたい場合と、取引先との関係で課税事業者になる必要がある場合の二つです。どちらの場面でも、届出書を出すかどうかで数年先の税負担が変わります。
設備投資や輸出で還付を受けたい場合
国税庁のQ&Aは、免税事業者は課税仕入れ等に係る消費税額の控除ができないので、仕入れの消費税額が売上の消費税額より多くても還付を受けることはできないとしています。そのうえで、設備投資が多額にあった場合や輸出業者のように仕入れに係る消費税額が多い事業者は、免税事業者であっても、課税事業者を選択することによって消費税の還付を受けることができると説明しています。
還付を受けるためには、還付を受けようとする課税期間の初日の前日まで(事業を開始した日の属する課税期間である場合にはその課税期間中)に届出書を提出して課税事業者となるか、適格請求書発行事業者の登録を受ける必要があります。設備の購入時期が決まってから慌てて提出しても、その課税期間には間に合わないことがあります。
インボイス登録を受ける場合は届出書が不要なことが多い
取引先からインボイスの交付を求められて課税事業者になる場合、まず確認したいのが登録の経過措置です。No.6501は、免税事業者が課税期間の途中で適格請求書発行事業者の登録を受けた場合には、その登録日以後に行った課税資産の譲渡等が消費税の申告の対象となる経過措置が設けられていると説明しています。インボイス制度特設サイトの時系列図では、この登録の柔軟化は令和11年9月30日が属する課税期間中までとされています。
この経過措置で登録した事業者は、選択届出書を提出して課税事業者となったわけではありません。国税庁のインボイスQ&A問115は、登録の経過措置の適用を受けて適格請求書発行事業者となった者は、選択届出書の提出をして課税事業者となっていないので、調整対象固定資産の取得による制限には該当しないとしています。
| 比較項目 | 選択届出書で課税事業者 | 登録の経過措置で課税事業者 |
|---|---|---|
| 課税事業者となる時期 | 原則として提出日の属する課税期間の翌課税期間から | 課税期間の途中の登録日から |
| 調整対象固定資産の取得による制限 | 対象となる | 該当しない(問115) |
| 2割特例・3割特例 | 要件を満たせば適用可(制限期間を除く) | 要件を満たせば適用可 |
2割特例・3割特例との関係
2割特例は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間で適用できる特例です。国税庁の2割特例特設ページは、選択届出書の提出により課税事業者となっている方も適用できるとしつつ、令和5年9月30日以前の期間を含む課税期間の申告については適用を受けることができないとしています。
個人事業者については、令和9年分・令和10年分の申告で3割特例を適用できます。インボイスQ&A問115-2によれば、3割特例も選択届出書の提出により課税事業者となった免税事業者を含みますが、選択届出書を提出して課税事業者となった後2年以内に一般課税で調整対象固定資産の仕入れ等を行い、不適用届出書の提出ができないことにより事業者免税点制度の適用が制限される課税期間は、対象外です。還付を受けるために高額な設備を一般課税で取得すると、その後の3割特例が使えなくなる可能性がある点に注意が必要です。
簡易課税制度を選ぶ場合の前提
2割特例の終了後に簡易課税制度へ移る事業者も多いはずです。インボイス制度特設サイトは、簡易課税制度を、消費税簡易課税制度選択届出書を提出した課税事業者が、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、売上に係る消費税額にみなし仕入率を乗じた金額を仕入れに係る消費税額として控除できる特例と説明しています。2割特例・3割特例の適用を受けた翌課税期間に簡易課税制度へ移る場合は、その課税期間の申告期限までに届出書を提出すれば、その課税期間から適用を受けられます。ただし、選択届出書による課税事業者が一般課税で調整対象固定資産を取得した場合は、簡易課税制度選択届出書の提出が制限されるため、移行の計画と設備投資の時期をあわせて考える必要があります。
当事務所の見解・実務上の注意点:課税事業者選択届出書の3つの落とし穴
当事務所が届出書の相談を受けるときに必ず確認している論点を、3つに絞って紹介します。いずれも、届出書を出した年ではなく、その数年後に影響が表れるものです。
落とし穴1:過去に出した届出書が今も生きている
選択届出書の効力は、不適用届出書を提出しない限り存続します。開業時や設備投資の年に還付のため提出し、その後売上が1,000万円以下に戻っても、届出書を出したことを忘れて免税事業者のつもりでいると、申告漏れにつながります。反対に、課税事業者をやめたいときは、やめようとする課税期間の初日の前日までに不適用届出書が必要です。不適用届出書にも2年間の制限があるため、やめたい時期から逆算して提出時期を決めておくことも大切です。顧問先を引き継ぐ際や、会計事務所を変更する際には、過去に提出した届出書の控えを一式確認することをおすすめします。
落とし穴2:1年分の還付だけで判断してしまう
選択届出書は、少なくとも2年間は課税事業者であることが前提になります。さらに、2年以内に一般課税で調整対象固定資産を取得すれば、原則3年間は免税事業者に戻れません。設備投資の年に還付が生じても、翌年以降は売上に係る消費税を納めることになるため、還付額だけを見て判断するのは危険です。なお、2割特例の特設ページが説明するとおり、2割特例を適用すると、通常、還付税額は生じません。還付を受けたい年は一般課税で申告することになるため、その年に2割特例を使えないことも含めて比較が必要です。投資の年を含む複数年分の消費税額を、一般課税・簡易課税・特例の各方式で並べて比較してから判断してください。堺市の税務顧問として当事務所が関与する場合も、この複数年の試算を前提に提出の可否を決めています。
落とし穴3:手続の遅れを選択届出書で補おうとする
インボイス登録の申請が遅れたときなどに、選択届出書を併せて提出すれば早く課税事業者になれると考える方がいます。しかし、選択届出書で課税事業者となった課税期間の申告は、令和5年9月30日以前の期間を含む場合には2割特例を受けられないなど、特例の適用に影響することがあります。インボイスQ&A問116-2は、選択届出書と登録申請書を同時に提出した個人事業者について、届出書の効果は原則として翌課税期間から生じるため、ご質問の事例では2割特例を適用できると回答しています。届出書は、目的と効力の発生時期を確かめてから出すことが大切です。
今すぐやるべきこと:年末までに確認する5ステップ
個人事業者は12月31日、法人は事業年度末日が、翌課税期間に向けた届出の期限です。次の順番で確認を進めてください。
- ステップ1:現在の届出状況を確認する
自社が免税事業者か、インボイス登録を受けているか、過去に消費税課税事業者選択届出書や簡易課税制度選択届出書を提出しているかを、届出書の控えで確認します。提出した日付と、課税事業者となった日も書き出します。 - ステップ2:来期以降の売上と設備投資の予定を整理する
基準期間と特定期間の課税売上高の見込みに加え、税抜き100万円以上の建物、機械、車両、器具備品などの購入予定を洗い出します。購入する課税期間と、一般課税で申告する予定かどうかも整理します。 - ステップ3:課税方式ごとに複数年の税額を試算する
一般課税、簡易課税、2割特例または3割特例のうち、適用できる方式について、設備投資の年を含む複数年分の消費税額を比較します。還付の見込額と、その後に納める税額の両方を並べます。 - ステップ4:提出する届出書と期限を決める
課税事業者を選ぶなら選択届出書、やめるなら選択不適用届出書、簡易課税に移るなら簡易課税制度選択届出書と、必要な書類を決めます。2割特例・3割特例の適用を受けた翌課税期間に簡易課税へ移る場合は、申告期限まで提出できる措置も確認します。 - ステップ5:提出方法を決めて控えを保存する
e-Taxで提出するか、書面で持参・送付するかを決めます。税務署は土曜日、日曜日、祝日と年末年始(12月29日から1月3日)は執務を行っていないため、年末の提出は余裕を持って行い、受信通知や控えを保存します。
飲食料品を扱う事業者は特設サイトも確認
国税庁のNo.6501は、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品の譲渡について消費税率が引き下げられることに当たり、飲食料品の譲渡を行う事業者を対象に、課税事業者選択届出書の提出時期の特例が設けられると案内しています。該当する事業者は、国税庁の消費税率引下げ特設サイトで最新の取扱いを確認してください。
国税庁のNo.6501は、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品の譲渡について消費税率が引き下げられることに当たり、飲食料品の譲渡を行う事業者を対象に、課税事業者選択届出書の提出時期の特例が設けられると案内しています。該当する事業者は、国税庁の消費税率引下げ特設サイトで最新の取扱いを確認してください。
よくある質問
- Q. 課税事業者選択届出書は、いつまでに提出すればよいですか?
- A. 適用を受けようとする課税期間の初日の前日までです。個人事業者が翌年分から課税事業者になる場合は、その年の12月31日までに提出します。課税期間の末日が土曜日、日曜日、祝日等にあたっても、翌日等の平日に提出期限は延長されません。事業を開始した日の属する課税期間から選ぶ場合は、その課税期間中に提出すれば足ります。
- Q. 売上が1,000万円以下に戻れば、自動的に免税事業者に戻りますか?
- A. 戻りません。国税庁のQ&Aによれば、選択届出書の効力は、消費税課税事業者選択不適用届出書を提出しない限り存続し、基準期間の課税売上高が1,000万円以下となった課税期間についても免税事業者とはなりません。免税事業者に戻りたい場合は、戻ろうとする課税期間の初日の前日までに不適用届出書を提出する必要があります。
- Q. 課税事業者を選んだ翌年に、すぐ免税事業者に戻れますか?
- A. 原則として戻れません。不適用届出書は、課税事業者となった日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ提出できないため、課税事業者となった日から2年間は免税事業者になれません。さらに、この間に一般課税で調整対象固定資産を取得した場合は、その課税期間の初日から原則として3年間、免税事業者に戻れなくなります。
- Q. インボイスの登録を受けるには、選択届出書も必要ですか?
- A. 多くの場合は不要です。免税事業者が課税期間の途中で登録を受けた場合は、登録日以後の取引が申告の対象となる経過措置があり、登録によって課税事業者となります。この経過措置で登録した事業者は、選択届出書の提出をして課税事業者となったものではないため、調整対象固定資産の取得による制限にも該当しないと、インボイスQ&A問115で説明されています。
- Q. 選択届出書で課税事業者になっていても、2割特例は使えますか?
- A. 使えます。ただし、令和5年9月30日以前の期間を含む課税期間の申告には適用できません。また、選択届出書を提出して課税事業者となった後2年以内に一般課税で調整対象固定資産の仕入れ等を行い、免税事業者に戻れない課税期間も対象外です。2割特例は令和8年9月30日までの日の属する課税期間で適用が終わるため、個人事業者は令和9年分からの申告方式を検討する必要があります。
- Q. 個人事業者の3割特例は、選択届出書を出していても受けられますか?
- A. 要件を満たせば受けられます。3割特例は、個人事業者である適格請求書発行事業者の令和9年及び令和10年に含まれる各課税期間に適用でき、選択届出書の提出により課税事業者となった免税事業者も含まれます。ただし、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える課税期間や、調整対象固定資産の取得により免税事業者に戻れない課税期間などは対象外です。
- Q. 調整対象固定資産には、どのような資産が該当しますか?
- A. 棚卸資産以外の資産で、建物およびその附属設備、構築物、機械および装置、車両および運搬具、工具、器具および備品などのうち、一の取引単位の価額が消費税および地方消費税に相当する額を除いて100万円以上のものです。店舗の内装工事や営業用の車両、厨房設備なども金額によっては該当するため、購入前に税抜き金額で判定してください。
参考資料・出典
- 国税庁 No.6501 納税義務の免除(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.6501 納税義務の免除 Q&A(Q1・Q2)
- 国税庁 D1-4 消費税課税事業者選択届出手続
- 国税庁 D1-5 消費税課税事業者選択不適用届出手続
- 国税庁 D1-7 消費税課税事業者届出手続(基準期間用)
- 国税庁 2割特例 特設ページ
- 国税庁 インボイスQ&A 問115(令和6年4月改訂)
- 国税庁 インボイスQ&A 問115-2(令和8年4月追加)
- 国税庁 インボイスQ&A 問116-2(令和6年4月追加)
- 国税庁 インボイス制度特設サイト 令和8年度税制改正特集
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
この記事に関するご相談は道濟会計事務所へ(初回相談無料)
税務・経営に関するご相談は、堺市の道濟会計事務所にお任せください。 堺東駅徒歩1分・オンライン対応で全国からご相談いただけます。