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子ども・子育て支援金2026年4月開始|給与天引き5実務

子ども・子育て支援金2026年4月開始 給与天引きの中小企業実務
この記事の要点3点

  • 2026年4月から子ども・子育て支援金の徴収がスタート。協会けんぽ加入の中小企業は健康保険料に0.23%上乗せで徴収され、被保険者と事業主が0.115%ずつを折半します。
  • 協会けんぽの2026年度の被保険者一人当たり平均負担は月額約450円(労使合計)。事業主の追加負担は年6,000億円規模(2026年度総額)のうち、被用者保険分の事業主負担として大企業・中小企業合わせて配分されます。
  • 給与計算ソフトは2026年4月分保険料から料率設定の変更が必要。同時期に雇用保険料率と協会けんぽの健康保険料率も改定されており、「健康保険料率+介護保険料率+支援金率」の3区分の合計で給与控除を行う実務へ移行します。

2026年4月から、医療保険料に上乗せして徴収される新しい財源負担「子ども・子育て支援金」がスタートします。少子化対策の財源として2024年6月成立の改正子ども・子育て支援法に基づき創設されたもので、被保険者本人と事業主が0.115%ずつを負担します。年度更新・算定基礎届の繁忙期と重なる4〜6月、中小企業の給与計算担当者は何を準備しておけばよいか。協会けんぽの2026年度料率、賞与・育休・退職時の取扱、給与計算ソフト設定までを、税理士の視点で実務的に整理します。

子ども・子育て支援金制度の概要

制度の目的と根拠法

子ども・子育て支援金は、政府の「こども未来戦略」(2023年12月閣議決定)に基づく「加速化プラン」の財源として創設された負担金です。根拠法は改正子ども・子育て支援法(2024年6月5日成立、6月12日公布)で、少子化対策のために2026年度から2028年度にかけて段階的に導入されます。徴収主体は医療保険者(協会けんぽ、健康保険組合、共済組合、国民健康保険、後期高齢者医療制度等)で、医療保険料に上乗せして徴収し、国の特別会計(こども・子育て支援特別会計)に納付される仕組みです。

2026年度から2028年度までの段階導入

こども家庭庁が公表している支援金制度の概要によれば、徴収総額は段階的に拡大される予定です。2026年度は約6,000億円、2027年度は約8,000億円、2028年度には約1兆円規模に達する見込みです(こども家庭庁公表値・概算)。なお、ここでの金額はすべて全国・全保険者の徴収総額の合計値で、被用者保険・国保・後期高齢者医療すべてを含む数字である点に注意してください。

協会けんぽ加入の中小企業に適用される2026年度の料率

被用者保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合)に共通の支援金率は、2026年度は0.23%とされています。被保険者本人と事業主が折半するため、それぞれの実質負担率は0.115%です。なお、健康保険組合については組合ごとに財政状況が異なるため、最終的な料率は組合別に決定されますが、ベースは全国共通の0.23%です。

区分2026年度の料率(年率)負担方法
協会けんぽ0.23%本人0.115% + 事業主0.115%(折半)
健康保険組合組合別に決定(ベース0.23%)原則折半(組合規約で別段定めも可)
共済組合組合別に決定(ベース0.23%)原則折半
国民健康保険市町村別に決定世帯主が納付

徴収開始時期

協会けんぽにおける適用は2026年4月分の保険料から開始されます(給与控除実務でいえば、月末締め翌月払いの会社では2026年5月支給給与から、当月払いの会社では2026年4月支給給与から控除)。健康保険料率・介護保険料率の改定も同時期に実施されるため、給与計算ソフトの設定変更は3月中〜4月初旬に完了させる必要があります。

中小企業への実務影響と負担額シミュレーション

年収別の負担額試算

こども家庭庁が示している被用者保険における年収別の被保険者一人当たり負担額(月額・本人分のみ)は、おおむね以下のとおりです。協会けんぽ加入の中小企業従業員を想定すると、平均的な負担感が把握できます。

年収(標準報酬総額)本人月額負担事業主月額負担(同額)年間労使合計
200万円約192円約192円約4,608円
400万円約383円約383円約9,192円
600万円約575円約575円約13,800円
800万円約767円約767円約18,408円

協会けんぽ加入の中小企業従業員らの2026年度平均徴収月額は約450円(本人分)と公表されており、事業主負担を合わせると一人あたり月900円程度の負担増となります。従業員30人規模の事業所では、年間ベースで事業主負担分が約16万円(450円×30人×12ヶ月)程度の増加です。

賞与に対する取扱

支援金は標準報酬月額だけでなく標準賞与額にも0.23%が上乗せされる計算です。協会けんぽにおける標準賞与額の年度上限は健康保険で573万円、厚生年金保険で月150万円(1回あたり)であり、支援金もこの上限に従います。年2回の賞与で標準賞与額合計が400万円の従業員の場合、賞与にかかる支援金は400万円×0.23%=9,200円(労使合計)となります。

支援金は法人の損金算入と消費税の取扱

事業主負担分の子ども・子育て支援金は、健康保険料と同様に法人税法上の「法定福利費」として損金算入できます。消費税法上は、健康保険料と同じく非課税の対象外(不課税取引)として処理します。給与計算上、本人負担分を給与から差し引いて事業主負担分と合わせて医療保険者に納付するキャッシュフローも健康保険料と同一です。会計仕訳としては、給与支給時に「給料/預り金(社保預り金)」、納付時に「預り金+法定福利費/普通預金」のパターンで処理し、預り金勘定の補助科目で支援金分を分けて管理しておくと、年度の事業主負担総額を把握しやすくなります。

給与計算ソフトの設定変更

市販給与計算ソフトでは、2026年3〜4月のアップデートで「子ども・子育て支援金率」の項目が追加される予定です。料率は健康保険料率・介護保険料率と独立して設定する形になり、給与明細上の控除欄も新項目として表示されるケースが多くなります。表計算ソフトで給与計算をしている事業所は、控除式の見直しを必ず4月支給給与の前に行う必要があります。

当事務所の見解・実務上の注意点

「健康保険料に内包」の誤解に注意

2026年度料率改定のニュースで多く誤解されているのが、「子ども・子育て支援金は健康保険料率に上乗せされる」という表現です。法的・実務的には、支援金は健康保険料とは別個の財源負担で、保険者が一括して徴収するだけのスキームです。給与明細・賃金台帳では「健康保険料」「介護保険料」「子ども・子育て支援金」を別項目で記載することが推奨され、決算書上も法定福利費として処理しつつ内訳を別管理することが望ましいでしょう。

育児休業中の取扱は健康保険と同様

育児休業中の健康保険料は申出により事業主分・被保険者分とも免除されますが、子ども・子育て支援金もこれと同じ取扱です。つまり、育児休業を取得している期間は本人・事業主とも支援金が免除される仕組みになっています。社会保険料免除を毎月の月変・賞与で実装している事業所では、給与計算ソフトの「免除フラグ」が支援金にも自動連動するかを確認しておくと安心です。

個人事業主は国民健康保険料で徴収される

従業員5人未満の個人事業所など、国民健康保険に加入している事業者は、市町村が徴収する国民健康保険料に支援金が上乗せされて徴収されます。市町村別に料率が決定されるため、堺市の事業主の方は2026年4月以降に届く国保通知書で支援金額を確認することになります。法人化を検討する個人事業主にとっては、社会保険料の労使折半メリット(協会けんぽ加入による事業主負担増)とあわせて、シミュレーションし直す価値がある論点です。

段階的導入と将来の負担増を見込んだ予算策定

2026年度の0.23%は初年度料率であり、2027年度・2028年度には段階的に引上げが予定されています。2028年度に向けて支援金収入1兆円規模を達成するためには、料率は2026年度の0.23%から最終的に0.5%前後(被用者保険共通推計)まで上昇する見通しです。3年後の人件費を予算化する際は、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料に加え、子ども・子育て支援金の上昇分も折込んでおくべきでしょう。

児童手当の拠出金との違い

事業主が従来から負担している「子ども・子育て拠出金」(厚生年金保険料に上乗せして徴収、料率0.36/1,000程度)と、今回の「子ども・子育て支援金」は別物です。拠出金は事業主のみが負担し、財源は児童手当・地域子ども子育て支援事業に充てられます。一方の支援金は労使折半で、加速化プラン(児童手当の所得制限撤廃・第3子以降の増額、出生後休業支援給付の新設、こども誰でも通園制度等)の財源に充てられます。両者は趣旨・徴収方法とも異なるため、給与明細・賃金台帳上で混同しないよう注意が必要です。

給与計算ソフト別の対応状況の確認方法

主要な給与計算ソフトベンダーは、2026年3月末から4月初旬にかけて子ども・子育て支援金対応のアップデートを順次配信しています。クラウド型(freee人事労務、マネーフォワードクラウド給与など)は自動アップデートが基本ですが、設定画面で「支援金率」の項目が表示されているか、初回給与計算前に画面確認しておくことをお勧めします。インストール型(弥生給与、PCA給与、給与奉行など)はアップデートプログラムの適用が必須で、配信時期・適用手順を各社のサポートサイトで事前確認してください。表計算で独自運用している事業所は、健康保険料計算式の隣に「IF(標準報酬月額×0.115%)」の控除式を追加するだけでなく、賞与計算シートにも同等の式を追加する必要があります。

今すぐやるべきこと(チェックリスト)

  1. ステップ1:給与計算ソフトの2026年度料率設定を確認
    2026年4月分保険料から子ども・子育て支援金(協会けんぽ0.23%、労使折半)の控除が始まります。給与計算ソフトのアップデートが適用されているか、表計算で計算している場合は控除式に新項目を追加できているかを4月支給給与の前に確認します。
  2. ステップ2:給与明細レイアウトに「子ども・子育て支援金」項目を追加
    従業員説明と賃金台帳の透明性のため、健康保険料・介護保険料とは別欄に「子ども・子育て支援金」を新設します。給与明細システムで自動表示されない場合は、雛形の改定が必要です。
  3. ステップ3:従業員向けの周知文書を準備
    「2026年4月から保険料控除が増える理由」を明確に伝える社内向けの簡易説明書を準備します。「健康保険料率改定」「介護保険料率改定」「子ども・子育て支援金新設」の3点を一覧で示し、賃金から控除される総額の変化を給与簿例で示すと従業員の納得感が高まります。
  4. ステップ4:法定福利費の予算(2026年度)を再計算
    本人負担分は給与控除のため事業所のキャッシュフローには影響しませんが、事業主負担分は法定福利費の純増となります。30人規模で年間16万円程度の増加が見込まれます。2026年度予算・キャッシュフロー計画に織り込みます。
  5. ステップ5:育休・産休中従業員の免除運用を確認
    支援金は健康保険料と同様、育休・産休中は労使とも免除されます。給与計算ソフトの免除フラグが支援金にも自動連動するか、または手動で別途免除設定が必要かを、現に育休中の従業員の給与計算で必ず検証します。

よくある質問

Q. 子ども・子育て支援金は社会保険料控除(所得税)の対象になりますか。
A. 健康保険料の一部として徴収されるため、本人負担分は社会保険料控除の対象となる見込みです。年末調整・確定申告では、給与から控除された支援金は健康保険料と合算して社会保険料控除に反映されます。
Q. 中途入社・退職時の月割計算はどうなりますか。
A. 健康保険料と同じ取扱で、月末時点で被保険者であった月について1ヶ月分の支援金が徴収されます。月の途中で退職した場合は、退職月の支援金は徴収しません(同月得喪を除く)。日割計算は行わない点も健康保険料と同じです。
Q. 賞与にも上乗せされるとのことですが、上限はありますか。
A. 健康保険の標準賞与額の年度上限573万円までが対象です。年度内に賞与累計が573万円を超えた場合、超過分には支援金は課されません。一人の従業員に超高額賞与を年1回支給する役員型の給与体系では、健康保険料と同様に上限到達後の取扱に注意が必要です。
Q. 健康保険組合に加入していますが、料率は協会けんぽと同じ0.23%ですか。
A. 健康保険組合の料率は組合ごとに決定されるため、組合により異なります。多くの健保組合は0.23%をベースに設定する見込みですが、組合の財政状況や規約により上下する可能性があります。加入している健保組合からの通知を必ず確認してください。
Q. 個人事業主(国保加入)の経営者はどのように負担しますか。
A. 市町村が徴収する国民健康保険料に支援金が上乗せされる形で徴収されます。料率は市町村によって異なり、2026年4月以降に届く国保保険料通知書で支援金額が示されます。事業所得から経費として控除することはできず、社会保険料控除(所得税)の対象となります。

参考資料・出典

道濟会計事務所の税務相談

本記事に関する個別のご相談・具体的な実務のサポートは、当事務所へご連絡ください。給与計算ソフトの料率設定レビュー、法定福利費の予算策定、従業員向け説明書の作成支援も対応可能です。初回相談は無料です。

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本記事は道濟会計事務所が監修しました。

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