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求人不受理2026|10月1日から対象条項追加・求人が出せない6類型

求人不受理2026と令和8年10月1日の対象条項追加を解説する記事のアイキャッチ画像
SUMMARYこの記事の要点3点
  • 1ポイント1:令和8年10月1日から適用される職業紹介事業業務運営要領で、求人不受理となる違反の対象条項の追加及び条ズレ等が反映されました。
  • 2ポイント2:職業安定法第5条の6は、求人の申込みは全て受理しなければならないとしたうえで、6つの場合には受理しないことができると定めています。
  • 3ポイント3:労働基準法や最低賃金法の違反で送検・公表されると、送検された日から1年経過するまでは求人を出せません。

求人を出しても受け付けてもらえない。中小企業の採用でそんな事態が起こり得ることは、あまり知られていません。職業安定法は、一定の労働関係法令違反があった求人者からの求人を、ハローワークや職業紹介事業者が受理しないことができると定めています。厚生労働省は令和8年10月1日から新しい職業紹介事業業務運営要領を適用し、その対象条項を見直しました。是正勧告や送検は労務の問題にとどまらず、人が採れないという経営の問題に直結します。本記事では、堺市・大阪府の中小企業が押さえておくべき求人不受理の仕組みを整理します。

求人不受理とは|令和8年10月1日からの要領改正

求人不受理により求人の申込みが受理されない状態を表す閉じた門のイラスト

令和8年10月1日から新しい業務運営要領が適用

厚生労働省は、令和8年10月1日より、職業紹介事業業務運営要領が適用されることとなります、として新しい要領を公表しています。あわせて公表された改正概要は、改正箇所を第2の1(2)イ(ニ)、(ホ)、ロ(ロ)および第15の様式例第7号とし、その内容を、労働施策総合推進法等の一部を改正する法律の施行に伴う職業安定法施行令等の改正(令和8年10月)に伴い、求人不受理となる違反の対象条項の追加及び条ズレ等を反映、と説明しています。

今回の改正は、求人不受理の判定に使う法令の条項リストを、令和8年10月施行の法改正に合わせて書き換えたものです。制度の骨格は変わりませんが、不受理の引き金になる条項が増えた点は、求人を出す側にとって無視できません。

受理しないことができる6つの場合

業務運営要領は、職業紹介事業者は、法第5条の6において、求人の申込みは全て受理しなければならないこととされているが、次に掲げる場合については、求人の申込みを受理しないことができる、として6つの場合を挙げています。

区分受理しないことができる場合
イ申込みの内容が法令に違反するとき
ロ申込みの内容である賃金、労働時間その他の労働条件が通常の労働条件と比べて著しく不適当であると認められるとき
ハ求人者が労働に関する法律の規定であって政令で定めるものの違反に関し、法律に基づく処分、公表その他の措置が講じられた者であるとき
ニ求人者が法第5条の3第2項の規定による明示を行わないとき
ホ求人者が暴力団員、役員のうちに暴力団員がある法人、暴力団員がその事業活動を支配する者のいずれかであるとき
ヘ求人者が正当な理由なく法第5条の6第2項の規定による報告の求めに応じないとき

同要領は、職業紹介事業者は、イからヘに該当することにより求人の申込みを受理しないときは、求人者に対し、その理由を説明しなければならない、としています(則第4条の5第4項)。受理を断られた場合に理由を聞けるのは、この規定によるものです。

対象となる法律は政令で決まっている
同要領は、ハの労働に関する法律の規定であって政令で定めるものについて、職業安定法施行令第1条に定められているとしたうえで、労働基準法、職業安定法、最低賃金法、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の6つの法律の規定を具体的に列挙しています。労働安全衛生法は、この列挙には含まれていません。

追加された条項と同日施行の義務

同要領が挙げる労働施策総合推進法の対象条項は、第31条第1項及び第2項、第33条第1項及び第2項、第36条第2項並びに第37条第2項の規定です。男女雇用機会均等法については、第5条から第7条まで、第9条第1項から第3項まで、第11条第1項及び第2項、第13条第1項及び第2項、第15条第1項及び第2項、第17条、第18条第1項、第23条第2項並びに第24条第2項の規定が挙げられています。最低賃金法は第4条第1項の規定です。

令和8年10月1日は、改正労働施策総合推進法によるカスタマーハラスメント対策と、改正男女雇用機会均等法による求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化された日でもあります。求人不受理の対象条項の追加は、この法改正と同じ流れの中にあります。

中小企業への実務影響|いつから、どの単位で、いつまで

求人不受理の期間が経過するまでの時間の経過を表す砂時計のイラスト

不受理になる場面と期間

違反が一度あれば直ちに求人が出せなくなるわけではありません。厚生労働省・都道府県労働局が求人企業向けに公表しているリーフレットは、対象となる主なケースと基本となる不受理期間を次のように整理しています。

対象となる規定対象となる主なケース基本となる不受理期間
労働基準法及び最低賃金法に関する規定1年間に2回以上、同一の対象条項違反により是正指導を受けた場合法違反の是正後6か月経過するまで
労働基準法及び最低賃金法に関する規定対象条項違反により送検され、公表された場合送検された日から1年経過するまで
職業安定法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法に関する規定対象条項に違反し、法違反の是正を求める勧告に従わず、公表された場合法違反の是正後6か月経過するまで

業務運営要領は、送検されて公表された場合について、送検後1年経過した時点で、是正後6か月未満の場合には、是正後6か月経過時点まで不受理期間延長とも述べています。送検から1年たてば自動的に解除されるとは限らない点に注意が必要です。

事業所単位か、会社全体か

不受理の範囲は、違反した法律によって変わります。業務運営要領は、労働基準法及び最低賃金法違反の場合については、個別の事業所が行った違反行為に基づき事業所単位で不受理とすることとし、職業安定法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法違反の場合については、これらの法律の規定による公表が事業主に対して行われることから、事業主単位で不受理の対象とすることとしています。後者は会社全体の求人が止まることを意味します。

本社がまとめて出す求人も巻き込まれる
業務運営要領は、本社等が事業主単位の求人を一括して申し込む場合や、個別の事業所に係る求人の申込みを行う場合であって、当該求人の就業の場所に是正勧告を受けたことにより不受理の要件に該当することとなった事業所が含まれる場合は、当該求人も不受理の対象とすることとしています。1つの工場や店舗の問題が、グループ全体の採用活動を止める構造です。

長時間労働の企業名公表も引き金になる

是正指導の回数や送検のほかにも、不受理につながる経路があります。業務運営要領は、当該違反行為が求職者の職場への定着に重大な影響を及ぼすおそれがある場合の一つとして、違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表について(平成29年1月20日付け基発0120第1号)に基づき公表され、是正が行われた日から起算して6月が経過していない場合を挙げています。同要領はこの公表について、所定の要件に該当した企業の代表取締役等に対し、都道府県労働局長から早期に法違反の是正に向けた全社的な取組を実施することを求める指導書を交付し、指導を行った事実を企業名とともに公表するもの、と説明しています。

逆に、公表された後で嫌疑が晴れた場合の取扱いも定められています。同要領は、労働基準法又は最低賃金法に違反する行為により送致等が行われ、公表された求人者については、その後不起訴とされた場合又は起訴後に無罪が確定した場合であり、かつ、求人不受理事由に該当するが違反行為について既に是正が行われている場合には、当該求人者からの求人について受理することとして差し支えないこととしています。

公表事案はどこで確認できるか

自社や取引先が不受理の対象かどうかの手がかりは、厚生労働省が公表している一覧にあります。労働基準局監督課が公表する労働基準関係法令違反に係る公表事案は、各都道府県労働局が公表した際の内容を集約したものとされ、企業・事業場名称、所在地、公表日、違反法条、事案概要が掲載されています。令和8年10月時点で掲載されている一覧には、掲載日として令和8年9月30日、対象期間として令和7年9月1日~令和8年8月31日公表分と記載されています。

一方、職業安定法、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法関係について、厚生労働省は、現時点で求人の申込の不受理の対象となる事業所はありません、としています。これらの法律は勧告に従わなかった場合に公表される仕組みであり、公表に至る例がまだ出ていないということです。

当事務所の見解・実務上の注意点

労働関係法令違反を防いで中小企業の採用力を守ることを表す盾のイラスト

是正勧告は採用の問題でもある

労働基準監督署の是正勧告を受けたとき、経営者の関心は未払い残業代の精算額に向かいがちです。しかし求人不受理の仕組みを踏まえると、同一条項の違反を1年間に2回以上繰り返した場合には、是正から6か月が経過するまで求人を出せません。採用計画の遅れは売上の機会損失に直結します。是正勧告の段階で再発防止まで踏み込むことには、賃金債務とは別の経済的な意味があります。

公表事案の一覧を見ると、労働基準法では第32条(労働時間)や第24条(賃金の全額払い)、最低賃金法では第4条の違反が目立ちます。いずれも賃金台帳と勤怠記録の突き合わせで事前に気づける種類のものです。当事務所が経理代行・記帳代行をお預かりしている場合、給与計算の過程で割増賃金の単価や最低賃金との差額に違和感があれば、その時点でお伝えするようにしています。

自己申告書に事実と違う回答をしない

求人不受理の判定は、行政が事業者の違反情報を職業紹介事業者に渡して行うものではありません。業務運営要領は、原則として、求人者に対し、求人の申込みが法第5条の6第1項各号のいずれかに該当するか否かを自己申告させるべきことと定め、様式例第7号として自己申告書の例を掲載しています。つまり、求人を出す側の申告が出発点です。

この申告を軽く扱うと二重の不利益があります。業務運営要領は、求人者が正当な理由なく自己申告に応じない場合には、求人者が法第5条の6第3項違反となり、職業紹介事業者は、同条第1項第6号により、当該求人者からの求人の申込みを受理しないことができることとしています。さらに求人企業向けのリーフレットは、自己申告の際に、事実に相違する報告をした場合には、都道府県労働局による勧告や公表などの対象となる可能性があるので、正しい内容の自己申告をお願いします、としています。嘘の申告が新たな公表の引き金になりかねません。

10月1日の義務化とセットで点検する

令和8年10月1日に義務化されたカスタマーハラスメント対策と求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策は、いずれも事業主が措置を講じなければならないものです。これらの根拠法である労働施策総合推進法と男女雇用機会均等法の規定は、求人不受理の対象条項にも挙げられています。措置を講じないまま勧告を受け、それに従わずに公表されれば、会社全体の求人が止まる経路が開きます。就業規則や相談窓口の整備は、採用力を守る投資でもあります。採用コストや人件費の税務上の取扱いも含めたご相談は、堺市の税務顧問としてお受けしています。

今すぐやるべきこと

求人不受理を避けるために中小企業が進める手順を表すはしごのイラスト

  1. ステップ1:過去1年の是正勧告を棚卸しする
    労働基準監督署から受けた是正勧告書を1年分そろえ、違反条項と是正報告の日付を一覧にします。同一条項で2回以上の指導を受けていないかを確認してください。業務運営要領は、同一の規定に違反する行為について、項が同一である違反行為を指すものであることとしています。
  2. ステップ2:対象条項に当たるかを確認する
    労働基準法のうち対象となるのは、第4条、第5条、第15条第1項及び第3項、第24条、第32条、第34条、第35条第1項、第36条第6項、第37条第1項及び第4項、第39条の各項、年少者・妊産婦に関する規定などです。最低賃金法は第4条第1項が対象です。
  3. ステップ3:求人を出す予定の時期から逆算する
    不受理期間は是正後6か月または送検後1年が基本です。新卒採用や繁忙期前の増員を予定しているなら、その時期に不受理期間が重ならないかを先に確かめます。厚生労働省の資料は、いずれの場合も、不受理期間経過後に是正状態が維持されていることを確認した上で不受理を解除するとしており、是正報告を出して終わりにはできません。
  4. ステップ4:自己申告書の回答者と確認手順を決めておく
    職業紹介事業者から自己申告を求められたとき、誰が事実関係を確認して回答するのかを決めておきます。業務運営要領は、求人者からの自己申告は、求人の申込みごとに行うことを原則とするとしています。
  5. ステップ5:10月1日施行の2つの義務の対応状況を点検する
    カスタマーハラスメント対策では、方針の明確化と周知、相談窓口の設置と周知、事後の迅速かつ適切な対応、抑止のための措置などが求められます。求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策では、求職活動等に関するルールの明確化と周知も必要です。
  6. ステップ6:賃金台帳と勤怠記録の突き合わせを月次に組み込む
    割増賃金の単価、最低賃金との差額、法定休日の付与状況を毎月確認します。是正勧告の多くは、この突き合わせで事前に防げる領域です。

よくある質問

Q. 是正勧告を一度受けただけで求人が出せなくなりますか?
A. 労働基準法や最低賃金法の対象条項については、一度の是正指導だけで直ちに不受理になるわけではありません。厚生労働省・都道府県労働局のリーフレットは、対象となる主なケースとして、1年間に2回以上、同一の対象条項違反により是正指導を受けた場合を挙げ、基本となる不受理期間を法違反の是正後6か月経過するまでとしています。ただし対象条項違反により送検され、公表された場合は、回数にかかわらず送検された日から1年経過するまでが基本となる不受理期間です。
Q. 自社のハローワーク求人も止まりますか?
A. 職業安定法第5条の6は、求人の申込みは全て受理しなければならないという原則と、受理しないことができる場合を定めており、公共職業安定所と職業紹介事業者の双方に関わる仕組みです。令和8年10月1日から適用される職業紹介事業業務運営要領は、このうち職業紹介事業者の業務について定めています。ハローワークでの具体的な取扱いについては、求人を申し込む窓口で自社の状況を伝えて確認するのが確実です。
Q. 労働安全衛生法の違反で送検された場合はどうなりますか?
A. 業務運営要領が職業安定法施行令第1条の対象として列挙しているのは、労働基準法、職業安定法、最低賃金法、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の規定です。労働安全衛生法はこの列挙に含まれていません。もっとも、労働基準関係法令違反に係る公表事案の一覧には労働安全衛生法違反の事案も掲載され、企業名が公表されます。求人不受理の対象でなくとも、採用活動や取引先の評価に影響が及ぶことは十分にあります。
Q. 不受理の対象になっているかどうかを自分で調べられますか?
A. 厚生労働省は、労働基準関係法令違反に係る公表事案として、各都道府県労働局が公表した際の内容を集約した一覧を掲載しています。企業・事業場名称、所在地、公表日、違反法条、事案概要が記載されており、自社名の有無を確認できます。令和8年10月時点の一覧は、掲載日が令和8年9月30日、対象期間が令和7年9月1日~令和8年8月31日公表分です。職業安定法、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法関係については、厚生労働省は現時点で求人の申込の不受理の対象となる事業所はありませんとしています。
Q. 求人の受理を断られたとき、理由を教えてもらえますか?
A. 教えてもらえます。業務運営要領は、職業紹介事業者は、イからヘに該当することにより求人の申込みを受理しないときは、求人者に対し、その理由を説明しなければならないとしています。根拠は同要領が則第4条の5第4項とする職業安定法施行規則第4条の5第4項です。どの条項に該当したのかが分かれば、是正と不受理期間の見通しを立てられます。説明を受けた内容は書面やメールで残しておくとよいでしょう。
Q. 求人を出した後に不受理の要件に当たることが判明したらどうなりますか?
A. 業務運営要領は、求人を受理した後に、当該求人者が求人不受理事由に該当することが判明した場合には、法第5条の8に規定する適職紹介の趣旨を踏まえ、求人者に対して説明を行った上で当該求人の紹介を差し控えるなど、適切に対応することとしています。掲載が続いていても紹介が止まることがあり得るということです。採用計画に影響するため、労働基準監督署の調査が入った段階で、求人の取扱いについて職業紹介事業者と相談しておくことをおすすめします。
Q. 自己申告の求めに応じないとどうなりますか?
A. 業務運営要領は、求人者が正当な理由なく自己申告に応じない場合には、求人者が法第5条の6第3項違反となり、職業紹介事業者は、同条第1項第6号により、当該求人者からの求人の申込みを受理しないことができることとしています。正当な理由について同要領は、求人者にとって不可抗力かつ突発的な理由で生じたものであって、求人者が社会通念上取るべき必要な措置をもってしても対応できないものをいうとしています。忙しい、面倒だといった事情は正当な理由になりません。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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