堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
休眠会社のみなし解散2026|12年で通知・過料100万円と継続の登記
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:最後の登記から12年を経過した株式会社は、法務大臣の官報公告と登記所からの通知の対象になります。公告から2か月以内に登記申請または「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしないと、登記官の職権で解散の登記がされます。
- 2ポイント2:整理作業は毎年10月頃に行われています。令和7年度は10月10日に公告、12月10日が期限で、25,195社が解散したものとみなされました。事業を続けていても対象になります。
- 3ポイント3:届出や登記をしても、それ以前の登記懈怠が消えるわけではありません。登記の申請を怠った代表者等は、裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります。
CONTENTS目次
登記のことは会社を作ったときに一度やっただけ、という会社は珍しくありません。ところが役員の任期が切れているのに重任の登記をしていないと、登記簿上は「最後の登記から何年も動いていない会社」に見えます。全国の法務局は毎年、この状態の会社を整理する作業を行っており、令和7年度は令和7年10月10日に法務大臣の官報公告がされ、令和7年12月10日が期限とされました。事業を現に続けている会社でも、期限までに手続をしなければ職権で解散の登記がされます。本記事では、法務省の公表資料をもとに、対象となる会社の要件、通知が届かない場合の扱い、みなし解散後の継続、そして税務側で連動する手続を整理します。
みなし解散とは|休眠会社は12年・休眠一般法人は5年
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商業登記制度は、商号や会社に関する一定の事項を登記簿に記載して広く一般に公示し、会社に係る信用の維持を図るとともに、取引の安全と円滑に資することを目的とする制度です(商業登記法第1条)。会社の設立に当たって登記した事項に変更が生じたときは、2週間以内に本店の所在地において変更の登記をしなければなりません(会社法第915条第1項)。
対象になるのは「最後の登記」からの経過年数だけ
法務省は、整理作業の対象を次のように定義しています。
| 区分 | 対象 | 根拠 |
|---|---|---|
| 休眠会社 | 最後の登記から12年を経過している株式会社。特例有限会社は含まれません。 | 会社法第472条 |
| 休眠一般法人 | 最後の登記から5年を経過している一般社団法人又は一般財団法人。公益社団法人・公益財団法人も含まれます。 | 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(法務省の資料では「一般法人法」と略記)第149条・第203条 |
判定に使われるのは最後の登記の年月日だけです。法務省は、最後の登記以降に登記事項証明書や代表者届出印の印鑑証明書の交付請求を行っていても関係ないとしています。決算をして法人税を毎期納めていても、登記が動いていなければ対象になります。
手続の流れは公告から2か月
毎年1回、法務大臣による官報公告が行われます。公告の内容は、休眠会社又は休眠一般法人は、公告から2か月以内に必要な登記をせず「まだ事業を廃止していない」旨の届出もされないときは解散したものとみなされる、というものです。あわせて、対象となる会社には管轄の登記所から公告が行われた旨の通知が送付されます。
2か月の期間内に必要な登記申請または届出をしなかった会社については、その2か月の期間満了の時に解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をします。これがみなし解散の登記です。令和7年度は、令和7年10月10日に公告、令和7年12月10日が期限、令和7年12月11日付けで解散したものとみなされる、というスケジュールでした。
なぜ整理作業が行われるのか
法務省は理由を2つ挙げています。第一に、事業を廃止し実体を失った会社がいつまでも登記上公示されたままとなるため、登記の信頼を失いかねないこと。第二に、休眠会社を売買するなどして犯罪の手段とされかねないことです。
年数の基準も、この任期の考え方から導かれています。会社法の規定により株式会社の取締役の任期は原則として2年(最長10年)とされており、取締役の交替や重任の場合にはその旨の登記が必要ですから、株式会社については少なくとも10年に一度は取締役の変更登記がされるはずだ、というのが法務省の説明です。一般社団法人・一般財団法人の理事の任期は2年とされているため、こちらは少なくとも2年に一度は理事の変更登記がされるはずだ、という前提になります。だから株式会社は12年、一般社団法人・一般財団法人は5年という差が付いています。
登記を怠ったときの制裁も定められています。会社法等の規定による登記をすることを怠ったときは、登記の申請を怠った代表者等は裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります(会社法第976条第1号、一般法人法第342条第1号)。変更の登記の期限は、一般社団法人・一般財団法人も同じく2週間以内です(一般法人法第303条)。
中小企業への実務影響|通知が届く会社と届かない会社
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整理作業は平成26年度以降、毎年実施されています。法務省が公表している実績は次のとおりです。
| 回(年度) | 解散したものとみなされた株式会社数 | 同 一般社団法人・一般財団法人数 |
|---|---|---|
| 第6回(平成26年) | 78,979 | 478 |
| 第10回(平成30年) | 24,720 | 1,208 |
| 第14回(令和4年) | 28,615 | 1,798 |
| 第15回(令和5年) | 27,887 | 1,787 |
| 第16回(令和6年) | 26,885 | 1,994 |
| 第17回(令和7年) | 25,195 | 1,826 |
直近5回(令和3年から令和7年)はいずれも2万5千社を超える株式会社が解散したものとみなされています。単発の措置ではなく、毎年めぐってくる手続だという点が実務上の要点です。
もともとは不定期、平成26年度から毎年になった
この作業は昔から毎年あったものではありません。法務省の資料によると、第1回は昭和49年、第2回は昭和54年、第3回は昭和59年、第4回は平成元年、第5回は平成14年、第6回は平成26年度に実施され、第7回以降は毎年度実施されています。休眠一般法人の整理は第6回から始まりました。第6回の78,979社が突出しているのは、第5回の平成14年から12年の間隔が開いた回であることが背景にあるとみられます。毎年実施に切り替わった直後の第7回(平成27年)は15,982社まで下がり、その後は増えて第11回(令和元年)の32,711社が最も多く、そこから令和7年の25,195社まで回を追って減っています。
令和7年度のスケジュールで流れをつかむ
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 令和7年10月10日 | 法務大臣による官報公告。同日付で管轄登記所から対象会社へ通知書を発送 |
| 令和7年12月10日 | 必要な登記(役員変更等)の申請又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出の期限 |
| 令和7年12月11日付 | 手続がされなかった会社は解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記 |
公告と通知が同日で、期限までちょうど2か月です。令和8年度の日程は本記事の作成時点では公告されていませんが、毎年10月頃という運用が続いています。
通知書が届かなくても、みなし解散はされる
法務省は、登記所からの通知が何らかの理由で届かない場合であっても、公告から2か月以内に必要な登記申請又は届出を行わないときは、みなし解散の登記をする手続が進められるとしています。通知が来なかったことは免責になりません。
通知書が届かない理由の一つとして法務省が挙げているのは、商号(名称)を変更している又は本店(主たる事務所)を移転しているにもかかわらず、その変更の登記がされていないことです。この場合、期限までに商号変更又は本店移転の登記をすることにより、その年度の休眠整理作業の対象外となり、みなし解散の登記がされないことになります。
登記懈怠は過料の対象になる
会社法等の規定による登記をすることを怠ったときは、登記の申請を怠った代表者等は裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります(会社法第976条第1号)。法務省は、「まだ事業を廃止していない」旨の届出や必要な登記申請を行った場合であっても、本来申請すべき時期に登記を怠っていた事実は解消されないと明記しています。
解散すると法人税の事業年度が区切られる
登記だけの問題ではありません。国税庁が公表する法人税の法令解釈通達「第2節 事業年度」の1-2-4(解散、継続又は合併の日)は、「法第14条第1項第1号《事業年度の特例》の『解散の日』」、すなわち法人税法第14条第1項第1号のみなし事業年度の起点となる解散の日について、株主総会その他これに準ずる総会等において解散の日を定めたときはその定めた日、定めなかったときは解散の決議の日、解散事由の発生により解散した場合には当該事由発生の日としています。みなし解散は決議によらない解散ですから、事由発生の日で事業年度が切られる建て付けです。
また、法人の解散や清算結了は異動事項に関する届出の対象で、異動等後速やかに異動前の納税地の所轄税務署長へ異動届出書を提出することとされています(法人税法第15条、第20条、法人税法施行令第18条)。登記が動けば税務の届出も動く、という連動を押さえておいてください。日常の登記期限と税務の届出期限を一緒に管理したい場合は、堺市の税務顧問のなかで年間スケジュールとして共有しています。
当事務所の見解・実務上の注意点|届出だけでは翌年また対象になる
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この制度でもっとも誤解されているのは、「まだ事業を廃止していない」旨の届出を出せば片づく、という理解です。法務省は明確に否定しています。
届出は1年しのぎにすぎない
法務省は、「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合であっても、必要な登記(役員変更等)の申請を行わない限り、翌年度も休眠会社・休眠一般法人の整理作業の対象となるとしています。届出はその年度のみなし解散を止める効果しかありません。根本的に外れるには、滞っている役員変更等の登記を実際に申請する必要があります。
実務では、通知書が届いた時点で慌てて届出だけを返送し、翌年また通知が来て初めて司法書士に相談する、という流れをよく見ます。届出を選ぶなら、同じ年度内に登記申請まで進める段取りを決めてから返送するのが合理的です。
届出書の記載事項は法定されている
届出は、登記所からの通知書の下段にある「届出書」に所定の事項を記載して、登記所に送付または持参します。代理人によって届出をするときは委任状の添付が必要です。通知書を利用できない場合は、書面に次の事項を記載して提出します(会社法施行規則第139条)。
- ☑ 商号、本店並びに代表者の氏名及び住所
- ☑ 代理人によって届出をするときは、その氏名及び住所
- ☑ まだ事業を廃止していない旨
- ☑ 届出の年月日
- ☑ 登記所の表示
法務省は、不備があると適式な届出として認められないことがあるため正確に記載するよう求めています。期限直前の郵送で形式不備が出ると取り返しがつきません。
みなし解散後も3年以内なら継続できる
みなし解散の登記がされた後でも、3年以内に限り、株式会社は株主総会の特別決議によって会社を継続することができます。一般社団法人・一般財団法人は社員総会の特別決議または評議員会の特別決議によります。継続の決議をしたときは、その決議から2週間以内に継続の登記の申請をする必要があります。
ここで注意したいのは、同じ通達の1-2-4が「継続の日」についても、総会等で継続の日を定めたときはその定めた日、定めなかったときは継続の決議の日としている点です。継続もまた事業年度の区切りに関係します。会社を継続するのか、新たに設立して事業を移すのかを比べたい場合の判断材料になります。もし新設を選ぶなら、会社設立の支援の枠組みで資本金や決算期の設計から検討することになります。
今すぐやるべきこと|10月の公告前に確認する5つの手順
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整理作業は毎年10月頃に公告が行われています。9月のうちに確認しておく順に並べます。
- ステップ1:登記事項証明書で「最後の登記の年月日」を確認する
法務省は、休眠会社に該当するか不明な場合には登記事項証明書等で最後の登記の年月日を確認することを勧めています。株式会社は12年、一般社団法人・一般財団法人は5年が基準です。 - ステップ2:役員の任期が切れていないかを確認する
取締役の任期は原則2年で、非公開会社では定款で最長10年まで伸長できます。任期満了後の重任も登記が必要です。任期の起算点は選任時期なので、定款と株主総会議事録を突き合わせてください。 - ステップ3:商号変更や本店移転を登記していないか確認する
未登記のままだと通知書が届きません。期限までにこの登記をすれば、その年度の整理作業の対象外になります。 - ステップ4:滞っている登記を申請する
変更の登記は本来2週間以内です。過料は残りますが、登記を申請すれば翌年度以降の対象から外れます。放置期間が長いほど必要書類が増えるため、早い方が費用も軽くなります。 - ステップ5:グループ内の休眠会社の扱いを決める
使っていない子会社をそのまま置いていると、毎年通知が来ます。継続するのか、通常の解散・清算に進めるのかを決め、税務上の届出とあわせて段取りを組んでください。 - ステップ6:通知書の送付先が現在の本店と一致しているか確認する
通知は登記簿上の本店に送られます。事務所を移転したまま登記していない会社は、通知を受け取れないまま期限を過ぎるおそれがあります。法務省は、この場合に本店移転の登記をすればその年度の整理作業の対象外になるとしているため、移転登記そのものが打ち手にもなります。
通知書が来てから動くと、期限まで2か月しかありません。役員変更登記に必要な株主総会議事録や就任承諾書、印鑑証明書の準備は、休眠状態の会社ほど時間がかかります。9月中に登記事項証明書を取り寄せておくだけで、選べる手が増えます。
よくある質問
- Q. 毎期きちんと法人税の申告をしていれば、みなし解散の対象外になりますか?
- A. なりません。判定に使われるのは登記簿上の最後の登記の年月日だけです。法務省は、最後の登記以降に登記事項証明書や代表者届出印の印鑑証明書の交付請求を行っていても関係ないとしています。申告や納税の状況は考慮されないため、事業を現に続けていて決算も組んでいる会社であっても、役員変更登記を12年以上していなければ対象になります。
- Q. 通知書が届かなかった場合でも、みなし解散されてしまいますか?
- A. されます。法務省は、登記所からの通知が何らかの理由で届かない場合であっても、公告から2か月以内に必要な登記申請又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出を行わないときは、みなし解散の登記をする手続が進められるとしています。届かない理由として多いのは商号変更や本店移転の登記をしていないことで、その場合は期限までにその登記をすればその年度の対象外になります。
- Q. 「まだ事業を廃止していない」旨の届出をすれば、もう通知は来ませんか?
- A. 来ます。法務省は、届出をした場合であっても必要な登記(役員変更等)の申請を行わない限り、翌年度も整理作業の対象となるとしています。届出はその年度のみなし解散を止めるだけの効果です。恒久的に対象から外れるには、滞っている変更の登記を実際に申請する必要があります。
- Q. みなし解散されたあと、会社を元に戻せますか?
- A. 戻せる期間が決まっています。みなし解散の登記後であっても3年以内に限り、株式会社は株主総会の特別決議によって会社を継続することができます。一般社団法人・一般財団法人は社員総会の特別決議又は評議員会の特別決議によります。継続の決議をしたときは、その決議から2週間以内に継続の登記の申請をする必要があります。3年を過ぎると継続はできません。
- Q. 登記を放置していた過料は、いくらぐらいかかりますか?
- A. 会社法第976条第1号は100万円以下の過料と定めており、金額は裁判所が決めます。法務省は、「まだ事業を廃止していない」旨の届出や必要な登記申請を行った場合であっても、本来申請すべき時期に登記を怠っていた事実は解消されないと明記しています。過料は会社ではなく登記の申請を怠った代表者等に対する制裁であり、損金にはなりません。
- Q. みなし解散されると、法人税の申告はどうなりますか?
- A. 解散によって事業年度が区切られます。法人税の法令解釈通達「第2節 事業年度」の1-2-4は、「法第14条第1項第1号《事業年度の特例》の『解散の日』」について、解散事由の発生により解散した場合には当該事由発生の日としています。法人税法第14条第1項第1号は、この解散の日までの期間を一つのみなし事業年度とする規定です。あわせて法人の解散は異動事項に関する届出の対象で、異動等後速やかに異動前の納税地の所轄税務署長へ異動届出書を提出することとされています(法人税法第15条、第20条)。
- Q. 特例有限会社も12年で対象になりますか?
- A. なりません。法務省は、休眠会社を会社法第472条の休眠会社としたうえで、特例有限会社は含まれないと明記しています。特例有限会社の取締役には会社法上の任期の定めが適用されないため、任期満了による変更登記が生じない構造になっているためです。ただし商号変更や本店移転など登記事項に変更があった場合の登記義務は同じように課されています。
参考資料・出典
- 法務省「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」
- 法務省「令和7年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について」(令和7年10月10日)
- 国税庁 法人税の法令解釈通達「第2節 事業年度」(1-2-4 解散、継続又は合併の日)
- 国税庁「C1-8 異動事項に関する届出」
- 国税庁「その他法令解釈に関する情報 法人税 1 事業年度」(解散、継続、合併又は分割の日)
- 国税庁タックスアンサー No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除
本記事は令和8年9月9日時点の上記資料に基づいています。令和8年度の整理作業の日程は本記事の作成時点で公告されていません。個別の判断は法務局又は関与税理士・司法書士にご確認ください。
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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