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マイナ保険証2026|8月から期限切れ保険証は使用不可・事業主の対応

マイナ保険証2026年8月から期限切れ保険証が使えないことと事業主の対応を解説する記事のアイキャッチ画像
この記事の要点3点

  • ポイント1:厚生労働省は、有効期限切れの従来の健康保険証を医療機関の窓口で受け入れる対応を令和8年7月31日で終了しました。令和8年8月1日以降は、マイナ保険証または資格確認書の提示が必要です。
  • ポイント2:影響を受けるのは、マイナ保険証を持たず資格確認書も手元にない従業員とその被扶養者です。期限切れの保険証だけを持参して受診するといったん医療費の全額(10割)を自己負担し、後日、保険者へ療養費を請求して払い戻しを受ける流れになります。
  • ポイント3:事業主がすべきことは、従業員への周知と、資格確認書が届いていない人の把握です。特に入社・退社の手続きと被扶養者の扱いで窓口トラブルが起きやすいため、給与計算・社会保険担当者の確認事項を整理しておきましょう。

令和8年8月に入り、従業員の健康保険をめぐる取扱いが実務レベルで変わりました。従来の健康保険証はすでに有効期限が切れていますが、これまでは期限切れの保険証を窓口に持参しても通常どおり保険診療を受けられる対応が続いていました。この経過的な取扱いが令和8年7月31日で終了したのです。

結果として、8月1日以降はマイナ保険証か資格確認書のどちらかがなければ、窓口で医療費の全額を求められる可能性があります。従業員本人だけでなく、扶養している家族の受診にも直結する話です。本記事では、事業主・給与計算担当者が押さえておくべき点を、厚生労働省の一次情報にもとづいて整理します。

制度・改正の概要

健康保険証の廃止からマイナ保険証と資格確認書へ移行した制度概要のイメージ

健康保険証の廃止からここまでの経緯

まず時系列を整理します。厚生労働省は、マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)を基本とする仕組みへの移行について、次のように示しています。

時期内容
令和6年12月2日従来の健康保険証が新たに発行されなくなり、マイナ保険証を基本とする仕組みへ移行
令和7年12月1日従来の健康保険証の有効期限が終了
令和8年7月31日有効期限切れの従来の健康保険証を受け入れる対応が終了
令和8年8月1日以降マイナ保険証または資格確認書の提示が必要

ポイントは、健康保険証が使えなくなったのは今回が初めてではないという点です。有効期限そのものは令和7年12月1日に切れていました。それでも実務が混乱しなかったのは、期限切れの保険証を持参した患者についても資格を確認できれば保険診療として扱う、という経過的な対応が続いていたからです。今回終了したのはこの「猶予」の部分です。

この二段構えの経緯が、今回の混乱を招きやすくしています。「保険証が使えなくなる」という案内は令和6年12月と令和7年12月にも流れており、そのたびに手元の保険証で問題なく受診できたという経験を重ねた方が少なくありません。結果として「今回も大丈夫だろう」と受け止められやすい状況ができています。事業主からの周知では、過去の案内との違い、すなわち今回は窓口での救済措置そのものが終わったという点を明確に伝える必要があります。

8月1日以降に期限切れ保険証で受診するとどうなるか

8月1日以降に有効期限切れの従来の健康保険証だけを持参し、他の方法でもその場で保険資格を確認できない場合は、健康保険の一般的な取扱いとして健康保険証を忘れた場合と同様になります。厚生労働省は「有効期限切れに気付かず従来の健康保険証を持参した場合は利用可能としていましたが、その対応も、2026年7月31日で終了します」と示しており、8月以降はこの救済が働かない場面が生じます。

窓口で全額負担になるケース
保険資格をその場で確認できない場合、医療機関の窓口でいったん医療費の全額(10割)を支払うことになります。その後、加入している保険者(協会けんぽ、健康保険組合など)へ療養費を申請し、保険給付相当額の払い戻しを受ける流れです。最終的な自己負担は原則3割等に戻りますが、窓口では一時的に大きな金額を立て替えることになり、払い戻しには申請手続と一定の期間を要します。

資格確認書とマイナ保険証のどちらかがあればよい

8月1日以降に必要となるのは、次のいずれかです。

  • ☑ マイナ保険証(マイナンバーカードを取得し、健康保険証としての利用登録を済ませたもの)
  • ☑ 資格確認書(健康保険に加入していることを示す書類。これがあれば原則3割負担等で受診できます)

資格確認書は、マイナンバーカードを取得していない人や、カードは持っていても健康保険証としての利用登録を行っていない人に対して、申請しなくても保険者から交付される取扱いが基本です。加えて、高齢の方や障害のある方など、マイナンバーカードでの受診が難しい事情がある場合には、申請により交付を受けることもできます。紛失・破損などで早急に必要な場合も申請により取得できます。

中小企業への実務影響

マイナ保険証への移行が中小企業の社会保険事務に与える実務影響のイメージ

「届いているはず」が通用しない層がいる

保険者は対象者へ資格確認書を送付してきています。制度上は、マイナ保険証を持たない加入者の手元には資格確認書が届いているはずです。しかし実務では、次のような理由で手元にない従業員が一定数残ります。

  • ☑ 送付時期以降に入社した従業員で、資格確認書の交付が行き違っている
  • ☑ 引っ越しをしたが住所変更の届出が遅れ、送付物が届いていない
  • ☑ 届いたが重要な書類と認識せず、保管場所が分からなくなっている
  • ☑ 期限切れの健康保険証を財布に入れたままで、これまで問題なく受診できていた

最後のケースが今回もっとも危険です。令和7年12月に期限が切れて以降も窓口で通っていたため、本人は自分が「使える状態」だと思い込んでいるのです。8月に入って初めて全額負担を求められ、その場で事業主に問い合わせが来る、という流れが想定されます。

入社・退社の手続きで気をつける点

社会保険の資格取得届を提出すると、保険者側でマイナ保険証の利用登録状況が確認され、未登録の従業員には資格確認書が交付される仕組みになっています。ここで実務上の注意点が二つあります。

ひとつはタイムラグです。入社日から資格確認書が本人の手元に届くまでには日数がかかります。その間に受診が必要になった場合、資格を確認できず全額負担になる可能性があります。入社時のオリエンテーションで、資格確認書が届くまでの間に受診する場合は事前に相談するよう伝えておくと、無用な立替を防げます。

もうひとつは退職時の回収です。資格確認書は健康保険の資格を示す書類であり、従来の健康保険証と同様に、資格を喪失した際には返却が必要になります。退職時の貸与品チェックリストに健康保険証しか記載されていない事業所では、資格確認書の回収が漏れます。チェックリストの様式そのものを見直しておくべきタイミングです。給与計算や社会保険の届出をまとめてお任せいただける記帳・経理代行のサービスでは、こうした様式の更新もあわせてご案内しています。

被扶養者の分を忘れやすい

見落としが多いのが扶養家族です。健康保険は被保険者本人だけでなく被扶養者にも資格があり、資格確認書も被扶養者ごとに必要になります。従業員本人がマイナ保険証を利用登録していても、配偶者や子が未登録であれば、その家族には資格確認書が必要です。

特に子どもの受診は頻度が高く、保育園や学校からの急な連絡で医療機関に駆け込む場面もあります。従業員へ周知する際は「あなた自身」ではなく「ご家族全員分」という言い方で伝えるほうが確実です。また、就職・結婚などで扶養から外れた家族の資格確認書についても、返却が必要になる点を案内しておくとよいでしょう。

3つの受診方法の比較

令和8年8月1日以降、医療機関の窓口で何を提示するとどうなるかを整理します。

提示するもの窓口での負担その後の手続き
マイナ保険証原則3割等の自己負担不要
資格確認書原則3割等の自己負担不要
期限切れの従来の健康保険証のみ
(他の方法でも資格確認ができない場合)
いったん全額(10割)を自己負担保険者へ療養費を申請し、保険給付相当額の払い戻しを受ける
なお、マイナ保険証と資格確認書のどちらでも、受けられる保険診療の内容や自己負担割合そのものは変わりません。資格確認書しか持っていないことで不利になるわけではないため、マイナンバーカードの取得を望まない従業員に対して、事業主が取得を強く求める必要はありません。

当事務所の見解・実務上の注意点

窓口で全額自己負担となった場合の療養費請求について確認する実務上の注意点のイメージ

「制度の説明」より「手元の確認」を優先する

この話題は制度の経緯が複雑で、従業員へ説明しようとすると長くなりがちです。しかし実務で必要なのは制度理解ではなく、各人の手元にマイナ保険証か資格確認書があるかという一点の確認です。

朝礼や社内通知で「マイナ保険証への移行が完了しました」と伝えても、行動につながりません。「財布を開いて、マイナンバーカードか、資格確認書と書かれた書類があるか確認してください。ご家族の分もお願いします。どちらも見つからない方は総務まで」という具体的な指示に落とすほうが効果的です。制度の背景説明は、質問が出たときに答えれば足ります。

全額負担が生じたときの実務対応を決めておく

周知を徹底しても、実際に窓口で全額負担が発生するケースはゼロにはなりません。そのときに慌てないよう、対応をあらかじめ決めておくことをおすすめします。

ポイントは、領収書と診療内容の明細を必ず保管させることです。療養費の申請には医療機関が発行する領収書や明細が必要になります。窓口で全額を支払った従業員がこれを捨ててしまうと、払い戻しの手続きが難しくなります。また、療養費として払い戻される金額は保険給付相当額であり、支払った全額がそのまま戻るわけではありません。原則3割等の自己負担分は本人負担として残ります。

あわせて、周知した記録を残しておくことをおすすめします。全額負担が生じた従業員から「会社から聞いていなかった」と指摘される事態を避けるためです。社内通知の日付と内容、配布した文書を保管しておけば、後の説明が容易になります。

なお、療養費として払い戻された部分は自己負担していない金額になるため、年間の医療費を集計して所得税の医療費控除を受ける際には、払い戻し分を差し引いた金額で計算する必要があります。年をまたいで払い戻しを受けた場合の取扱いなど判断に迷う点もありますので、確定申告の際にご相談ください。会社としての社会保険の運用と個人の所得税の両面については、堺市の税務顧問としてまとめてご相談いただけます。

立替金を会社が肩代わりする場合は慎重に

従業員が窓口で高額を立て替えることになった場合、会社が一時的に資金を貸し付けたいという相談を受けることがあります。従業員への配慮としては理解できますが、金銭の貸付は返済方法や給与からの控除の可否といった労務面の論点を伴います。その場の善意で処理せず、社内のルールとして事前に整理しておくほうが安全です。頻度が低い事象のためにルールを作る必要があるかどうかも含めて、判断しておくとよいでしょう。

今すぐやるべきこと

従業員へ周知し資格確認書の有無を確認する今すぐやるべき手順のイメージ

すでに8月に入っており、対応は急ぎで進める必要があります。次の順序で進めてください。

  1. ステップ1:全従業員へ手元確認の依頼を出す
    マイナ保険証(健康保険証としての利用登録済みのマイナンバーカード)または資格確認書が手元にあるかを、本人分と被扶養者分について確認してもらいます。制度の説明ではなく「探して確認する」という行動を依頼するのがポイントです。期限切れの従来の健康保険証は、8月1日以降は資格確認の手段にならないことを明記します。
  2. ステップ2:どちらも見つからない従業員をリスト化する
    申告があった従業員について、被扶養者を含めて誰の分が不足しているかを整理します。マイナンバーカードを持っているが利用登録が済んでいないだけのケースもあるため、状況を分けて把握します。利用登録は本人がマイナポータル等で行えるため、この場合は登録を案内すれば解決します。
  3. ステップ3:加入している保険者へ資格確認書の交付について確認する
    資格確認書が届いていない、紛失したという従業員については、加入先の保険者(協会けんぽ、健康保険組合など)の手続きに沿って交付を受けます。早急に必要な場合は申請により取得できる取扱いがあります。保険者ごとに様式や窓口が異なるため、自社の加入先の案内を確認してください。
  4. ステップ4:入社・退社の手続き様式を更新する
    入社時の案内文に、資格確認書が届くまでの受診について相談するよう促す一文を追加します。退職時の貸与品・返却物チェックリストには、健康保険証に加えて資格確認書の項目を追加します。被扶養者分も返却対象になる点を明記しておきます。
  5. ステップ5:全額負担が生じた場合の社内フローを決める
    窓口で全額を支払った従業員が、領収書と明細を保管し、保険者へ療養費を申請するまでの流れを整理して周知します。誰に報告するか、必要書類は何か、会社が手続きを補助するのかを決めておきます。医療費控除の計算で払い戻し分を差し引く必要がある点も、年末に案内できるよう記録を残します。

よくある質問

Q. 令和8年8月1日から具体的に何が変わったのですか?
A. 有効期限切れの従来の健康保険証を医療機関の窓口で受け入れる対応が、令和8年7月31日で終了しました。従来の健康保険証の有効期限自体は令和7年12月1日に終了していましたが、その後も期限切れの保険証を持参した場合に保険診療として扱う経過的な対応が続いていました。8月1日以降はこの取扱いがなくなり、マイナ保険証または資格確認書の提示が必要です。制度が新しく始まったのではなく、猶予が終わったと理解してください。
Q. 従業員がマイナンバーカードを持っていません。会社として取得させる必要がありますか?
A. 必要ありません。マイナンバーカードを取得していない人や、健康保険証としての利用登録を行っていない人には、申請しなくても保険者から資格確認書が交付される取扱いが基本です。資格確認書があれば、マイナ保険証と同様に原則3割等の自己負担で医療機関を利用できます。受けられる診療内容や自己負担割合に差はありません。したがって事業主が取得を強く求める必要はなく、資格確認書が手元にあるかどうかの確認を優先してください。
Q. 期限切れの保険証で受診してしまったら、支払った全額が戻りますか?
A. 全額は戻りません。窓口でいったん医療費の全額(10割)を支払った後、加入している保険者へ療養費を申請すると、保険給付相当額の払い戻しを受けられます。つまり戻ってくるのは原則7割等に相当する部分で、本来の自己負担である3割等は本人負担として残ります。また払い戻しには申請手続と一定の期間を要します。申請には医療機関が発行する領収書や診療内容の明細が必要になるため、必ず保管しておくよう従業員へ伝えてください。
Q. 扶養している家族の分も資格確認書が必要ですか?
A. 必要です。健康保険は被保険者本人だけでなく被扶養者にも資格があるため、資格確認書も被扶養者ごとに必要になります。従業員本人がマイナ保険証の利用登録を済ませていても、配偶者や子が未登録であれば、その家族には資格確認書が必要です。子どもは受診の頻度が高く、急に医療機関へ行く場面も多いため、周知の際は「ご家族全員分を確認してください」と伝えるのが確実です。扶養から外れた家族の資格確認書は返却が必要になる点も案内しておきましょう。
Q. 従業員が退職するとき、資格確認書は回収すべきですか?
A. 回収が必要です。資格確認書は健康保険の資格を示す書類であり、従来の健康保険証と同様に、資格を喪失した際には返却が必要になります。被扶養者の分も対象です。退職時の貸与品・返却物チェックリストが「健康保険証」の記載のままになっている事業所では回収が漏れやすいため、様式に「資格確認書(本人・被扶養者分)」の項目を追加しておくことをおすすめします。入退社が多い時期の前に見直しておくと安心です。
Q. 入社したばかりで資格確認書がまだ届いていない従業員が受診する場合はどうなりますか?
A. 資格を確認できなければ、窓口で全額負担を求められる可能性があります。資格取得届の提出後、保険者で利用登録の状況が確認され、未登録の場合に資格確認書が交付されますが、本人の手元に届くまでには日数がかかります。マイナンバーカードを持っている従業員であれば、利用登録を済ませることで空白期間を埋められる場合があります。入社時の案内に、資格確認書が届くまでに受診が必要となったときは事前に総務へ相談するよう一文を入れておくと、無用な立替を防げます。

参考資料・出典

本記事は令和8年8月5日時点で公表されている厚生労働省の情報にもとづいています。資格確認書の交付手続きは加入する保険者ごとに異なるため、具体的な手続きは加入先の案内をご確認ください。

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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