堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
年末調整の電子化2026|年調ソフト公開と9月からの6ステップ
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:国税庁は2026年8月7日に令和8年分の年調ソフト(プロトタイプ版)を公開しました。正式版は令和8年10月公開予定です。
- 2ポイント2:電子化しても従業員の事前同意は法令上不要ですが、控除証明書データの準備が要るため早期の周知が欠かせません。
- 3ポイント3:まず自社の給与システムが申告書データの取込みに対応しているかを確認し、9月のうちに事務手順を決めましょう。
CONTENTS目次
年末調整の準備は12月に始めるものだと思われがちですが、電子化に踏み切るのであれば9月がひとつの分岐点になります。国税庁は2026年8月7日、令和8年分の年末調整控除申告書作成用ソフトウェア、いわゆる年調ソフトのプロトタイプ版を公開しました。正式版の公開は令和8年10月の予定です。つまり、検証に使える期間は9月から10月にかけての約2か月しかありません。本記事では、年末調整の電子化がどういう仕組みなのか、会社側で何を準備すればよいのか、そして今年の日程にどう当てはめるのかを、国税庁が公表している内容に沿って堺市の税理士が整理します。
制度・改正の概要
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2026年8月7日に公開されたもの
国税庁のウェブサイト「年末調整手続の電子化に向けた取組について」に、令和8年8月7日付で令和8年分の年調ソフトのプロトタイプ版が掲載されました。Windows版(ZIP形式・24.7MB)とMacintosh版(ZIP形式・11.5MB)の2種類です。国税庁は「プロトタイプは開発途中のものを動作確認用として参考に提供するものとなりますので、仕様については、今後、変更の可能性がありますことご承知の上、ご利用ください」と注記したうえで、「正式版は、令和8年10月に公開予定です」と明記しています。
あわせて、その少し前の令和8年7月31日には、控除申告書データに係るXML定義書(ドラフト版)が公開されています。こちらはソフトウェア開発者向けの情報で、民間の給与システムや労務システムが年末調整申告書データに対応するための土台になるものです。
プロトタイプ版の4つの制約
国税庁は、プロトタイプ版の利用にあたっての留意事項を示しています。いずれも次回の公開で解消見込みとされていますが、検証の計画を立てるうえで押さえておく必要があります。
| 留意事項 | 実務上の意味 |
|---|---|
| インストーラに対するコード署名対応は未実施 | 年調ソフト内の動作に影響はないと明記されていますが、社内のセキュリティポリシー次第では導入の可否を確認する必要があります。 |
| 令和8年度税制改正以外の項目についても単体テスト実施中 | 単体テストレベルの不具合が生じる可能性があるとされています。検証で不具合を見つけても、正式版で解消される前提で扱うのが妥当です。 |
| マイナポータルからの証明書取得は行えない | マイナポータル連携の使い勝手はプロトタイプでは検証できません。連携部分の確認は正式版まで待つ必要があります。 |
| Windows版でセットアップ用プログラムが自動削除されない | 令和6年・令和7年の年調ソフトを入れている端末では、インストール用ツールを削除しないと令和8年分をインストールできません。 |
過去バージョンが入っている端末は要注意
国税庁は、コントロールパネルのプログラム一覧に表示される「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア_インストールツール」を削除するよう案内しています。令和6年のプロトタイプ版のみを入れている場合は、名称が「nta」となっているため、そちらを削除します。この制限は正式版でも同様に発生するとされているため、検証用の端末では先に整理しておくと手戻りがありません。
国税庁は、コントロールパネルのプログラム一覧に表示される「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア_インストールツール」を削除するよう案内しています。令和6年のプロトタイプ版のみを入れている場合は、名称が「nta」となっているため、そちらを削除します。この制限は正式版でも同様に発生するとされているため、検証用の端末では先に整理しておくと手戻りがありません。
そもそも「年末調整の電子化」とは何か
国税庁の説明によれば、従来の年末調整は、従業員が保険会社等から控除証明書等を書面で受領し、その内容を申告書に転記して控除額を計算し、証明書とともに勤務先へ提出、勤務先が控除額を検算して年税額を計算する、という流れでした。電子化された場合は、従業員が控除証明書等を電子データで受領し、年調ソフトに基礎項目を入力したうえでそのデータをインポートすると、控除額が自動計算されて申告書データができあがります。従業員は申告書データと証明書等データを勤務先に提供し、勤務先はそれを給与システム等にインポートして年税額を計算します。
ここで重要なのは、年調ソフトは「従業員が申告書を作るためのソフト」であって、会社が年税額を計算するためのソフトではないという点です。会社側の計算を自動化するには、給与システムが申告書データの取込みに対応している必要があります。この前提を取り違えると、年調ソフトを配ったのに事務が楽にならない、という結果になります。
中小企業への実務影響
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国税庁が挙げる会社側の4つのメリット
国税庁は勤務先のメリットとして次の4点を挙げています。第一に、従業員が年調ソフトで作成した申告書データを利用することで控除額の検算が不要になること。第二に、控除証明書等データを利用した場合、添付書類等の確認に要する事務が削減されること。第三に、従業員がソフトウェアで控除申告書を作成するため記載誤り等が減少し、従業員への問合せ事務も減少することが期待されること。第四に、書面による年末調整の場合の書類保管コストを削減できることです。
従業員側にも、手書きによる記入や控除額の計算を省略できること、書面の証明書を紛失した場合の再発行依頼が不要になることがメリットとして挙げられています。マイナポータル連携を利用すれば、複数の控除証明書等データを一度の処理で取得できるため、利便性がより高まるとされています。
会社側で必要になる3つの準備
国税庁は勤務先における準備として、①電子化の実施方法の検討、②従業員への周知、③給与システム等の改修等の3つを示しています。
①では、従業員が使用するソフトウェアをどれにするか、電子化後の事務手順をどうするかを検討します。ここで国税庁が明記しているのは、申告書データは国税庁の年調ソフトだけでなく、仕様公開を通じ同様の仕組みを取り込んだ民間のソフトウェアでも作成できるという点です。すでに労務系のクラウドサービスを使っている会社は、そちらで完結できる可能性があります。
②の従業員への周知については、法令上は事前に同意を得る必要はないと明記されています。それでも早期の周知が必要とされるのは、従業員側にも保険会社等から控除証明書等データを取得するための手続という事前準備があるからです。控除証明書データの取得方法について照会があった場合は、マイナポータル連携により取得できる旨を周知するよう案内されています。マイナンバーカードの取得が間に合わないなどでマイナポータル連携が使えない従業員には、契約している保険会社等のホームページ等からデータを取得するよう周知することとされています。
同意は不要でも、周知は早いほどよい
マイナンバーカードの発行には一定の期間がかかります。11月に案内を始めると、カードが間に合わない従業員が出て、結局その人だけ書面対応になります。9月から10月のうちに「今年から電子で受け付ける」「カードがあると楽になる」という2点だけでも伝えておくと、12月の混乱がかなり減ります。
マイナンバーカードの発行には一定の期間がかかります。11月に案内を始めると、カードが間に合わない従業員が出て、結局その人だけ書面対応になります。9月から10月のうちに「今年から電子で受け付ける」「カードがあると楽になる」という2点だけでも伝えておくと、12月の混乱がかなり減ります。
令和8年分の年末調整までのスケジュール
公表されている日付を時系列に並べると、準備に使える期間がはっきりします。国税庁の公表分と、一般的な社内実務の時期を分けて整理しました。社内実務の時期は会社によって異なりますので、自社の給与計算の締めに合わせて調整してください。
| 時期 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 令和8年7月31日 | 控除申告書データに係るXML定義書(ドラフト版)を公開 | 国税庁の公表事項 |
| 令和8年8月7日 | 令和8年分の年調ソフト【プロトタイプ】(Windows版・Macintosh版)を公開 | 国税庁の公表事項 |
| 令和8年9月1日〜9月30日 | 年調ソフトのヘルプデスクを月曜から金曜(祝日等を除く)に受付(9月開設予定) | 国税庁の公表事項 |
| 令和8年10月 | 年調ソフトの正式版を公開予定 | 国税庁の公表事項 |
| 令和8年10月1日〜12月28日 | 年調ソフトのヘルプデスクを毎日受付 | 国税庁の公表事項 |
| 9月〜10月 | 給与システムの対応確認、事務手順の決定、従業員への周知 | 社内実務の目安 |
| 11月 | 従業員への申告書データの作成依頼と回収 | 社内実務の目安 |
この表で注目していただきたいのは、正式版の公開が10月であるのに対し、従業員へ作成を依頼するのは11月だという点です。会社側が正式版を検証できる期間は実質1か月程度しかありません。だからこそ、9月のうちにプロトタイプ版で流れをつかんでおく意味があります。
操作方法を相談できるヘルプデスクが9月に開設予定
国税庁は、年末調整手続の電子化および年調ソフトの操作方法等に関する質問を受け付ける「年末調整手続の電子化及び年調ソフトヘルプデスク」を9月に開設予定としています。電話番号と受付時間は開設準備ができ次第、国税庁のページで知らせるとされています。掲載されている受付時間は9時00分から17時00分で、期間は9月1日から9月30日までが月曜から金曜(祝日等を除く)、10月1日から12月28日までが毎日、1月4日から1月30日までが月曜から金曜(祝日等を除く)と案内されています。税務の内容そのものではなくソフトの操作に関する窓口である点に注意してください。
当事務所の見解・実務上の注意点
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電子化の効果は「給与システム側」で決まる
年末調整の電子化について、多くの解説記事は年調ソフトの使い方に紙幅を割いています。しかし当事務所が実際にご支援していて効果を分けると感じるのは、年調ソフトそのものよりも、会社の給与システムが申告書データを取り込めるかどうかです。取り込めない場合、従業員が電子データで提出しても、担当者が画面を見ながら給与システムに手入力することになります。それでは検算が不要になるという最大のメリットが失われ、かえって手間が増えることさえあります。
したがって、検討の順番は「年調ソフトを試す」よりも先に「給与システムの対応状況を確認する」であるべきだと考えています。対応していない場合は、その年は電子化を見送るか、給与システムの入替えを含めて検討するほうが結果的に早道です。クラウド会計や労務システムの導入・見直しについては、クラウド会計・DXの支援もあわせてご覧ください。
プロトタイプ版は「使う」ものではなく「試す」もの
プロトタイプ版は開発途中のものだと国税庁自身が明記しています。単体テストレベルの不具合が生じる可能性があるとされている以上、本番の申告書作成に使うのは避けるべきです。一方で、正式版が10月公開だとすると、11月から始まる従業員への配布までに社内で確認できる期間はごくわずかです。プロトタイプ版を9月のうちに触っておけば、画面の流れや出力されるデータの形式は把握できます。この「先に触っておく」ことこそがプロトタイプ公開の趣旨だと理解しています。
全員一斉の電子化を目指さない
初年度から全従業員を電子化しようとすると、必ずどこかで詰まります。マイナンバーカードを持っていない人、スマートフォンの操作に不安がある人、保険会社が電子データに対応していない契約を持っている人など、事情はさまざまです。年調ソフトには書面を作成する機能もありますので、電子データでの提出と書面での提出が混在する前提で運用設計をしておくのが現実的です。当事務所では、初年度は希望者のみ、翌年から原則電子という段階的な進め方をお勧めしています。
令和8年分は控除の改正も重なる年です
年末調整の電子化を進める年は、同時に控除の内容にも改正が入っていないかを確認してください。国税庁は年調ソフトの留意事項の中で「令和8年度税制改正以外の項目についても、現在、単体テスト実施中」と記載しており、令和8年度税制改正への対応が組み込まれることを前提としています。改正内容の詳細は、国税庁が公表する令和8年分の年末調整関係資料で必ず確認してください。
年末調整の電子化を進める年は、同時に控除の内容にも改正が入っていないかを確認してください。国税庁は年調ソフトの留意事項の中で「令和8年度税制改正以外の項目についても、現在、単体テスト実施中」と記載しており、令和8年度税制改正への対応が組み込まれることを前提としています。改正内容の詳細は、国税庁が公表する令和8年分の年末調整関係資料で必ず確認してください。
今すぐやるべきこと
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9月から10月にかけて進めるべき手順を、順番に整理します。とくにステップ1は、これが未対応だと以降がすべて空振りになるため、最初に確認してください。
- ステップ1:自社の給与システムが対応しているか確認する
従業員から受け取る年末調整申告書データを取り込めるかどうかを、給与システムの提供元に確認します。国税庁も「勤務先の給与システム等が年末調整申告書データの取込みに対応する必要がある」として、開発業者への問合せを案内しています。ここが未対応だと電子化の効果が大きく下がります。 - ステップ2:使用するソフトウェアと事務手順を決める
国税庁の年調ソフトを使うのか、民間のソフトウェアや既存の労務システムを使うのかを決めます。あわせて、申告書データをどの経路で回収するか、書面提出を併用するかといった事務手順も決めておきます。 - ステップ3:プロトタイプ版で動作を検証する
2026年8月7日公開のプロトタイプ版をダウンロードし、想定する使い方で動作を確認します。マイナポータル連携が使えないなどの制約は正式版で解消見込みとされているため、検証対象は画面の流れと出力データの形式に絞ると効率的です。 - ステップ4:従業員へ早期に周知する
使用するソフトウェアと手順、控除証明書データの取得方法を案内します。マイナポータル連携を利用する場合はマイナンバーカードが必要になるため、取得が間に合わない可能性を考えると9月から10月のうちの案内が現実的です。 - ステップ5:正式版の公開に合わせて本番の運用を確定する
正式版は令和8年10月公開予定です。公開後に改めて動作を確認し、従業員向けの手順書を確定します。プロトタイプ版をインストールしている場合は、正式版の導入前にインストール用ツールの削除が必要になる点にも注意します。 - ステップ6:書面提出者の受付ルートも残しておく
全員が電子データで提出できるとは限りません。年調ソフトは書面を作成する機能も備えています。電子と書面が混在する前提で、受付方法と締切を分けて案内しておくと、12月の事務が混乱しません。
- ☑ 給与システムが申告書データの取込みに対応しているか提供元に確認した
- ☑ 使用するソフトウェアと回収方法を決めた
- ☑ プロトタイプ版を検証用端末で動かしてみた
- ☑ 従業員へ電子化の方針とマイナンバーカードの案内を出した
- ☑ 書面提出者向けの受付ルートと締切を決めた
- ☑ 正式版の公開時期(令和8年10月予定)を担当者と共有した
よくある質問
- Q. 年末調整を電子化するのに、従業員の同意は必要ですか?
- A. 国税庁は「年末調整申告書を電子データにより提供を受けるに当たり、法令上は事前に従業員から同意を得る必要はありません」と明記しています。ただし従業員側にも控除証明書データを取得する準備が必要になるため、同意は不要でも早期の周知は必要です。使用するソフトウェアと事務手順を、9月から10月のうちに案内しておきましょう。
- Q. いま公開されているプロトタイプ版をそのまま使ってよいのですか?
- A. プロトタイプは開発途中のものを動作確認用として提供するものと国税庁が明記しており、仕様変更の可能性があります。マイナポータルからの証明書取得ができない、単体テストレベルの不具合が生じる可能性がある、といった制約もあります。本番運用には令和8年10月公開予定の正式版を使い、プロトタイプは事前検証に使うのが実務的です。
- Q. マイナポータル連携を使うと、何が変わるのですか?
- A. 従業員が複数の控除証明書等データを一度の処理で取得できるようになります。連携を使わない場合は、保険会社等のホームページから証明書データを個別に取得する必要があります。マイナンバーカードの取得が間に合わない従業員には、契約先の保険会社等のサイトからデータを取得するよう案内するとよい、と国税庁は説明しています。
- Q. 年調ソフト以外のソフトウェアを使うことはできますか?
- A. できます。国税庁は「従業員が提供する年末調整申告書データは、国税庁から提供する年調ソフトだけでなく、仕様公開を通じ同様の仕組みを取り込んだ民間のソフトウェアでも作成することができます」と説明しています。すでに給与システムや労務システムを導入している会社は、まず自社のシステムが対応しているかを確認してください。
- Q. 電子化すると会社側にはどのようなメリットがありますか?
- A. 国税庁は、控除額の検算が不要になること、控除証明書等データを利用すれば添付書類の確認事務が削減されること、記載誤りが減り従業員への問合せ事務が減少すること、書類保管コストを削減できることの4点を挙げています。ただし年税額の計算まで自動化するには、給与システム側が申告書データの取込みに対応している必要があります。
参考資料・出典
- 国税庁「年末調整手続の電子化に向けた取組について」(令和8年分年調ソフト【プロトタイプ】の公開を含む)
- 国税庁「年末調整手続の電子化の概要・メリット」
- 国税庁「年末調整手続の電子化へ向けた準備」
- 国税庁「年調ソフトに関するFAQ」
本記事は2026年8月23日時点で国税庁が公表している情報に基づいて作成しています。年調ソフトの仕様および公開時期は今後変更される可能性があります。
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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