堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
書面添付制度2026|税務調査の前に意見聴取・9月24日から新様式
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:書面添付制度は、税理士が申告書に「計算事項等記載書面」を添付すると、税務調査の調査通知が納税者に届く前に、税理士へ意見聴取が行われる仕組みです(税理士法第33条の2・第35条)。
- 2ポイント2:影響を受けるのは税理士に申告を依頼しているすべての法人・個人です。意見聴取で疑問が解消すれば調査に至らないこともあり、意見聴取から調査通知までの間の修正申告なら加算税は課されません。
- 3ポイント3:今すぐやるべきことは、直近の申告書に添付書面が付いているかの確認と、前期比で動いた科目・会計処理の変更理由を顧問税理士へ共有することです。令和8年9月24日以降の書面提出は新様式になります。
CONTENTS目次
法人税や所得税の申告書を税理士に依頼している経営者の方から、「うちは税務調査に入られやすいのだろうか」というご相談をよくいただきます。調査の対象を選ぶ基準そのものは公表されていませんが、税理士法には、申告書の内容を税理士が書面で説明しておくことで、調査の通知が届く前に税務署と話し合う機会が生まれる仕組みが用意されています。それが税理士法第33条の2と第35条が定める書面添付制度です。国税庁は「国税庁レポート2026」でも、この制度の一層の普及・定着に努めていることを明らかにしています。本記事では、制度の中身と効果の限界、そして令和8年9月24日から変わる様式まで、中小企業の立場から整理します。
書面添付制度と意見聴取の概要
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書面添付制度は、税理士または税理士法人が申告書を作成した際に、その申告書の作成に関して「計算し、整理し、又は相談に応じた事項」を記載した書面を申告書に添付して提出できるという制度です。この書面は正式には「申告書の作成に関する計算事項等記載書面」といい、国税庁の税理士制度のQ&Aでは「計算事項等記載書面等」と呼ばれています。根拠条文は税理士法第33条の2第1項で、税理士が他人の作成した申告書を審査した場合の書面(審査事項等記載書面)は同条第2項に定められています。
国税庁は「国税庁レポート2026」の中で、添付書面について「その記載内容の充実及び添付割合の向上が図られるよう、税理士会等との協議を積極的に行うとともに、本制度を尊重し、一層の普及・定着に努めています」と述べています。同レポートによれば、令和8(2026)年3月末現在で全国に82,513人の税理士が登録を受け、5,287社の税理士法人が設立されています。制度を使える相手は、この登録を受けた税理士等に限られます。
調査通知の前に意見を述べる機会が与えられる
この制度の中心は、添付書面そのものではなく、その先にある「意見聴取」です。国税庁のQ&A問4-1は、添付書面が付いた申告書を提出した納税者に対し、あらかじめ日時・場所を通知して調査を行おうとする場合には、その通知前に、税務代理を行う税理士に対して記載事項について意見を述べる機会を与えなければならない(税理士法第35条第1項)と説明しています。この仕組みは、平成13年度の税理士法改正により、従来の更正前の意見陳述に加えて拡充されたものです。
ここでいう「通知」は、国税通則法第65条第6項に規定する調査通知を指します。つまり、納税者のもとに税務署から「調査に伺います」という連絡が入るより前の段階で、税理士だけが先に税務署と向き合う場が設けられるということです。国税庁のQ&A問4-1は、この制度を「税務の専門家である税理士に与えられた権利の一つ」と位置づけています。
意見聴取はいつ、どのように行われるか
国税庁が定めた「法人課税部門における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)」(課法4-11ほか、平成21年4月1日。直近改正は令和6年3月26日)は、実務の流れを次のように定めています。調査担当者は、調査通知予定日の1週間から2週間前までに、税務代理権限証書に記載された税理士等に対し意見聴取を行う旨を口頭(電話)で連絡し、意見聴取の日時・方法を取り決めます。意見聴取は調査通知予定日の前日までに終え、原則として税理士等に来署を依頼する方法で行います。税理士が遠隔地にいるなど来署が困難な場合は、電話による聴き取りや文書による意見の提出でも差し支えないとされています。
意見聴取の場では、税理士が一方的に述べて終わりではありません。同指針は、税務署側も「顕著な増減事項・増減理由や会計処理方法に変更があった事項・変更の理由などについて個別・具体的に質疑を行う」として、疑問点の解明に積極的に取り組むこととしています。
中小企業への実務影響
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経営者の立場から見て、この制度がもたらす実務上の影響は3つあります。順に整理します。
結果として調査に至らない場合がある
国税庁のQ&A問4-2は、添付書面の効果として「調査通知前の意見聴取の段階で疑義が解消し、結果として調査の必要性がないと認められた場合には、納税者の事務所等に臨場して行う帳簿書類の調査に至らないこともあり得ます」と述べています。実地の調査となれば、経営者と経理担当者は臨場に立ち会うために日程を空け、過去の帳簿書類をさかのぼって用意する負担も生じます。それが回避される可能性があるという点は、中小企業にとって決して小さくありません。
事務運営指針も、添付書面の記載事項が制度の趣旨にかなったものと認められる場合には、「じ後の調査の要否の判断において積極的に活用し、調査事務の効率的な運営を図る」としています。添付書面は、意見聴取の場面だけでなく、申告書審理や準備調査の段階でも読まれているということです。
意見聴取の段階なら加算税が課されないことがある
実務上とくに大きいのが加算税の取扱いです。国税庁のQ&A問4-6は、意見聴取における質疑等は調査を行うかどうかを判断する前に行うものであり、特定の納税義務者の課税標準等または税額等を認定する目的で行う行為に至らないため、意見聴取における質疑等のみに基因して修正申告書が提出されたとしても、それは「調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたもの」には当たらないとしています。
ただし、条件があります。同問は、平成28年の国税通則法の改正により、予知する前にされた修正申告等であっても調査通知以後に提出した場合には加算税が賦課されることとなったため、「加算税が賦課されない場合は、意見聴取から調査通知までの間に修正申告書を提出したときに限られます」と明記しています。意見聴取で誤りに気づいたら、調査通知が来る前に動く必要があるということです。
調査が省略される制度ではない
誤解しやすい点
国税庁のQ&A問4-3は、書面添付について「調査の省略を前提としているものではありません」と明言しています。「書面添付を付ければ調査が来ない」という説明は正確ではありません。意見聴取で疑問点が解消したときに結果的に調査に至らないことがある、というのが正しい理解です。
国税庁のQ&A問4-3は、書面添付について「調査の省略を前提としているものではありません」と明言しています。「書面添付を付ければ調査が来ない」という説明は正確ではありません。意見聴取で疑問点が解消したときに結果的に調査に至らないことがある、というのが正しい理解です。
また、国税通則法第74条の10(事前通知を要しない場合)等に基づき事前通知が行われない場合には、調査通知前の意見聴取そのものが行われません(Q&A問4-7)。取引先の調査に伴っていわゆる反面調査を受ける場合も、反面調査先の申告書に添付書面が付いていたとしても、その税理士に対する意見聴取は行われません(問4-12)。
制度の適用範囲を整理する
| 場面 | 調査通知前の意見聴取 | 根拠 |
|---|---|---|
| 添付書面あり・事前通知を行う調査 | 行われる(税務代理権限証書を提出している税理士に対して) | 税理士法第35条第1項 |
| 添付書面あり・事前通知を行わない調査 | 行われない | 国税通則法第74条の10等 |
| 取引先の調査に伴う反面調査 | 行われない | Q&A問4-12 |
| 添付書面あり・更正をすべき場合 | 更正前の意見陳述の機会が与えられる | 税理士法第35条第2項 |
なお、意見聴取は税理士に対して行われるものであり、納税者を同席させて行うものではありません(Q&A問4-10)。税務代理権限証書を提出した開業税理士や税理士法人に従事する所属税理士は、その指示の下で意見を述べることができます(問4-9)。日々の記帳や決算の組み立てを外部に委ねている場合は、記帳・経理代行のサポートを担当している事務所と、添付書面に何をどこまで書くのかをあらかじめ擦り合わせておくと安心です。
当事務所の見解・実務上の注意点
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書面添付制度を「調査対策のオプション」として捉えると、本質を見誤ります。当事務所は、この制度を日々の帳簿の質をそのまま外部に説明できる形にする作業だと考えています。理由は、書面に何を書くべきかが具体的に決められているからです。
中身のない書面は添付書面として扱われない
国税庁のQ&A問4-14は、規則の別紙第九号様式の「1 提示を受けた帳簿書類に関する事項」から「5 総合所見」の欄まで、いずれの欄にも全く記載がない書面については「計算事項等記載書面等には該当しないこととなります」としています。事務運営指針も同様に、全く記載がないものは添付書面に該当しないため、補正依頼や意見聴取等を行う必要はないと定めています。形だけ付けても効果はありません。
さらに、記載があっても内容が薄い場合には差が出ます。意見聴取の結果として調査に至らなかったときは、原則として「意見聴取結果についてのお知らせ」という文書で税理士に連絡されますが、事務運営指針は、「3 計算し、整理した主な事項」欄および「5 総合所見」欄に記載がない場合や、記載はあるが明らかに不備がある・内容が具体性に欠ける場合には、口頭(電話)での連絡にとどめ、送付しない理由を併せて説明することとしています。
何を書くのかは経営者にも関係する
Q&A問4-13は、書面に記載すべき内容として、計算し整理した主な事項について「どのような書類や帳票に基づき、どのように確認したのか」、前年(度)と比較して顕著な増減が見受けられる事項について「どのような理由から増減したのか」、会計処理方法に変更等があった事項について「どのような理由から、どのように変更したのか」、相談に応じた事項について「どのような相談があり、それに対してどのような指導又は確認をしたのか」などを中心に正確に記載する必要がある、としています。
売上が前期から大きく動いた理由、役員報酬を改定した経緯、在庫の評価方法を変えた事情は、いずれも経営者しか語れない事実です。これらを期中に共有いただけていない場合、税理士は書面を具体的に書けません。書面添付は、決算直前に依頼して完成するものではなく、月次のやり取りの積み重ねが形になるものだとお考えください。
当事務所からの補足
Q&A問4-15は、書面を添付するかどうか、どのように記載するかは税理士自身が判断することになるとしたうえで、「納税者との信頼関係等を考慮すれば、理解を求めておくことも必要ではないか」と述べています。当事務所でも、添付の可否と記載方針は毎期ご説明したうえで判断しています。堺市の税務顧問として関与させていただく際は、この点を初回の打ち合わせで必ず共有します。
Q&A問4-15は、書面を添付するかどうか、どのように記載するかは税理士自身が判断することになるとしたうえで、「納税者との信頼関係等を考慮すれば、理解を求めておくことも必要ではないか」と述べています。当事務所でも、添付の可否と記載方針は毎期ご説明したうえで判断しています。堺市の税務顧問として関与させていただく際は、この点を初回の打ち合わせで必ず共有します。
令和6年4月から取扱いが緩和されている
見落とされがちですが、運用は近年変わっています。Q&A問4-16は、計算事項等記載書面等は、その添付する申告書の法定申告期限内に限り、単独で提出することができるとしたうえで、「令和6年3月以前は、計算事項等記載書面等のみを単独で提出することはできないと取り扱っていましたが、令和6年4月以降は、上記の考え方に基づき、その取扱いを変更しました」と注記しています。問4-17も同様に、令和6年4月以降は書面に参考資料を添付して提出できると取扱いを変更したことを示しています。
今すぐやるべきこと
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次の決算・申告に向けて、経営者の側で確認できることを順に挙げます。
- ステップ1:自社の申告書に添付書面が付いているかを確認する
直近の申告書の控えを開き、「申告書の作成に関する計算事項等記載書面」が綴じられているかを見てください。付いていなければ、そもそも意見聴取の対象になりません。相続税や贈与税の申告では「申告書の作成に関する計算事項等記載書面(資)」という資産課税用の様式が使われます。 - ステップ2:税務代理権限証書の提出状況をあわせて確認する
意見聴取の相手は、税理士法第30条の税務代理権限証書を提出している税理士です(Q&A問4-8)。添付書面を作成した税理士と税務代理をする税理士が異なる場合、意見聴取を受けるのは現に税務代理権限証書を提出している税理士になります。 - ステップ3:期中に共有すべき事項を洗い出す
前期比で大きく動いた科目、会計処理を変えた項目、判断に迷って相談した論点をリスト化し、決算前に顧問税理士へ渡します。書面の具体性はここで決まります。増減の理由は「売上が増えたから」ではなく、「主要取引先からの受注が前期より増えたため」のように、原因まで言葉にしておくと書面に落としやすくなります。 - ステップ4:令和8年9月24日以降の書面提出は新様式を使う
国税庁の手続案内「H2-3 計算事項等を記載した書面の添付」は、令和8年9月24日以降に書面で提出される場合は新しい様式を使用するよう案内しています。提出方法はe-Taxで申告書に添付する方法が案内されており、書面により申告書に添付して提出することもできます。 - ステップ5:添付の可否を顧問税理士と合意しておく
添付するかどうかは税理士の判断ですが、記載内容は自社の実態そのものです。次の申告でどうするかを、決算の3か月前までに話し合っておくことをお勧めします。決算期末を過ぎてから急に依頼しても、期中の確認作業が記録として残っていなければ、具体的な記載はできません。
よくある質問
- Q. 書面添付を付ければ税務調査は来なくなりますか?
- A. いいえ。国税庁のQ&A問4-3は「調査の省略を前提としているものではありません」と明記しています。意見聴取で疑問点が解消し、調査が必要ないと認められたときに結果的に調査に至らないことはあり得る、という位置づけです。また、国税通則法第74条の10等に基づき事前通知を行わない調査では、意見聴取自体が行われません。「調査を避けるための書類」ではなく、申告内容の説明責任を先に果たすための書類だと捉えてください。
- Q. 意見聴取に社長も同席できますか?
- A. できません。Q&A問4-10は、調査通知前の意見聴取は税理士に対して行われるものであり、納税者を同席させて行うものではないとしています。ただし、税務代理権限証書を提出した開業税理士や税理士法人に従事する所属税理士は、その開業税理士等の指示の下で意見を述べることができます(問4-9)。経営者に確認が必要な事項が出た場合は、税理士がその場で回答を保留し、後日あらためて説明する運用になります。
- Q. 意見聴取のあとに修正申告をすると加算税はかかりますか?
- A. 意見聴取から調査通知までの間に修正申告書を提出した場合に限り、加算税が賦課されません(Q&A問4-6)。意見聴取における質疑等のみに基因する修正申告は、更正があるべきことを予知してされたものに当たらないためです。平成28年の国税通則法の改正により、調査通知以後に提出した修正申告書には加算税が賦課されることとなったため、タイミングの管理が重要になります。
- Q. 意見聴取の結果は税理士に知らせてもらえますか?
- A. 調査の必要がないと認められた場合には「現時点では調査に移行しない」旨が、原則として「意見聴取結果についてのお知らせ」という文書で税理士に連絡されます(Q&A問4-11)。調査に移行する場合は、納税者に対する調査通知を行う前に、税理士に対し意見聴取結果と「調査に移行する」旨が口頭(電話)で連絡されます。なお、いったん移行しない旨の連絡があっても、その後に新たな疑義が生じたときは調査が行われることがあります。
- Q. 書面を出した後に誤りに気づいたらどうなりますか?
- A. Q&A問4-18は、記載した事項の誤りに気づいた場合には、その内容に応じて先に提出した書面を取り下げる、または内容を修正することはできると考えられるとしています。申告書自体に誤りがあった場合は修正申告書を提出することになりますが、その際に、誤りの内容等について改めて計算・整理した事項を記載した書面を添付することも必要ではないかと考えられる、とされています。書面は一度出したら終わりではなく、申告内容の変化に合わせて更新するものだということです。
- Q. 申告書を出すときに添付書面を付け忘れたら、あとから提出できますか?
- A. できます。Q&A問4-16は、計算事項等記載書面等は、その添付する申告書の法定申告期限内に限り、単独で提出することができるとしています。令和6年3月以前は単独提出は不可という取扱いでしたが、令和6年4月以降に変更されました。法定申告期限を過ぎてからの単独提出はできない点にご注意ください。
参考資料・出典
- 国税庁「税理士制度のQ&A 4 書面添付・意見聴取制度」
- 国税庁「税理士制度のQ&A」
- 国税庁「法人課税部門における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)」
- 国税庁「資産税事務における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)」
- 国税庁「H2-3 計算事項等を記載した書面の添付」
- 国税庁「国税庁レポート2026」(PDF)
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
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