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スマートレジ導入の事前着手制度2026|9月15日以降の発注も補助対象

スマートレジ導入の事前着手制度を表すアイキャッチ画像
SUMMARYこの記事の要点3点
  • 1ポイント1:デジタル化・AI導入補助金の事務局は令和8年9月16日、スマートレジ導入の事前着手制度を措置すると公表しました。公表文のいう「9月15日以降」、つまり令和8年9月15日以降の導入・改修を事後に申請できます。
  • 2ポイント2:補助金は交付決定前に契約・発注すると対象外になるのが大原則です。事前着手制度はその例外にあたるため、対象になる事業者と時期の線引きが重要になります。
  • 3ポイント3:申請受付は2027年1月頃の予定で、公募要領は後日公表されます。今は見積書・契約書・支払記録をそろえて待つのが正解です。

令和8年9月16日(公表ページ上の表示は2026年09月16日)、デジタル化・AI導入補助金の事務局は「変化の時代に対応できるスマートレジの導入(事前着手制度)を行います」という重要なお知らせを公表しました。補助金の世界では「交付決定より前に契約・発注してしまうと補助対象外」という大原則があり、これを知らずに先に発注して補助金を受けられなくなる例が毎年発生しています。今回はその原則の例外が正面から用意されたことになります。

背景にあるのは、令和9年4月からの飲食料品に係る消費税率の引下げです。レジやシステムの改修が間に合わない事業者が出ることを見越して、先に着手してよいという扱いが設けられました。本記事では、公表内容そのものと、現在受け付けている補助の中身、そして今の時点で何をしておくべきかを整理します。

事前着手制度の概要

事前着手制度の概要を示すタブレット型レジ端末のイラスト

公表されたのは3行に凝縮された重要な内容です

事務局の公表文は短いものですが、事業者にとって意味のある要素が4つ含まれています。公表文は、令和9年4月より消費税率の引下げを行う方針が、大綱の閣議決定により示されたとしたうえで、「デジタル化・AI導入補助金」において、従来型のレジからスマートレジの導入やPOSレジ等の改修により、新しい税率に対応できるよう支援を行うとしています。

そのうえで、経営の現場においてスマートレジの導入等が間に合うよう、事業者が「9月15日以降」、事前に補助対象となるスマートレジの導入やPOSレジの改修等を行い、事後に補助金を申請することができる「事前着手制度」を措置するとされています。この公表文は令和8年9月16日更新のものですので、ここでいう9月15日は令和8年9月15日を指します。なお、ここでいう大綱は「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」です。

項目公表されている内容
対象となる取組従来型のレジからスマートレジの導入、POSレジ等の改修
着手してよい時期9月15日以降(令和8年9月15日以降)
申請の方法先に着手し、事後に補助金を申請する
申請受付の時期2027年1月頃を予定
詳細な要件後日、事務局から公募要領が公開される

なぜ「例外」であることが重要なのか

現在公表されている「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領 インボイス枠(インボイス対応類型)」では、補助事業の実施について、ITツールの契約・発注は交付決定後に行うこととされ、「交付決定前にITツールを契約、発注した場合は補助対象とならない」と明記されています。留意事項にも「交付決定前に契約、発注、納品、支払い等を行った場合は、補助金を受けることができない」と書かれており、補助対象外となる経費として「交付決定前に購入したITツール」が挙げられています。

つまり、通常であれば、申請して交付決定の通知を受けるまで一切発注できません。交付申請から交付決定までには一定の期間がかかりますから、税率変更の期限が決まっている今回のようなケースでは、待っているうちに間に合わなくなります。事前着手制度は、この待ち時間を事業者側が負担しなくてよいようにするための措置だと理解してください。

もうひとつ押さえておきたいのは、レジの改修や入替えには物理的な時間がかかるという点です。機種の選定、見積り、ソフトウェアの設定、商品マスタの登録、従業員の操作研修と段階を踏むため、発注してから運用開始まで数か月を見ておく必要があります。令和9年4月1日という期日が動かない以上、着手を後ろ倒しにできる余地は多くありません。事前着手制度が用意されたのは、この物理的な所要期間を行政の側も織り込んだからだと考えられます。

公募要領はまだ公表されていません
事務局は「後日、事務局より公募要領を公開しますので、詳細はそちらをご覧ください」としています。対象となる事業者の範囲、対象経費、補助率、必要な証憑などの詳細要件は、その公募要領で確定します。本記事の内容は令和8年9月16日時点の公表内容に基づくものであり、発注を決める前に必ず最新の公募要領をご確認ください。

中小企業への実務影響と現行の補助内容

スマートレジ導入の補助内容と費用の比較を表す天秤のイラスト

スマートレジとは何を指すのか

事務局の説明によれば、スマートレジ(システム)とは、タブレットやスマートフォン等の汎用機器をレジ端末として利用する「モバイルPOSレジ」等を指します。従来のガチャレジ・メカレジと比較して、売上・在庫・顧客情報等をまとめて管理できるため、業務の効率化や生産性の向上が期待されるとされています。税率の変更という観点では、税率がソフトウェアの設定で切り替わるかどうかが、機械式のレジとの決定的な違いになります。

事務局は、スマートレジの効果として、商品別・時間帯別に売上データを自動分析できること、売上・会計データが自動集計されるためレジ締め作業の時間を削減できること、タッチパネル操作で入力ミスを防止できることを挙げています。税率対応を機に、日々の締め作業と在庫管理まで一度に見直せるかどうかが、投資の回収期間を左右します。

現在受け付けているインボイス枠の補助内容

事前着手制度の公募要領を待つ間も、現行のデジタル化・AI導入補助金インボイス枠(インボイス対応類型)は動いています。公募要領に記載された補助額と補助率は次のとおりです。

区分補助額機能要件補助率
ITツールのうち50万円までの部分(下限なし)〜350万円会計・受発注・決済のうち1機能以上3/4以内(小規模事業者は4/5以内)
ITツールのうち50万円超350万円までの部分同上の枠内会計・受発注・決済のうち2機能以上2/3以内
PC・タブレット等〜10万円左記ITツールの使用に資するもの1/2以内
レジ・券売機〜20万円左記ITツールの使用に資するもの1/2以内

補助対象経費は、ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)、ハードウェア関連費、導入関連費です。クラウド利用料が最大2年分まで対象になる点は、月額課金型のレジサービスを選ぶ事業者にとって効きます。一方、補助対象外となる経費として、リース・レンタル契約のITツール、中古品、交付決定前に購入したITツール、補助金申請や報告に係る申請代行費などが挙げられています。レジをリース契約で導入する計画の場合は、この時点で補助の対象から外れる点に注意が必要です。

ハードウェアの上限は小さい
レジ・券売機の補助額は20万円まで、PC・タブレット等は10万円までで、いずれも補助率は1/2以内です。端末を何台も入れ替える計画だと、ハードウェア部分は早々に上限に達します。補助の主戦場はあくまでソフトウェア側だと考えて計画を立ててください。

加点措置と申請締切

公募要領では、加点項目として「導入するITツールとして『スマートレジ』を選定していること」が第3回公募回より実施されています。POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機のカテゴリーを導入する場合は、ソフトウェアのカテゴリーとレジのカテゴリーの双方が「スマートレジ」として登録されている場合に加点の対象となり、レジのカテゴリーを導入しない場合はソフトウェアのカテゴリーが「スマートレジ」として登録されていれば加点の対象になります。事務局サイトでは、スマートレジシステムの導入に係る申請は3次締切分から優先採択を行っているとも案内されています。

インボイス枠(インボイス対応類型)の申請締切日は、第5次が9月29日(火)17時、第6次が10月30日(金)17時、第7次が12月1日(火)17時と公表されています。補助事業の実施および実績報告の期間は「交付決定日~6ヶ月間程度」とされていますので、この期間内に導入まで終えられるかを先に確認してください。

クラウド会計や受発注の仕組みを含めて見直したい場合は、クラウド会計・DX支援のサービスでツール選定から運用定着までをお手伝いしています。

当事務所の見解・実務上の注意点

補助金申請の実務上の注意点を示す灯台のイラスト

「事前着手できる」と「補助金が出る」は別物です

今回の公表でもっとも誤解されやすいのは、9月15日以降に発注すれば自動的に補助金が出ると読んでしまうことです。公表されているのは、事前に着手し、事後に申請できるという手続の順序だけです。対象となる事業者の範囲、対象経費、補助率、上限額、必要書類は、後日公開される公募要領で確定します。要件を満たさなければ、先に支払ったお金はそのまま自己負担になります。

とくに気をつけたいのが、どのITツールを選ぶかです。通常の申請では、あらかじめ事務局に登録されたITツールとIT導入支援事業者を通じて手続きを行う仕組みになっています。事前着手制度でも同種の制約が置かれる可能性は十分にあります。導入先を決める際は、少なくともその事業者と製品が現行の補助金に登録されているかを確認しておくのが安全です。

証憑は「日付」で効いてきます

事後申請である以上、いつ契約し、いつ納品を受け、いつ支払ったのかを後から証明できるかが勝負になります。見積書、注文書または契約書、納品書、請求書、そして振込の記録を、日付が読み取れる形でそろえて保管してください。現行の公募要領でも、支払いは原則として銀行振込またはクレジットカード1回払いのみとされ、支払元口座は必ず補助事業者の口座であることが必須とされています。代表者個人の口座から立て替えると、それだけで要件を外す可能性があります。

会計処理も同時に決めておく
補助金は入金時ではなく、交付決定など受給が確定した時点で収益に計上するのが原則的な考え方です。事前着手では支出が先、入金が後になるため、決算期をまたぐケースが出てきます。決算日をはさむ場合は、資産計上の時期と収益計上の時期を早めに整理しておいてください。

圧縮記帳が使えるかは「固定資産かどうか」で分かれます

法人税法第42条の圧縮記帳の適用対象となる国庫補助金等とは、固定資産の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金等で、対象法人に対して直接交付されるものをいいます。本件は事務局を通じた交付ですが、国税庁の質疑応答事例では、間接交付される補助金であっても、補助金交付団体が国に代わって交付事務を行っているに過ぎず、実質的に国から直接交付を受けたものと認められる場合には国庫補助金等に該当するものと考えられる、とされています。

もっとも、圧縮記帳はあくまで固定資産の取得又は改良に充てる補助金についての制度です。レジ端末やソフトウェアの購入費は資産計上の対象になり得ますが、クラウド利用料や導入関連費は性質上その多くが費用です。どの経費にいくらの補助が対応するのかを区分しておかないと、圧縮記帳の可否を判定できません。補助対象経費の内訳は、申請時の資料をそのまま経理でも使える形で残しておくことをおすすめします。

今すぐやるべきこと

スマートレジ導入に向けて今すぐやるべき手順を表す橋のイラスト

公募要領が出るまで何もできないわけではありません。次の順番で準備を進めておけば、公募要領が出た日に動き出せます。

  1. ステップ1:今のレジが新しい税率に対応できるか確認する
    使用中のレジについて、税率の追加や変更が設定画面でできるのか、メーカーの改修が必要なのか、そもそも改修対象外の機種なのかを販売店に確認します。機械式のレジや保守が終了した機種は、改修ではなく入替えが前提になります。この確認結果が、以降のすべての判断の土台になります。
  2. ステップ2:入替えか改修かを費用で比べる
    改修費用と、スマートレジへ入れ替える場合の初期費用および月額費用を、それぞれ3年分の総額で並べます。補助金は初期費用とクラウド利用料最大2年分に効きますので、補助後の手出し額で比較すると判断しやすくなります。
  3. ステップ3:導入先が補助金に登録されているか確かめる
    候補となる製品と販売店について、デジタル化・AI導入補助金のITツール検索でIT導入支援事業者およびITツールとして登録されているかを確認します。あわせて、その製品が「スマートレジ」として登録されているかも見ておきます。
  4. ステップ4:発注するなら証憑を最初からそろえる
    事前着手制度を前提に9月15日(令和8年)以降に発注する場合は、見積書、注文書または契約書、納品書、請求書、振込明細を日付が分かる形で保管します。支払いは補助事業者名義の口座からの銀行振込またはクレジットカード1回払いとし、代表者個人の立替えは避けてください。
  5. ステップ5:公募要領の公表を待って要件を突き合わせる
    公募要領が公表されたら、対象事業者、対象経費、補助率、上限額、必要書類を自社の発注内容と1項目ずつ突き合わせます。要件を満たさない部分が見つかった場合に、追加の発注や契約の巻き直しで救えるかを早い段階で判断できるよう、発注は段階的に分けておくのも一案です。
会計ソフトとあわせて考えると効率的です
レジを入れ替えると、売上データの取り込み方と税区分の設定も変わります。クラウド会計に対応した税理士のサポートでは、レジと会計ソフトの連携設定まで含めてご相談を承っています。

よくある質問

スマートレジの事前着手制度について、事業者の方から寄せられることの多い質問をまとめました。

Q. 事前着手制度では、いつからの発注が補助の対象になりますか?
A. 事務局の公表では、事業者が「9月15日以降」(令和8年9月15日以降)、事前に補助対象となるスマートレジの導入やPOSレジの改修等を行い、事後に補助金を申請することができるとされています。ただし対象となる事業者の範囲や対象経費などの詳細は、後日公開される公募要領で確定します。発注を確定させる前に、必ず最新の公募要領をご確認ください。
Q. 申請はいつから受け付けられますか?
A. 事務局は申請受付を2027年1月頃に予定していると案内しています。公募要領はそれより前に公開される見込みですが、公開時期は明示されていません。事務局サイトの新着情報を定期的に確認し、公表と同時に自社の発注内容を突き合わせられるよう、見積書や契約書を手元にそろえておくことをおすすめします。
Q. リース契約でレジを導入しても補助の対象になりますか?
A. 現行のインボイス枠(インボイス対応類型)の公募要領では、補助対象外となる経費としてリース・レンタル契約のITツールが挙げられています。同様に中古品も補助対象外です。事前着手制度の詳細要件は後日公開される公募要領で確定しますが、導入方法を決める段階でリースか購入かによって補助の可否が変わり得る点は、あらかじめ念頭に置いてください。
Q. そもそも補助金は交付決定前に発注してはいけないのですか?
A. デジタル化・AI導入補助金2026インボイス枠(インボイス対応類型)の公募要領では、ITツールの契約・発注は交付決定後に行うこととされ、交付決定前に契約・発注した場合は補助対象とならないと明記されています。留意事項でも、交付決定前に契約、発注、納品、支払い等を行った場合は補助金を受けることができないとされています。事前着手制度はこの原則の例外として措置されるものです。
Q. 現在のインボイス枠でレジを入れ替える場合、いくらまで補助されますか?
A. 公募要領によると、ITツールは下限なしから350万円まで、PC・タブレット等は10万円まで、レジ・券売機は20万円までが補助額の範囲です。補助率はITツールの50万円までの部分が3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超350万円までの部分が2/3以内、ハードウェアが1/2以内とされています。
Q. 受け取った補助金について圧縮記帳は使えますか?
A. 法人税法第42条の圧縮記帳の対象となる国庫補助金等は、固定資産の取得又は改良に充てるための補助金等です。国税庁の質疑応答事例では、間接交付される補助金であっても実質的に国から直接交付を受けたものと認められる場合には国庫補助金等に該当するものと考えられるとされています。ただし対象は固定資産に充てる部分に限られるため、経費の区分を明確にしたうえで個別に判断してください。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




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