堺市で税理士に依頼するメリットとは?選び方のポイントと費用相場を解説
ストレスチェック義務化2026|令和10年4月から50人未満も対象
SUMMARYこの記事の要点3点
- 1ポイント1:厚生労働省は、令和10年4月1日から労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化されると案内しています。根拠は2025年5月に公布された改正労働安全衛生法で、これまで50人未満は当分の間の努力義務でした。
- 2ポイント2:令和8年8月7日公表の令和7年労働安全衛生調査によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は労働者数10〜29人で54.6パーセントにとどまります。準備なしで施行日を迎えると、実施者の確保が間に合いません。
- 3ポイント3:同調査では、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業または退職した労働者がいた事業所の割合が13.5パーセントに上昇しました。義務化を待たずに着手する実務上の理由があります。
CONTENTS目次
「ストレスチェックは従業員50人以上の会社の話」という理解は、あと1年半で通用しなくなります。厚生労働省は、令和10年4月1日から労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されると案内しています。施行までまだ時間があるように見えますが、小規模な職場では実施者の確保や回答経路の設計に手間がかかり、直前の対応では間に合いません。本記事では堺市の道濟会計事務所が、改正の根拠と最新の統計、そして小規模事業場が今から進めるべき準備を、費用の扱いも含めて整理します。
制度・改正の概要
![]()
ストレスチェックは、労働安全衛生法に基づく制度です。厚生労働省の「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」のページには、「ストレスチェックは、2015年から、労働安全衛生法により事業者に実施が義務付けられています(労働者数50人未満の事業場は、当分の間努力義務とされていました。)」と記載されています。
50人未満の事業場も義務の対象になる
同ページは続けて、「今般、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、労働者数50人未満の事業場にも、ストレスチェックの実施が義務化されました」と明記し、あわせて「令和10年4月1日から、労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化されます」と施行日を示しています。
改正の元になった法律案の内容は、厚生労働省が公表した「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要」で確認できます。同概要の「2.職場のメンタルヘルス対策の推進【労働安全衛生法】」には、次のように記載されています。
法律案の概要における記載(原文)
「ストレスチェックについて、現在当分の間努力義務となっている労働者数50人未満の事業場についても実施を義務とする。その際、50人未満の事業場の負担等に配慮し、施行までの十分な準備期間を確保する。」
「ストレスチェックについて、現在当分の間努力義務となっている労働者数50人未満の事業場についても実施を義務とする。その際、50人未満の事業場の負担等に配慮し、施行までの十分な準備期間を確保する。」
同概要の「施行期日」欄では、改正法の施行期日は原則として令和8年4月1日とされる一方、このメンタルヘルス対策の部分は「公布後3年以内に政令で定める日」とされていました。その政令で定める日が、厚生労働省のページで案内されている令和10年4月1日にあたります。準備期間を長く確保するという法律案の趣旨が、そのまま施行日に表れています。
ストレスチェックとは何をするものか
厚生労働省の令和7年労働安全衛生調査の用語の説明では、ストレスチェックとは「労働者のストレスについて、調査票を用いて現在の状況を把握し、本人に気づきを与えるために実施すること」と定義されています。人事評価のための検査ではなく、労働者本人の気づきを起点に、必要に応じて職場環境の改善へつなげる仕組みです。
関連して、厚生労働省の同ページには2026年6月30日付で「集団分析の実施方法について労働安全衛生規則の改正を行いました」とのお知らせが掲載され、改正に当たっての通達とリーフレットが公開されています。集団分析は、部や課などの単位で結果を集計して職場環境の改善に活用する手法です。小規模事業場では対象人数が少なくなるため、実施方法の確認が欠かせません。
準備を支援する資料も整っています。厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」には、2026年2月25日に「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表し、2026年3月25日に概要版と周知リーフレットを掲載したことが記載されています。同ページは、労働者数50人未満の事業場における導入や相談窓口をまとめたものとして、実施マニュアルやリーフレットのほか、電話相談窓口、研修・セミナー、個別訪問による支援といった情報を案内しています。施行日を待たずに使える資料がすでに公開されている、という点を押さえておいてください。
中小企業への実務影響
![]()
義務化の影響を測るには、いま小規模事業場が実際にどこまで対応できているかを見る必要があります。厚生労働省が令和8年8月7日に公表した「令和7年労働安全衛生調査(実態調査)」が、その最新データです。同調査は常用労働者を10人以上雇用する民営事業所から無作為に抽出した約14,000事業所と、そこで働く労働者約18,000人を対象とし、有効回答を得た8,054事業所および8,393人について集計されています。
小規模事業場の取組状況
まず、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合です。
| 事業所規模 | メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合 | 令和6年調査 |
|---|---|---|
| 全体 | 63.0パーセント | 63.2パーセント |
| 労働者数50人以上 | 93.7パーセント | 94.3パーセント |
| 労働者数30〜49人 | 72.0パーセント | 69.1パーセント |
| 労働者数10〜29人 | 54.6パーセント | 55.3パーセント |
50人以上の事業場は93.7パーセントが対応済みである一方、10〜29人では54.6パーセントで、前年調査から0.7ポイント下がっています。義務化の対象になる規模ほど、着手が遅れているという構図です。
次に、ストレスチェックの実施状況です。ここは分母の読み方に注意が必要です。同調査の数字は「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所」を分母とした割合です。
| 事業所規模 | ストレスチェックを実施している事業所の割合(メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所を分母とする) | 令和6年調査 |
|---|---|---|
| 全体 | 64.0パーセント | 65.3パーセント |
| 労働者数50人以上 | 89.8パーセント | 89.8パーセント |
| 労働者数30〜49人 | 58.4パーセント | 57.8パーセント |
| 労働者数10〜29人 | 55.9パーセント | 58.1パーセント |
数字を読み間違えないための注意
上の表は「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所」のうちの割合です。したがって10〜29人の事業所全体に占めるストレスチェック実施済みの割合は、この55.9パーセントよりも低くなります。「半数以上が実施済み」と読むと、準備の必要性を過小評価することになります。
上の表は「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所」のうちの割合です。したがって10〜29人の事業所全体に占めるストレスチェック実施済みの割合は、この55.9パーセントよりも低くなります。「半数以上が実施済み」と読むと、準備の必要性を過小評価することになります。
メンタルヘルス不調による休業・退職は増えている
同調査は、実際に生じている影響も示しています。過去1年間(令和6(2024)年11月1日から令和7(2025)年10月31日までの期間)にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所の割合は13.5パーセントで、令和6年調査の12.8パーセントから上昇しました。内訳は、連続1か月以上休業した労働者がいた事業所が10.8パーセント(令和6年調査10.2パーセント)、退職した労働者がいた事業所が6.5パーセント(同6.2パーセント)です。
事業所規模別にみると、この割合は労働者数1,000人以上で92.9パーセント、100〜299人で54.6パーセント、50〜99人で26.8パーセント、30〜49人で18.3パーセント、10〜29人で6.8パーセントです。規模が小さいほど発生頻度は低くなりますが、10〜29人でも15事業所に1つの割合で生じている計算になります。従業員20人の会社で1名が1か月以上休業すれば、業務への影響は大企業の比ではありません。
労働者側のストレスの内容も変化している
個人調査では、現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある労働者の割合は67.5パーセント(令和6年調査68.3パーセント)でした。その内容(主なもの3つ以内)は、「仕事の量」が39.5パーセント(同43.2パーセント)、「仕事の失敗、責任の発生等」が39.5パーセント(同36.2パーセント)、次いで「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」が32.9パーセントで、令和6年調査の26.1パーセントから6.8ポイント上昇しています。
対人関係を挙げる労働者の増加は、ハラスメント対策と地続きの問題です。ストレスチェックを単独の手続として捉えるのではなく、既存のハラスメント相談窓口や衛生管理の体制と一体で設計したほうが、実務負担は小さくなります。
当事務所の見解・実務上の注意点
![]()
施行日まで1年半あることを踏まえ、当事務所が顧問先にお伝えしている考え方は次の3点です。
1. 「50人」は会社単位ではなく事業場単位で数える
労働安全衛生法の各種義務は、原則として事業場ごとに判断します。厚生労働省の用語の説明でも、産業医の選任義務は「事業所の労働者数が50人以上の場合」、衛生委員会は「労働者数50人以上の事業所」と、事業場(事業所)を単位として説明されています。
本社と支店、店舗、工場が分かれている会社では、合計すると50人を超えていても、各事業場が50人未満というケースが少なくありません。これまで「うちは50人未満だから努力義務」と整理してきた事業場が、令和10年4月1日以後はすべて義務の対象になります。まず自社の事業場の数と、それぞれの労働者数を書き出すことから始めてください。
2. 外部委託を前提に、早めに枠を確保する
令和7年調査で10〜29人の事業所のメンタルヘルス対策実施率が54.6パーセントにとどまっている背景には、社内に産業医や保健師がいないという構造的な事情があります。この規模で自前の実施体制を組むのは現実的ではなく、外部機関への委託が基本になります。
ここで見落とされやすいのが需給の問題です。義務化の対象は50人未満の事業場全体に及びます。施行が近づいてから委託先を探すと、希望する時期に実施枠が取れない可能性があります。厚生労働省は産業保健総合支援センターによる相談窓口や個別訪問による支援、研修・セミナーも案内していますので、まずは無料で利用できる支援から情報を集め、委託先の候補を早い段階で持っておくことをお勧めします。
3. 費用は「福利厚生」ではなく「法令対応コスト」として予算化する
税務の観点からは、外部機関へのストレスチェック委託費用は、法令に基づく健康管理のための支出として損金または必要経費に算入するのが一般的な取扱いです。全従業員を対象とし、本人に金銭が渡らない形で会社が直接負担するのであれば、給与課税の問題も通常は生じません。
むしろ実務で重要なのは、予算計上のタイミングです。令和10年4月1日以後に開始する事業年度から毎年発生する固定的なコストになりますので、任意の福利厚生費ではなく法令対応の固定費として中期の資金計画に織り込んでおくべきです。人数が増えて50人を超える事業場が出れば、産業医の選任や衛生委員会の設置といった別の義務も加わります。堺市の税務顧問として、こうした法令対応コストを含む利益計画のご相談も承っています。
先に着手する実務メリット
義務化はコストですが、メンタルヘルス不調による連続1か月以上の休業や退職が生じた事業所が13.5パーセントに上昇している事実を踏まえると、早期に不調の兆しをつかむ仕組みは、採用と教育のコストを守る投資でもあります。施行日に合わせるのではなく、試行として一度実施し、運用の癖をつかんでおくほうが安全です。
義務化はコストですが、メンタルヘルス不調による連続1か月以上の休業や退職が生じた事業所が13.5パーセントに上昇している事実を踏まえると、早期に不調の兆しをつかむ仕組みは、採用と教育のコストを守る投資でもあります。施行日に合わせるのではなく、試行として一度実施し、運用の癖をつかんでおくほうが安全です。
今すぐやるべきこと
![]()
令和10年4月1日の施行に向けて、次の順序で進めてください。
- ステップ1:事業場の単位と人数を確定する
本社・支店・店舗・工場など、事業場ごとに常用労働者数を書き出します。労働者数50人以上の事業場があれば、そこは既に義務の対象です。50人未満の事業場は令和10年4月1日以後に義務の対象となります。会社全体の人数ではなく事業場単位で数えることが出発点です。 - ステップ2:厚生労働省の小規模事業場向けマニュアルを入手する
厚生労働省は「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表し、2026年3月には概要版と周知リーフレットも掲載しています。まず概要版で全体の流れをつかみ、自社で決めるべき事項を洗い出します。 - ステップ3:実施者と回答経路を決める
社内に産業医や保健師がいなければ外部委託を前提に検討します。小規模な職場では回答者が推測されやすいため、回答が社内を経由せず外部機関に直接届く経路を選ぶことが、制度を機能させる要点になります。委託先の候補は複数比較し、実施時期の枠を早めに押さえます。 - ステップ4:集団分析の扱いを確認する
厚生労働省は2026年6月30日付で、集団分析の実施方法について労働安全衛生規則の改正を行ったことを公表しています。改正に当たっての通達とリーフレットが掲載されていますので、対象人数が少ない事業場でどのように取り扱うかを、委託先と事前にすり合わせておきます。 - ステップ5:予算と実施時期を年間計画に組み込む
委託費用を法令対応の固定費として予算計上し、実施時期を年間スケジュールに入れます。ストレスチェックは繁忙期を避けて設定できますので、決算期や繁忙月と重ならない月を選びます。あわせて既存のハラスメント相談窓口や健康診断後の保健指導と運用をつなげ、担当者の負担を一本化します。
チェックリスト
- ☑ 事業場ごとの常用労働者数を一覧にした
- ☑ 50人以上の事業場と50人未満の事業場を区分した
- ☑ 小規模事業場向け実施マニュアル(概要版)を確認した
- ☑ 外部委託先の候補を2社以上比較した
- ☑ 回答が社内を経由しない経路を選んだ
- ☑ 集団分析の取扱いを委託先とすり合わせた
- ☑ 委託費用を次期以降の予算に計上した
よくある質問
- Q. 従業員が10人ほどの会社でも、ストレスチェックは義務になるのですか?
- A. 義務になります。厚生労働省は、令和10年4月1日から労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化されると案内しています。これまで50人未満の事業場は当分の間の努力義務とされていましたが、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により実施が義務化されました。従業員数10人の会社も、令和10年4月1日以後は実施する立場になります。
- Q. ストレスチェックは誰が実施するのですか?
- A. 厚生労働省の用語の説明では、ストレスチェックとは労働者のストレスについて調査票を用いて現在の状況を把握し、本人に気づきを与えるために実施することをいうとされています。実施にあたっては医師や保健師などの実施者が関与する仕組みであり、社内に産業医がいない小規模事業場では外部機関への委託が現実的です。厚生労働省は「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しており、2026年3月には概要版と周知リーフレットも掲載されています。
- Q. 結果を会社が見て、人事評価に使ってしまうことはないのですか?
- A. ストレスチェックは、本人にストレスの状況への気づきを与えることを目的とする制度です。個人の結果の取扱いには本人の同意が前提となる仕組みが置かれており、事業者が本人の同意なく個人結果を把握して不利益な取扱いをすることは制度の趣旨に反します。小規模な職場では誰の結果か推測されやすいため、外部機関に委託して回答が社内を経由しない経路をつくることが、制度を機能させる実務上の要点になります。
- Q. 集団分析についてルールが変わったと聞きましたが、何が変わったのですか?
- A. 厚生労働省の「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」のページでは、2026年6月30日付のお知らせとして、集団分析の実施方法について労働安全衛生規則の改正を行ったことが公表されており、改正に当たっての通達とリーフレットが掲載されています。集団分析は部や課などの単位で結果を集計し、職場環境の改善につなげるための手法です。小規模事業場では対象人数が少なくなるため、実施方法の確認が特に重要になります。
- Q. ストレスチェックの費用は経費になりますか?
- A. 外部機関へのストレスチェックの委託費用は、法令に基づく健康管理のための費用であり、事業に関連して支出したものとして損金または必要経費に算入するのが一般的な取扱いです。従業員に対する給与課税の問題も、全従業員を対象とし本人に金銭が渡らない形で会社が直接費用を負担するのであれば、通常は生じません。ただし対象者の範囲や負担の方法によって判断が変わり得ますので、実施方法を決める段階で顧問税理士にご確認ください。なお令和10年4月1日以後は毎年発生する固定的な支出になりますから、単年度の福利厚生費ではなく法令対応の固定費として、中期の利益計画に織り込んでおくことをお勧めします。
参考資料・出典
- ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策|厚生労働省
- 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要(厚生労働省)
- 第217回国会(令和7年常会)提出法律案|厚生労働省
- 令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況|厚生労働省
- 令和7年「労働安全衛生調査(実態調査)」の結果を公表します(令和8年8月7日・厚生労働省)
- 令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要[事業所調査](厚生労働省)
- 令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要[個人調査](厚生労働省)
- 令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)調査の概要(厚生労働省)
- 令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)主な用語の説明(厚生労働省)
- ストレスチェック制度について(労働者数50人未満の事業場)|こころの耳
本記事は、上記の公表資料に基づいて令和8年9月10日時点の内容を整理したものです。施行に向けて省令や通達の改正が行われる可能性がありますので、実際のご対応にあたっては最新の公表内容をご確認ください。
本記事は道濟会計事務所が監修しました。
この記事に関するご相談は道濟会計事務所へ(初回相談無料)
税務・経営に関するご相談は、堺市の道濟会計事務所にお任せください。 堺東駅徒歩1分・オンライン対応で全国からご相談いただけます。