無料相談を予約する

072-200-3579

受付時間:月〜金 9:00〜17:00

大阪で顧問税理士をお探しの方は道濟会計事務所へ

在職定時改定2026|9月1日基準日で10月分から年金額改定

在職定時改定で9月1日を基準日に年金額が改定される仕組みを表した画像
SUMMARYこの記事の要点3点
  • 1ポイント1:厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている65歳以上70歳未満の方は、基準日である毎年9月1日に被保険者であるとき、翌月の10月分の年金額から見直されます。これを在職定時改定といいます。
  • 2ポイント2:改定に反映されるのは、年金額に反映されていない前年9月から当年8月までの厚生年金の被保険者期間です。その期間の標準報酬月額と標準賞与額は、事業主が届け出た内容がそのまま基礎になります。
  • 3ポイント3:まず9月1日時点で65歳以上70歳未満の被保険者がいるかを確認し、その方の算定基礎届・月額変更届・賞与支払届に誤りがないかを点検してください。

9月は、65歳を過ぎても働き続けている従業員の年金額が動く月です。厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている65歳以上70歳未満の方は、毎年9月1日を基準日として年金額が計算し直され、翌月の10月分の年金から改定されます。これが「在職定時改定」です。

この改定に使われるのは、事業主が日本年金機構へ届け出た標準報酬月額と標準賞与額です。つまり、算定基礎届や賞与支払届の精度が、そのまま従業員の年金額に跳ね返ります。本記事では、日本年金機構が公表している資料をもとに、在職定時改定の仕組みと、中小企業の事業主が9月から10月にかけて確認しておくべき実務を整理します。

在職定時改定の概要と対象者

在職定時改定の対象となる制度の概要を表したイラスト

在職定時改定は、令和4年4月から導入された仕組みです。日本年金機構は、この制度について「在職中であっても年金額を毎年10月分から改定する制度が導入されました」と説明しています。

65歳以上70歳未満の受給者が対象

日本年金機構は、在職定時改定を次のように定義しています。「厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている65歳以上70歳未満の方が、基準日の9月1日において被保険者であるときは、翌月の10月分の年金額から見直されます。これを『在職定時改定』といいます。」

対象は65歳以上70歳未満に限られます。日本年金機構の資料は「65歳未満の方は繰上げ受給をされている方であっても在職定時改定の対象となりません」と明記しています。60歳台前半で年金を繰り上げて受け取りながら働いている方は、対象外という点に注意が必要です。

基準日は毎年9月1日です。この日に厚生年金保険の被保険者であるかどうかで判定します。

反映されるのは前年9月から当年8月までの期間

改定に算入されるのは、年金額にまだ反映されていない期間です。日本年金機構は「年金額に反映されていない前年9月から当年8月までの厚生年金に加入していた期間を追加して、年金額の再計算が行われます」としています。つまり令和8年10月分の年金には、令和7年9月から令和8年8月までの1年分の加入実績が加わります。

制度が始まった令和4年10月分については例外があり、「65歳到達月から令和4年8月までの厚生年金に加入していた期間も、再計算の対象となります」とされていました。

9月1日をまたぐ資格喪失・取得の特例

基準日にたまたま被保険者でなかった場合でも、救済される取扱いがあります。日本年金機構は「9月1日前に被保険者の資格を喪失して、そこから9月1日をまたぎ、1月が経過する前に被保険者の資格を取得したときは、基準日の9月1日において被保険者ではありませんが、在職定時改定として年金額の再計算が行われます」と説明し、その例として「8月25日資格喪失、9月3日資格取得」を挙げています。転職や再雇用契約の切り替えで一時的に資格が切れるケースが、これに当たります。

基準日にたまたま被保険者でなかったというだけで改定を逃すことがないよう、1カ月以内の再取得は救済されています。ただし救済されるのは資格を取得した場合であり、9月1日をまたいで1カ月以上空いたときは対象になりません。

導入前との違い

日本年金機構の資料は、導入の背景をこう説明しています。「令和4年3月までは、65歳以降の被保険者期間は資格喪失時(退職時・70歳到達時)にのみ年金額が改定されていました。」従来は、働いて保険料を納めても、その分が年金額に反映されるのは退職または70歳到達を待ってからでした。在職定時改定は「就労を継続したことの効果を退職を待たずに早期に年金額に反映する」ためのものです。

日本年金機構は、導入の趣旨を「年金を受給しながら働く方の経済基盤の充実を図る観点から」と説明しています。65歳を過ぎた従業員が働き続けても年金額が据え置かれる状態が続けば、就労意欲を削ぐことになりかねません。在職定時改定は、納めた保険料の効果を毎年できるだけ早く見えるようにする仕組みだといえます。

中小企業の実務影響と事業主の届出

中小企業の事業主が行う社会保険の届出実務を表したイラスト

在職定時改定そのものは日本年金機構が職権で行うため、事業主が改定のために提出する専用の届出はありません。しかし、改定の計算に使われるデータは、すべて事業主が届け出た内容です。ここに実務上の影響が集中します。

年金額の基礎は事業主が届け出た標準報酬月額

在職定時改定は、前年9月から当年8月までの被保険者期間を年金額に算入する仕組みです。この期間の報酬比例部分は、各月の標準報酬月額と標準賞与額から計算されます。標準報酬月額は算定基礎届(定時決定)と月額変更届(随時改定)によって決まり、標準賞与額は賞与支払届によって決まります。

したがって、次のような届出の漏れや誤りは、そのまま従業員の年金額の誤りにつながります。

  • ☑ 65歳以上の従業員について、資格取得届・資格喪失届の提出が漏れている
  • ☑ 算定基礎届の対象者から65歳以上の従業員を除いてしまっている
  • ☑ 固定的賃金の変動があったのに月額変更届を出していない
  • ☑ 賞与を支給したのに賞与支払届を提出していない

3つの改定のタイミングを区別する

65歳以上の在職受給者については、年金額が動く場面が複数あります。混同しやすいため、日本年金機構の記載にそって整理します。

区分きっかけ改定される月
在職定時改定基準日の9月1日に被保険者であること翌月の10月分から
退職改定退職して1カ月を経過したこと退職した翌月分から
70歳到達による改定70歳に到達したこと70歳到達した翌月分から
支給停止額の変更総報酬月額相当額が変わったこと変わった月または退職日の翌月

なお退職改定について、日本年金機構は「退職して1カ月以内に再就職し、厚生年金に加入したとき(転職など)は、年金額の再計算は行われません」としています。在職定時改定の特例とは向きが逆ですので、取り違えないようにしてください。

なお、基準日の9月1日時点で被保険者であるかどうかは、資格取得日と資格喪失日で判定されます。日本年金機構は、退職等による資格喪失の喪失年月日を「退職日の翌日」とし、例として「3月31日付けで退職した場合、資格喪失日は4月1日となります」と示しています。同じ考え方によれば、8月31日付で退職した従業員の資格喪失日は9月1日となり、基準日の時点では被保険者ではないことになります。9月をまたぐ退職予定がある65歳以上の従業員については、退職日の設定を本人と事前に確認しておくと行き違いを防げます。

資格喪失届そのものの提出期限にも注意が必要です。日本年金機構は、事業主が「被保険者資格喪失届」を提出する時期を「事実発生から5日以内」としています。届出が遅れると、基準日時点の被保険者記録が実態と合わないまま処理される可能性があります。

在職老齢年金による支給停止との関係

年金額が再計算されても、受け取れる額がそのまま増えるとは限りません。日本年金機構は「年金額が再計算された結果、支給停止額が変更となる場合があります」と注記しています。

在職老齢年金は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が基準額を超えると、超えた分の2分の1が支給停止される仕組みです。令和8年4月からは、この基準額が引き上げられました。日本年金機構は「令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)に基づき、令和8年4月から、年金が減額になる基準額(賃金と老齢厚生年金の合計)が月51万円から65万円に引き上げられました」としています。令和8年度の計算式は次のとおりです。

基本月額と総報酬月額相当額の合計調整後の年金支給月額
65万円以下全額支給
65万円を超える基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-65万円)÷2

在職定時改定で基本月額が上がると、この計算式の中の基本月額も上がります。合計が基準額を超えている方の場合、増えた分の一部が支給停止に回ることになります。65万円という基準額について、日本年金機構は「令和8年度の基準額で、毎年度、賃金の変動に応じて改定されます」としています。

70歳以上の期間は反映されない

日本年金機構は「70歳以上の期間は、厚生年金に加入していないため、年金額の再計算には反映しません」と明記しています。あわせて「70歳以上の方については、厚生年金保険の被保険者ではありませんので、保険料負担はありません」ともしています。70歳を超えて働く従業員については、在職定時改定による年金額の増加は生じません。ただし70歳以上でも在職による支給停止の対象にはなり、この場合は標準報酬月額に相当する額が使われます。

当事務所の見解・実務上の注意点

専門家が年金記録と届出内容を確認する様子を表したイラスト

在職定時改定は、届出が要らない制度であるがゆえに、事業主側で見落とされがちです。実務で相談を受けるなかで、次の3点は特に説明が必要だと感じています。

「毎年必ず増える」と説明しないこと

従業員から「9月になると年金が増えるのか」と聞かれることがあります。仕組みとしては前年9月から当年8月までの加入期間が加算されるため、年金額そのものは増える方向に再計算されます。ただし、手取りの年金額が増えるかどうかは別問題です。前述のとおり、日本年金機構は再計算の結果として支給停止額が変更となる場合があるとしています。

基本月額と総報酬月額相当額の合計が令和8年度の基準額である65万円を超えている方は、増えた基本月額の一部が支給停止の計算に吸収されます。金額の見通しを求められた場合は、確定的な数字を口頭で伝えるのではなく、10月以降に届く年金額改定通知書で確認していただくのが確実です。

年金額の具体的な見込みは、個別の加入記録によって決まります。社内で試算値を配布すると、実際の改定額との差が生じたときに説明が難しくなります。制度の仕組みを伝え、金額は通知書と年金事務所での確認に委ねる運用をおすすめします。

加給年金・振替加算は別途手続きが必要な場合がある

見落とされやすいのがここです。日本年金機構は「年金額の再計算により厚生年金加入期間が20年を超えたときは、加給年金が支給される場合や、配偶者に対して振替加算が支給される場合があります。その際は、別途、手続きが必要となります」としています。

在職定時改定そのものは職権で行われますが、加給年金や振替加算は自動では付きません。65歳以降も働き続けた結果として厚生年金の加入期間が20年に達する方は、中小企業では珍しくありません。該当しそうな従業員には、年金事務所への相談を促してください。

届出の精度が数十年分の年金額を決める

在職定時改定で加算されるのは、あくまで記録に残っている被保険者期間です。賞与支払届の提出漏れがあれば、その賞与は標準賞与額として記録されず、年金額にも反映されません。定時決定の対象者から65歳以上の従業員を外してしまえば、実態と異なる標準報酬月額のまま1年間が経過します。

誤りは後から訂正できますが、遡及訂正には保険料の精算が伴い、従業員本人への説明も必要になります。毎年7月の算定基礎届の段階で、65歳以上の在職者を別に一覧にしておくと、9月の基準日前に点検しやすくなります。堺市の税務顧問としてご契約いただいている企業では、給与計算と社会保険の届出データを突き合わせる形で、この点検をあわせて行っています。

今すぐやるべきこと

9月から10月にかけて行う点検手順を表したイラスト

9月1日の基準日はすでに過ぎていますが、10月分の年金に反映されるまでの間に確認しておくべきことがあります。次の順番で進めてください。

  1. ステップ1:9月1日時点の被保険者名簿から65歳以上70歳未満の従業員を抽出する
    生年月日で機械的に絞り込みます。在職定時改定の対象は65歳以上70歳未満に限られ、70歳以上の方は対象外です。70歳到達日が近い従業員は、到達の翌月分から別の改定が行われますので、あわせて印を付けておきます。
  2. ステップ2:抽出した従業員の届出履歴を前年9月までさかのぼって点検する
    資格取得届、算定基礎届、月額変更届、賞与支払届の4つが、前年9月から当年8月までの期間について漏れなく提出されているかを確認します。この期間が今回の改定の対象範囲です。
  3. ステップ3:固定的賃金の変動があった月を洗い出す
    再雇用時の賃金見直し、手当の新設や廃止、勤務日数の変更などがあった場合、随時改定の要件に該当していないかを確認します。該当するのに月額変更届を出していなければ、標準報酬月額が実態とずれたままになります。
  4. ステップ4:誤りが見つかったら年金事務所に相談し、訂正の届出を行う
    提出漏れや誤りが見つかった場合は、放置せず年金事務所に相談してください。保険料の追加徴収や還付が生じる場合は、対象となる従業員へ事前に説明します。
  5. ステップ5:対象者に制度の概要を案内する
    10月分の年金から改定されること、改定後の金額は年金額改定通知書で確認できること、在職老齢年金による支給停止の状況によっては手取りが想定どおりに増えない場合があることの3点を伝えます。金額の試算は行わず、日本年金機構の資料を案内する形が安全です。
  6. ステップ6:厚生年金の加入期間が20年に近い従業員を確認する
    加入期間が20年を超えると加給年金や配偶者の振替加算の対象になる可能性があり、その場合は別途手続きが必要です。該当しそうな方には年金事務所での確認を促してください。

よくある質問

Q. 在職定時改定の対象になるのは何歳の従業員ですか?
A. 厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている65歳以上70歳未満の方が対象です。日本年金機構の資料は、65歳未満の方は繰上げ受給をされている方であっても在職定時改定の対象とならないと明記しています。70歳以上の期間については、厚生年金に加入していないため年金額の再計算には反映されません。
Q. 事業主が在職定時改定のために提出する届出はありますか?
A. 在職定時改定のための専用の届出はありません。改定は日本年金機構が基準日時点の被保険者記録に基づいて行います。ただし、改定の基礎になるのは事業主が届け出た標準報酬月額と標準賞与額ですので、資格取得届・算定基礎届・月額変更届・賞与支払届に誤りがないことが前提になります。
Q. 9月1日の直前に退職して数日後に再入社した場合はどうなりますか?
A. 日本年金機構は、9月1日前に被保険者の資格を喪失し、そこから9月1日をまたぎ1月が経過する前に資格を取得したときは、基準日の9月1日において被保険者ではなくても在職定時改定として年金額の再計算が行われるとしています。例として8月25日資格喪失、9月3日資格取得のケースが挙げられています。
Q. 在職定時改定で年金額が増えれば、受け取る額も必ず増えますか?
A. 必ずしもそうではありません。日本年金機構は、年金額が再計算された結果、支給停止額が変更となる場合があると注記しています。在職老齢年金は基本月額と総報酬月額相当額の合計が基準額を超えると調整が入る仕組みで、令和8年度の基準額は65万円です。合計がこの額を超えている方は、増えた基本月額の一部が支給停止の計算に反映されます。
Q. 退職改定と在職定時改定は何が違いますか?
A. きっかけと改定時期が異なります。在職定時改定は基準日の9月1日に被保険者であることを要件に、翌月の10月分から改定されます。退職改定は退職して1カ月を経過したときに、退職した翌月分から改定されます。日本年金機構は、退職して1カ月以内に再就職し厚生年金に加入したときは年金額の再計算は行われないとしています。また70歳に到達したときは、到達した翌月分の年金額から見直されます。
Q. 改定後の年金額はどこで確認できますか?
A. 日本年金機構から届く年金額改定通知書で確認します。事業主が社内で試算値を配布すると、実際の改定額と差が生じたときに説明が難しくなります。制度の仕組みと改定の時期を案内し、金額そのものは通知書と年金事務所での確認に委ねる運用が安全です。加入記録そのものはねんきんネットでも確認できます。
Q. 厚生年金の加入期間が20年を超えると何か手続きが必要ですか?
A. 日本年金機構は、年金額の再計算により厚生年金加入期間が20年を超えたときは、加給年金が支給される場合や配偶者に対して振替加算が支給される場合があるとし、その際は別途手続きが必要としています。在職定時改定自体は職権で行われますが、加給年金や振替加算は自動では付きません。該当しそうな従業員には年金事務所への相談を促してください。

参考資料・出典

本記事は道濟会計事務所が監修しました。




この記事に関するご相談は道濟会計事務所へ(初回相談無料)

税務・経営に関するご相談は、堺市の道濟会計事務所にお任せください。 堺東駅徒歩1分・オンライン対応で全国からご相談いただけます。

税務顧問サービスの詳細を見る無料相談を申し込む

堺市の税理士 道濟会計事務所|堺東駅徒歩1分
代表税理士 道濟寛樹(税理士登録番号 第152615号・近畿税理士会所属)
〒590-0075 大阪府堺市堺区南花田口町2-3-20 三共堺東ビル6階|TEL 072-200-3579(平日9:00〜17:00)
税務顧問・相続税申告・会社設立・経理代行・料金一覧
対応エリア: 堺区・中区・北区・東区・西区・南区・美原区・堺東駅周辺

新着お知らせ